高齢者の投資行動に注意! 判断力が落ちトラブルになる場合も
配信日: 2020.12.02
そのため、自分の将来設計を考え、別の手段で金融資産を増やそうとしますが、うまくいかないケースも増えてきます。
「金融機関にお任せ」ではいけない!
預貯金であれば、特別な投資判断は必要ありません。訪問販売や電話セールスでくる「お金儲け」の話には乗ることはなくても、預貯金以外の投資方法を考え、少しでも金融資産を増やそうと考えるのは、ごく自然の流れです。
例えば、預貯金が1000万円あったとしても、年金だけでは十分に生活できず、徐々に預貯金を取り崩し目減りしてくると、心細くなりなんらかの投資を考えたくなります。
その際に最も検討対象となるのが、株式や投資信託、場合によっては外貨建て商品です。またこれまで支払ってきた、死亡保険の扱いを考えるかもしれません。
対面販売の証券会社もあり、親切に投資相談には乗ってもらえます。その際に高齢者自身が、「どの銘柄を買ったら儲かるでしょうか」とか「お預けしますので運用はよろしく!」という姿勢ではダメで、後で問題が起こります。
証券会社も売買手数料収入が収益の柱になっています。最近では対面販売が少なくなり、若い世代を中心に、多くの人が手数料の安いネット証券に移行しています。ネットを使いこなし、自らの知識で株式の売買ができる高齢者なら問題はないのですが、証券会社の担当者に頼ろうとすると問題も出てきます。
担当者を信用し「絶対に損をしない」と信じて取引していると、思わぬ落とし穴があります。担当者が真剣に提案してくれたとしても、株式、投資信託などの金融商品は、企業業績や経済変動によって、大きく下落することもあるからです。
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仮に担当者が信頼できる人でも
最近では証券会社や保険会社の業界団体も、高齢者との投資トラブルを防ぐために、商品販売の際のガイドラインを設けています。
実際に高齢者の理解不足からくる苦情も多く、トラブルも増えているためです。75歳以上の人への投資商品の販売については、販売時点での商品説明の徹底や、本人とその家族に十分考えてもらうために翌日契約の順守など、工夫をしています。
それでもなおトラブルは絶えません。「担当者が勧めてくれた株で損をした」「株を売り投資信託への乗り換えを勧められた」「死亡保険から医療保険への乗り換えを勧められた」といった、特に思いどおりの成果が出ないときの苦情が増える傾向です。
営業の担当者も、新商品を販売できれば、会社の業績も上がるため、新商品の販売には力が入ることは考えておく必要があります。
株価の下落は、景気動向などにも左右されるため、あくまで最終的には投資をしている人の責任です。高齢者の中には、それが自覚できない人もいます。そのため一度は儲かるほど株価が上昇したのになぜ下がる? といった理屈は通用しません。
また投資信託への勧誘は、金融機関として通常の営業活動の一環ですので、あくまで断るときは、はっきりと断ることが大切です。
銀行や郵便局でも投資信託の販売を行っているため、高齢者から相談があれば、販売には積極的です。しかし手数料が一般の証券会社よりも高く、販売本数も少ないためあまりお勧めはできません。
保険会社とのトラブルもあります。多くが外貨建て保険などの仕組みのわかりにくい、新商品の販売です。また現状の契約では保障が不十分だとして、新たな特約の追加を勧めてくることもあります。高齢者には商品内容やメリットがよく理解できません。
政府系の保険会社が、職員のノルマ達成のために、乗り換える必要のない保険を別の保険に乗り換えることを推奨し、多くの高齢者と契約していたことが、新聞などで報道され大きな社会問題となりました。
特に地方に住む高齢者がそれに応じ、不利益を被る事態になったことは記憶に新しいところです。人事異動の多い都会の金融機関と異なり、ひとり暮らしで担当者との付き合いも長く、信頼関係があだになったといえます。高齢者がノルマ営業の犠牲となった典型例です。
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本人の自覚だけでなく家族が目配りを
平均寿命が延び、高齢者が投資する機会は増えています。認知症などの症状がなければ、株式投資などは、脳の活性化にもなります。高齢者本人も、元本割れリスクのある商品はなるべく避ける、説明を受けてもわからない複雑な仕組みの商品は買わない、といった姿勢が求められています。
高齢者にとっては、金融資産の減少は、今後の生活に大きな痛手です。中には、比較的多くの金融資産を保有する高齢者もいるかもしれません。そのため、高齢者自身が投資行動に前のめりになることは避けなければなりません。子どもたちのために資産を増やしたいと考え、リスクの高い商品に手を出すのは危険です。
家族もきちんと目配りする必要があります。高齢者も子どもや親族に相談する、家族も高齢者の投資行動について見守り、必要に応じてアドバイスすることが求められます。
具体的には、高齢者がどこの金融機関と接触しているかを把握しておく、新たな契約を結ぶときには同席する、といった行動が望まれます。同席し簡単な質問をするだけでも、営業担当者に対して見えない圧力がかかります。
高齢者が家族を信用せずに、金融機関の担当者を完全に信用しきってしまうと、思わぬ落とし穴があります。家族としては、金融機関の担当者が何度も足を運び熱心に勧める商品は、高齢者にとって本当に望ましい商品かどうか、一応疑ってかかったほうがいいと思います。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。