国のキャッシュバック制度でスキルアップできる教育訓練給付制度って?

配信日: 2020.07.11

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国のキャッシュバック制度でスキルアップできる教育訓練給付制度って?
在宅勤務で時間ができ、自身のキャリアを見つめなおす機会を持った方もいるかもしれません。そんな中で活用したいのが「教育訓練給付制度」です。時間だけでなくお金も味方につけて、さらなるスキルアップを果たしましょう。
波多間純子

執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)

㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
 
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「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。
 
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教育訓練給付制度とは

教育訓練給付制度とは、会社員や会社員だった人が厚生労働大臣が指定する資格講座などを受講し修了した場合、本人が支払った受講費用の一部を国が支給する制度です。
 
ポイントは、
〇給付制度は3種類。支給要件や対象講座、支給額などに違いがある
〇対象の講座は約1万4000講座あるため、業種や業務の選択の幅が広い
〇通学だけでなく、通信講座やeラーニングも対象

1.対象者

現在会社員で一定の要件を満たしている方と、会社を辞めて1年以内の方が対象です。逆にいうと1年間以上仕事していない場合や、自営業・公務員の方は対象外です。
 
ここでいう会社員とは、雇用保険に一定以上加入している方で、条件に当てはまれば契約社員やパートなどの非正規雇用者も該当します(具体的な条件は以下の表参照)。

2.教育訓練給付は3種類

教育訓練給付制度は「一般教育訓練給付」「特定一般訓練給付」「専門実践教育訓練給付」の3種類に分かれており、雇用保険の加入期間や給付される金額に違いがあります。
 

一般教育訓練給付~幅広い対象講座が魅力

「一般教育訓練給付」は受講料に対する給付額の上限や、給付割合が3つの制度の中でもっとも少ないのですが、その分幅広い業種の訓練が対象になっています。パソコンや、英会話、簿記といったビジネススキルの基本を学べる講座も多く、挑戦しやすいメリットがあります。
 

一般教育訓練給付金が支給される講座例
  • 簿記検定
  • 介護職員初任者研修
  • CAD
  • 情報処理技術者資格
  • TOEIC
  • TOEFL
  • インテリアコーディネーターなど

特定一般教育訓練給付~即戦力の資格を取得

令和元年10月から新設した制度です。速やかな再就職および早期のキャリア形成を目的としているため、即戦力の資格が対象です。そのため、税理士など業務を行うために資格が必要な職業や、一定以上のIT(情報技術)スキルを習得する講座が中心となっています。
 

特定一般教育訓練給付金が支給される講座例
  • 大型自動車第一種・第二種免許
  • 中型自動車第一種・第二種免許
  • 普通自動車第二種免許
  • 玉掛け(クレーン作業)・フォークリフト運転
  • けん引免許
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 宅地建物取引主任者
  • 介護福祉士など

専門実践訓練給付~じっくり専門性を高める

専門実践教育訓練給付では、時間をかけて専門的な知識を習得できる講座が指定されています。また、特定一般教育訓練と同様、資格なしでの業務を行うことが禁止されている職業も含まれています。
 

専門実践教育訓練給付金が支給される講座例
  • 看護師
  • 調理師
  • 理学療法士
  • 保育士
  • キャリアコンサルタント
  • MBA(経営学修士)
  • 介護福祉士など

 
比較的長い訓練期間になる講座が多いため、半年ごとに給付が受けられるのも魅力です。さらに、受講修了から1年以内に就職に結びついた場合は、追加の支給が受けられます。
 
たとえば、
〇看護の専門学校に入学し、3年間通学
〇入学料・受講料合わせて、3年間で180万円かかった
〇かかった費用の50%=90万円が、半年ごとに給付(各15万円×6回)
〇さらに資格を取得し1年以内に再就職
〇かかった費用(180万円)の20%=36万円が追加支給
計126万円の給付が受けられた
(厚生労働省リーフレットより)

■「教育訓練支援給付金」で生活費もサポート

さらに訓練期間中失業状態にある場合は、雇用保険の基本手当日額の約80%に相当する額も支給されます。ただし、45歳未満の離職者が対象です。なお、この教育訓練支援給付金は、令和3年度までの暫定措置となっています。こうした手厚い補助によりじっくり腰を据えて学ぶことができます。
 
なお、特定一般と専門実践の訓練給付を希望する場合、受講1カ月前までにキャリアコンサルタントのコンサルティングを受け「ジョブ・カード」を交付してもらうことが条件になります。
 
「ジョブ・カード」とは、これまでの職歴や資格、強みなどを自身で記載してまとめたシートです。制度利用のための条件とはいえ、ご自身のこれまでのキャリアを棚卸しして、自己認識を深める良いきっかけになります。ぜひ前向きに取り組みましょう。

手続きはハローワークで

〇受けたい講座が対象になっているか
〇どの給付金の対象か
〇どんな教育機関があるか
など……
 
確認したい場合は厚労省のウェブサイト内にある検索システム(※)を利用しましょう。人生100年時代を見据えて、ご自身のキャリアを見直す契機にしてみてはいかがでしょうか。
 
(※)教育訓練給付金制度「検索システム」
 
執筆者:波多間純子
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント


 

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