執筆者: 河原畑芳彬
工場に正社員として勤務するために、転職時に持っていると有利な資格はあるのでしょうか?
資格の種類や内容など詳しく解説します。
工場求人の正社員雇用について
工場求人の正社員雇用には、主に2種類あります。一つは工場を保有するメーカーからの直接雇用、もう一つは転職エージェント経由での雇用です。それぞれ詳しく見ていきましょう。メーカー直接雇用の場合
求人サイトやメーカー公式のリクルートサイトなどから応募し、直接雇用されるケースです。サイトや求人雑誌などで誰でも閲覧できる情報のため、「公開求人」と呼ばれています。資格・条件などを満たせば誰でも応募できます。転職エージェント経由の雇用の場合
転職エージェントを通じて正社員になる方法は、主に二つです。一つは転職エージェントに雇用され、そこから各メーカーへと派遣されるケースです。その中で「紹介予定派遣」と呼ばれるものは、将来の正社員雇用を前提とした求人です。半年や1年などの派遣期間を経て、正社員としてふさわしいとメーカー側に判断されれば、正社員になることが可能です。
もう一つは、転職エージェントから、派遣ではなく正社員雇用の求人を紹介してもらい、採用面接などを経てメーカーに直接正社員として雇用される場合です。
転職エージェントを経由したこの二つの方法は、応募が殺到してしまうような好条件の「非公開求人」の紹介も受けられる可能性があります。
正社員のメリット
昇給は大きな魅力
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査の年齢階級別推移を見てみると、製造業の正社員であれば徐々にアップしていき、給与額のピークを迎える50代では大幅に変わってきます。派遣社員の場合、年齢や経験などある程度考慮されるケースはあるものの、昇給や給与差は小さいことが多いため、この昇給率の高さも正社員であることの大きな魅力の一つといえます。
退職金も大きな魅力
正社員が受け取ることができる退職金も大きな魅力です。会社や勤続年数によってさまざまですが、大手ともなれば勤続年数40年で2000万円を超えるケースもあるといわれています。
派遣社員にも退職金と似た制度はあり、例えば、日総工産株式会社が運営する転職サイト「工場求人ナビ」に掲載されたトヨタ自動車の期間従業員の場合、35ヶ月満了で、満了慰労金・報奨金合わせて総額306万4800円が支給されます(2020年7月22日掲載時点)。
しかし、正社員に支給される賞与や、雇用の安定性などを含めて考慮すると、やはり派遣社員の待遇面では正社員には遠く及ばない部分が多いでしょう。退職金は正社員の大きなメリットの一つです。
福利厚生は格差のない方向へ
平成27年4月1日にパートタイム労働法が改正されたことで、正社員と差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲が拡大しました。アルバイトのようなパートタイム労働者も、正社員が利用する福利厚生施設や待遇を利用できるように配慮するよう定められています。
工場で働く際にあると有利な資格
フォークリフト運転技能講習 修了
工場内外で物品を運搬するためのフォークリフトを運転するための資格です。1トン以上のフォークリフトを運転するためには技能講習(1トン未満は特別教育)を修了する必要があります。合格率は90%以上と推定され、比較的容易に取得できるとされる資格のため、工場勤務を考えている人には取得をおすすめします。
クレーン運転技能者
重い荷物などをつり上げるクレーン車両の運転・操作は国家資格で、教習所で実技試験をクリアする必要があります。中でも移動式クレーン運転士は難易度が高く、加えて玉掛技能者、大型特殊免許の3つの免許を併せ持つことでしか運転・操作できない「25トンつりラフタークレーン」の技能者は高く評価されています。
入社2年目の平均年収が450万円という企業もあるほど。車の運転や機械操作が好きだという人は、複数免許の合わせ技をおすすめします。
CADトレース技能審査
CADトレース技能審査は厚生労働大臣認定の資格です。CADトレース技能審査は初級・中級・上級があり、中級の実技試験の合格率は40~50%程度です。CADはパソコン上で機械の設計図や製図を行うためのソフトのことで、CADを扱う職業をCADトレース技士といいます。
就職に大変有利とされるCADトレース技士は、派遣でも高時給の傾向にあり、時給2000円を超えることもあります。時給2000円の場合、1日8時間、1ヶ月に20日間勤務で32万円の月収になります。
まとめ ~工場勤務で正社員を目指そう~
格差がなくなる方向にあるとはいっても、昇給や退職金など、さまざまな面で有利な仕組みがある正社員は魅力的な存在です。資格取得などで製造業での正社員を目指してはいかがでしょうか。転職活動に迷いがある人は、まずは転職エージェントに登録し、相談してみるのもおすすめです。