更新日: 2021.02.17 株・株式・FX投資

株式投資を始める前に覚えておきたいこと(2)株価の変動要因って?

株式投資を始める前に覚えておきたいこと(2)株価の変動要因って?
前回、投資と投機の違いや株式相場の仕組みについて簡単に触れました。今回からいよいよ投資家として考える「株価の変動要因」「銘柄の選び方」について考えます。
 
さまざまな要因で動く株式相場ですが、市場に参加している人がどんなことを考えて取引をしているかを知ることは、投資で成果を上げるためにとても重要です。
西山広高

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、上級相続診断士、宅地建物取引士、宅建マイスター、西山ライフデザイン代表取締役
 
http://www.nishiyama-ld.com/

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/

株価は需給のバランスで決まる

株に限らず、投資の対象となるものは価格が変動します。例えば不動産は「買いたい」と思う人と「売りたい」と思う人の条件が折り合って初めて売買が成立します。
 
不動産を売りたいと思う人の理由はまちまちです。不動産業者が行う査定では、周辺の取引事例と合わせ、その物件の個別の状況を勘案しておよその価格を算出します。しかし、実際に取引される価格はそのとおりとは限りません。
 
株式を市場で取引する場合でも「買う人」と「売る人」がいます。同じ銘柄を「これから上がる」と思って買う人がいる反面、「これから下がる」と思って売る人がいるからこそ取引が成立することになります。
 
その折り合いが、今どの価格で釣り合っているかが株価です。その価格は売られる株(売り玉)と買われる株(買い玉)の数、すなわち需給のバランスによって決まります。
 

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株価の変動要因

株価がその企業の業績の影響を強く受けるのはもちろんですが、景気や金利など経済的要因や政治動向、機関投資家の動向なども影響します。
 
最近で言えば新型コロナウイルス感染症の拡大に多くの企業が影響を受けました。旅行関係や空運、陸運などの業界は大きな打撃を受けています。外食産業なども売り上げが大きく減少し、非常に厳しい状況です。
 
しかし、その企業がつぶれることなく、コロナの逆境を絶え抜き、再びコロナ前のような状況に戻ると考えられたならば、株価が下がっているタイミングは「仕込み時」と考えられます。
 
一方、コロナの影響で業績が上がった企業もあります。巣ごもり需要で通販専業の会社やゲーム業界、宅配業界は売り上げが伸びました。パソコンの販売も好調です。
 
コロナの感染が拡大し始めた時「人が家で過ごす時間が増えたらどんな需要が拡大するか」と予想すればいくつか思い当たるものが出てきたでしょう。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、ある出来事が起きるとそれに関連して需要と供給のバランスが変わることがあります。
 
こうした変化を予測し、人よりも先手を打つことができれば大きな利益につながる可能性があります。こうした予測をすることも株式投資の面白さだと言えるでしょう。
 

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株式相場は未来を見ている

先述のように株式相場はさまざまな要因が複雑に入り組んで形成されています。そして、重要なことは「株式相場は未来を見ている」ということです。株価は今の会社の状況だけではなく、将来の業績や社会環境などに対する期待値が織り込まれています。
 
決算発表で好業績を発表したとたんに株価が下がったり、逆に発表した決算が悪い内容でも株価が上がることがあります。これは、すでに市場に参加している投資家がこれらの業績の変化を織り込んでいて、決算発表でサプライズがなかった、材料が出尽くしたことなどに市場が反応する結果です。
 
株式投資では、その変動要因が複雑で損をすることもあるため「ばくちのようだ」と考える方もいます。株価は表に現れた事象だけでなく、そのさらに先まで見通す必要があります。
 
すべての要因を把握することは困難で、時には予測が外れることもあります。完全には読み切れないことから「ばくちのようだ」と感じてしまうのでしょう。しかし多くの会社の株価の動きは、われわれの生活とも密接に関連しています。
 
新聞やテレビ、最近ではネットニュースやSNSなどで流れる情報も株価を動かす要因になりえます。株式市場の動向を通して、世の中が未来をどう予測しているのかを感じることもできるように思います。
 

それでもやっぱり難しい…

今の世の中を見ると、昨年初めからのコロナウイルスの感染拡大で、人の動きがとても少なくなっています。こうなると、経済にはマイナスの影響のほうが大きいだろうと考えられるでしょう。
 
しかし、このところ(本稿は2021年1月29日に執筆しています)の株式相場はアメリカも日本も比較的堅調です。日経平均株価は30年ぶりの高値を付けました。
 
これは、それぞれの会社の業績以上に、政府や中央銀行が行うさまざまな「景気を下支えする手厚い対策」が期待されているからだと言われています。ワクチンや治療薬の開発に対する期待も織り込まれているでしょう。
 
今や世界はグローバルになり、世界中のいろいろなことが複雑に関係しています。日本の会社の業績や経済動向は海外の企業や市場、経済の影響を多分に受けています。思いもよらないことが株価に影響する可能性もあります。
 
多くの評論家が後付けで市場の動きに理由付けをして解説していますが、これは試験のあとで答え合わせをしているようなものです。過去に起こったことを知ることは将来の予測のための経験、知識と考えるべきでしょう。
 

株式相場は天気予報に似ている

「株式相場は天気予報に似ている」と言われます。天気予報は気圧配置や過去の経験から「こういう時は晴れやすい」などという予測をしています。最近はスーパーコンピューターや解像度の高い気象衛星の性能のおかげで、天気予報の精度も高まってきました。
 
それでも外れることもあるのは、地球規模のさまざまな「天気を左右する要因」を現代の技術をもってしても、完全に把握することができないためです。
 
株式相場でも、証券会社やさまざまなメディアが予想を立てています。それらも当然のことながら、すべてが正解なわけではありません。いろいろな予想を見聞きすることは重要ですが、そこから自分はどう考えるかという仮説を立てる力が必要だと思います。
 
空を見ながら「夕焼けが見えたら明日は晴れ」のような気楽な感じで、市場を予測する習慣をつけることが重要です。
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
 

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