更新日: 2023.09.13 その他資産運用
今どき、円だけで資産を持つのは非合理的? 他の通貨で保有することのメリット・デメリット
資産を他の通貨で持つ場合のリスク、メリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
資産のリスク分散の考え方について
以前からいわれていることですが、リスクを回避するために自分の資産を「預貯金3分の1」「不動産3分の1」「株式等有価証券3分の1」で持つのがよい方法であるとされてきました。
これは景気変動に応じて三資産がそれぞれ異なった動きをするので、リスクヘッジのため分散投資をすれば、景気の変動局面においても資産の目減りが避けられるということです。
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どの通貨を保有すべきか?
それではどの通貨で資産を保有すべきか、という問題を考えてみましょう。生活費用相当分については、生活基盤のある国の通貨で保有すべきだということになります。
では、余裕資金はどうでしょうか? それは必ずしも生活基盤のある国の通貨でなくともよいということになります。自分の資産をどの国の通貨で保有しても、為替の仲立ちを受ければ、どの国の通貨にも替えられます。
ただ、保有するのであれば途上国の通貨、いわゆるソフトカレンシーは避けたほうがいいということになります。なぜなら途上国は一般的に国の財務基盤が弱く、為替が大幅に下落する可能性があるからです。
基本的にはハードカレンシーであれば、問題ないということがいえます。ハードカレンシーの中でも、金利が高く株式や不動産の価格が上がっている国の通貨がおすすめです。なぜならそれらの通貨を運用すれば、相対的に高い運用益を享受することができるからです。
米ドルまたはユーロであっても為替の変動はあります。ただ、円と比べ金利やその他の運用益が高ければ、もし円高が進行したとしても金利差や運用益差で円高を相殺できる可能性があります。
短期的に考えれば為替リスクは問題ですが、長期的かつマクロ的に考えれば、為替は金利差や購買力平価に導かれて収斂(しゅうれん)します。ですから、一般論で議論する際には、為替リスクはあまり深刻に考えなくてもよいということになります。
そう考えれば、例えば資産をドル・円・ユーロの3通貨に分割し、それをそれらの通貨におけるベストな資産運用法で運用して運用益をできるだけ高めるのが合理的な運用方法になります。3種類の通貨を持つということは、それだけで為替リスクをヘッジしていることにもなるからです。
すなわち為替リスクを10~20年のスパンでとらえて、その時々の為替変動に一喜一憂せず、できるだけ金利の高い方法で運用します。そして為替レートが有利なときに有利な通貨に換金して自分の資産を増やしていくという志向が必要になってくると思われます。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー