期間工でも、住民税の課税方法や支払方法は、普通に会社勤めをする場合と変わりません。しかし、居住地を離れて寮暮らしをし、短期間で退職をすることも多い期間工ならではの注意点があります。
この記事では、期間工として働く場合の住民税について、納付方法や納付先、注意したいポイントをまとめました。住民票を移していないケースについても解説していますので、参考にしてください。
住民税(個人住民税)とは?
都道府県民税と区市町村民税を合わせた税金を「住民税(個人住民税)」といいます。都道府県や区市町村が提供する行政サービスにかかる費用を、住民の負担能力に応じて分担することが住民税を徴収する目的です。
住民税には、次の5種類があります。
1.所得割:前年の所得額に応じ一律10%(区市町村民税6%・都道府県民税4%)が課税されます。
2.均等割:所得に関係なく定額で課税されます。(区市町村民税3500円・都道府県民税1500円)
3.利子割:預貯金の利子などに対して5%が課税されます。
4.配当割:上場株式などの配当や割引債の償還差益に対して5%が課税されます。
5.株式等譲渡所得割:源泉徴収選択口座内の株式などの譲渡益に対して5%が課税されます。
※税額・税率は令和2年現在
単に住民税と呼ぶときは、上記のうち「所得割」と「均等割」を合わせたものをいう場合がほとんどです。
住民税の普通徴収と特別徴収
住民税の納付方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2通りあります。・普通徴収:区市町村から6月ごろに送付される納税通知書を使って、年4期に分けて自分で納税をする方法
・特別徴収:給与所得者の6月~翌年5月の給与から、毎月天引きで徴収される方法
所得税を源泉徴収して国に納めている事業者は、従業員の個人住民税も原則として特別徴収しなければならないと決められています。そのため、期間工として働く場合でも、基本的には住民税が給与から天引きされることになります。
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期間工の住民税の納付方法
期間工として働く場合の住民税の納め方は、直前までの所得状況や前職を退職した時期などによって異なります。
■前年に収入がない場合
期間工として就職する前の年に収入がなかった場合は、期間工として働きはじめた年の住民税の徴収はありません。次の年からは、6月から翌5月にかけて、前年の所得に対する住民税が給与から天引きされるのが一般的です。
■ほかの仕事から転職した場合
ほかの仕事を辞めてから期間工の仕事に就いた場合は、辞めた時期で就職直後の納付方法が異なります。いずれの場合も、翌年度からは期間工の給与から天引きで徴収されるのが一般的です。
●5月中に退職した場合
残額は5月分のみとなるため最終給与から特別徴収され、新年度の住民税から普通徴収になります。
●退職が6~12月末の場合
翌年5月までに特別調整されるはずだった分を普通徴収に切り替えるか、退職時の一括徴収にするかを選択できます。普通徴収に切り替えた場合は、普通徴収の納付書が郵送されてきます。期間工の就職先で手続きすれば、特別徴収への切り替えが可能です。
●退職が1~4月末の場合
必ず給与または退職金から一括徴収され、期間工の給与から天引きされることはありません。
また、転職後も特別徴収を継続することもできます。特別徴収を継続するためには、前勤務先で「給与所得者異動届書」を期間工の就職先に送付してもらい、就職先を通じて納税先の区市町村へ提出しなければなりません。希望する場合は、手続きができるかどうか退職前に確認しておきましょう。
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住民票を移していない場合の住民税の納税先はどこになる?
また、大原則として覚えておきたいのは、引っ越しで住所を移した場合には、住民票を移動する法律上の義務があるということです。そのため、本来ならば速やかに住民票を移動する必要があります。違反すれば罰則が科される可能性もあることは心にとどめておきましょう。
そのうえで、何らかの事情があって住民票を移していない場合、住民税の納付先はどこになるのかを解説します。
住民税は基本的には、その年の1月1日に居住していた区市町村に納めると決められています。そのため、住民票のある場所にかかわらず、年が変わるまでは期間工として働く前に住んでいた区市町村が住民税の納付先です。
翌年以降は、実際に居住している期間工の寮がある区市町村が住民税の納付先になります。
ただし、例外もあります。例えば、家族が住む家のある区市町村に住民票を置いたまま期間工の寮に入り、休みごとに家に帰っているケースです。この場合には家のある区市町村が納税先であると判断されるようです。
個々の事例によって判断が異なるため、不明な点は市区町村の担当窓口に相談しましょう。
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期間工の住民税の注意点
住民税のことを考えるうえで最も大切なのは、延滞せずに確実に納付するということです。
期間工として働きはじめると、住居や勤務先が変わるために、住民税の納付方法も以前と変わる可能性があります。そのため、普通徴収に変わったことに気づかなかったなどの理由から、納付するのを失念してしまうケースも起こりがちです。
住民税を滞納すると、滞納期間に応じて延滞金が加算されます。延滞金の割合は令和3年の値で年8.8%(納期限の翌日から1ヶ月間は年2.5%)と、決して小さなものではありません。うっかりして損をしないよう、次のポイントに注意しましょう。
納税通知書を確実に受け取れるようにしておく
納税通知書が実家などに送付されて手元に届かないと、これまで特別徴収されていた感覚が抜けずに、納付を忘れてしまう可能性があります。納税通知書を確実に受け取れるように、寮の住所に住民票を移動するなど、事前の手続きをしておきましょう。
また、市区町村に「送付先変更依頼」を申請することで、納税通知書の送付先を住民票以外の住所に変更することもできます。
タイミングによっては住民票の移動が間に合わないこともあるため、郵便局の転居・転送サービスを利用すると安心です。郵便局の窓口で手続きできるほか、インターネットからも手続きすることができます。
退職翌年の徴収に備えておく
期間工を雇用期間満了などで退職すると、6月ごろになると次の仕事に就いていなくても住民税の納税通知書が届きます。 収入がないのになぜ納税通知書が届くのかというと、住民税は前の年の収入に対して課税されるためです。
住民税を普通徴収で納める場合、特別徴収のような月々払いではなく、4回払いでの納付になります。1回あたりの金額が大きいため、収入がない状態で支出するには、負担が大きく感じられるでしょう。
かといって支払わずにいると、延滞金が膨らみさらに大きな金額になってしまいます。
このような事態に陥らないよう、期間工を退職してすぐに次の仕事をしないときは、住民税の支払いに備えて資金を用意しておくことをおすすめします。
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住民税の課税タイミングと納付方法をチェックしよう
期間工は短期で退職することも多い職種です。就業状況や住所の変化にともない、住民税の納付方法や納付先が変化するため、状況を正しく把握する必要があります。
住民税のサイクルは、前年1~12月の所得に対して課税され、6月から翌年5月に分割で納付するというのが通常です。退職・就職のタイミングによっては、一括徴収となるケースや収入がないのに納付しなければならないケースが出てくることに注意しましょう。
また、納付方法も普通徴収と特別徴収があり、転職などのタイミングで切り替わることがあります。自分の納付方法をきちんと把握して、納付忘れなどがないようにすることが大切です。
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