自動車メーカー等で募集している期間工の仕事は、次のようなメリットを中心に語られることが多いです。
・「短期間で効率よく稼げる」
・「寮が完備されていて生活面での充実度合いが高い」
一方で、以下のようなネガティブなイメージがあるのもポイントです。
・「期間工として働いていたが最悪だった」
・「もう二度と期間工として働きたくない」
どちらを信じればいいのかわからなくなり、応募を躊躇(ためら)ってしまう人も少なくありません。
本記事では、「期間工」が本当にきついのか、詳しく解説します。きついと言われている理由やきついと感じたときの対処法にも触れるので、参考にしてみましょう。
「工」と名前がついているとおり、「工具・機材・ロボット」を使って働く職種であれば、「期間工」と呼んで差し支えないでしょう。
期間工の働き方はパートやアルバイトにも似ていますが、雇用形態としては「契約社員」に該当します。契約社員は正社員同等の待遇が受けられる他、あらかじめおよその勤務時間・勤務形態について相談してから雇用契約書を締結するのが特徴です。
そのため働き方を固定化させやすく、パートやアルバイトのように「人員が足りているから今日はシフトに入らなくて良い」と告げられることもありません。安定収入を得やすく、かつ正社員ほど厳しい働き方を求められないという点で、期間工が人気を集めています。
重すぎるものや破損リスクのあるものは基本的にロボットが運んでくれますが、それでも人が部品をセットしたりチェックのため持ち上げたりするシーンはどうしても発生してしまうもの。筋肉痛や腰痛・肩こりが日常茶飯事であり、なかには体力的にしんどくて退職を選択してしまう人もいます。
また、立ち仕事が多くて疲れてしまう、中腰姿勢が多い、などの懸念点があるのもポイントです。体力面に自信のない人は、期間工に向かないかもしれません。
仕事内容自体はそう難しいものではなく、ある程度しっかり研修・教育を受ければ誰でも可能なので安心してよいでしょう。期間工を採用している多くのメーカーでは万全の教育体制を整えており、未経験でも問題なく業務ができるようになっています。
ただし、誰でもできる仕事だからこそ単純作業が多く、精神的なつらさがあるのも事実です。ずっとライン上のパーツを見ているだけの仕事に飽き飽きしてしまったり、一定のリズムで仕事をこなし続けるのがつらく感じられたりするかもしれません。目や体は忙しくないのに心が暇で、妙なギャップを感じてしまう人も多いのです。
未経験で入社した最初のうちは多少大目に見てもらうことができても、ある程度慣れれば仕事に対するクオリティーやスピードも求められます。「入社してしばらくたったのにミスがなくならない」、「丁寧に教えてもらっているのにいつも自分のせいでラインを止めてしまう」となっては、精神的なプレッシャーは計り知れません。
また、そうならないよう常に気を張り巡らせて仕事をする必要もあり、1日を終える頃にはぐったり疲れ切ってしまうこともあるようです。
期間工もシフトを組んで交替制で働くことになるため、日勤の日があったり夜勤の日があったり不規則になるのがデメリット。夜勤の直後に日勤が組まれないようシフトを調整してくれる企業がほとんどですが、生活リズムが整わないこと自体がストレスになってしまう人も多いです。
また、「もともと朝型生活をしていたので夜に働くのがつらい」、「もともと夜型生活だったので朝決められた時間に起きられない」など、勤怠状況や集中力が乱れてしまうのも懸念点のひとつです。あまり集中できない状態が続くとミスも多くなるので注意しましょう。
工場のシフト体制や業務の時間帯に関しては、自身の生活スタイルや体に支障のないスケジュールか、など事前に確認するようにしましょう。
本来であれば長期間かけて信頼関係を構築し、仕事の話だけでなくプライベートの話もしながら交流を深めていける上司や同僚がいますが、期間工の場合はどうしても人付き合いが薄くなります。最低限仕事で必要なコミュニケーションを取るだけの生活が寂しくなり、精神的につらくなってしまうことも。
また、期間工はどの工場に配属されるかわからない企業も多く、場合によっては全国47都道府県が就業先の選択肢となります。近隣に親戚や友人がいるとも限らず、孤独感が募ってホームシックにならないよう注意しましょう。
そのため、メーカーや工場での勤務が初めての人でも就労可能です。その他、ニートやフリーター期間が長くて職歴と年齢が釣り合っていない人や、学校中退や早期離職など経歴に不安がある人でも安心。職場によっては女性でも就労できるので、多くの人にチャンスがあります。
例えば、「アイシン」の期間工は月収モデル30万5201円、「ホンダ」の期間工は月収モデル30万7600円、など未経験で就職できる仕事としては高い給与を提示しています。2023年度の大卒初任給の平均が22万5686円(一般財団法人労務行政研究所調査)であることと比較すれば、いかに高い額かわかるでしょう。
つまり、未経験かつブランクのある人でも正社員同等の収入を確保できる働き方であり、効率よく稼ぎたい人に評価されている理由がわかります。
また、企業によってはオリジナルの手当金制度を設けている場合があるのでチェックしておきましょう。勤続年数に応じて追加の報奨金が出たり、食事手当や通勤手当が高めに設定されていたりする企業もあるので、「塵も積もれば山となる」式で年収を伸ばすことが可能です。
つまり、期間工として働いている間は家賃がかからず、貯金が貯まりやすくなります。引っ越し資金がなくて困っている実家暮らしの人や、家賃更新に合わせて住む場所を迷っている人にもおすすめです。
期間工として働いている際の保険加入歴を合算すれば、勤め終わった後に失業手当を受給できる可能性も高く、金銭的なメリットも十分です。
その他、作業服を無料で貸与してくれたり、食費を支給してくれたり、さまざまな福利厚生があるので要チェック。具体的な法定外福利は企業ごとに異なるので、入社前に比較してみるのがおすすめです。
下記では、特に期間工に向いている人のタイプを紹介します。
反対に、自分ならではのアイデアや創造力を駆使して働く頭脳労働が好きな人にとって、ライン作業は非常にきついかもしれません。作業自体がどんなに楽でも早々に飽きてしまい、1日の時間が長く感じられることも多いです。結果、有能かどうかとは別の次元で仕事を辞める要因となってしまうので注意しましょう。
その他、どうしても欲しいものがある人や借金を早々に返済してしまいたい人が短期的に就労する場としてもおすすめです。業務を覚えながら少しずつ昇進・昇格を目指す正社員や、時給相場の安いパート・アルバイトにするより効率よく収入を得られます。
また、海外に拠点を持っていてたまに日本に戻ってきた人が期間工として働く、などフレキシブルな使い方もできるので注目しておきましょう。働き方の多様性が認められるようになっている今の時代だからこそ、期間工の選択肢が増えています。
寮の設備は企業により異なるので、より良い住環境を求めているのであれば面接前の確認が必須です。なかには食堂があり朝晩毎日食事が提供される寮があったり、完全個室で大浴場まで使えたりする寮があったり、内容はさまざまです。プライベート時間もリフレッシュできるような寮であれば、十分なメリットを実感できます。
または勤続年数に応じて正社員登用試験が受けられる企業もあり、非正規雇用から脱却するきっかけになることもあります。期間工を募集している企業のほとんどは国内有数の大手メーカーであり、正社員として入社すればさらなる好条件が期待できます。
既に複数の正社員求人に応募していて、なかなかうまくいかない人は期間工など契約社員からのキャリアアップを検討してみましょう。真面目にコツコツ働ける人は製造業で重宝されやすく、特別なスキルがなくても正社員になれる可能性が高いです。
ここでは長く期間工を続けたい人に向けて、期間工がきついと感じたときの対処法を解説します。
そんなときは、まずは仕事の範囲で社内コミュニケーションを密にするよう意識してみましょう。手近なところから始めるのであれば、上司へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)回数を増やし、会話のきっかけを増やすのがおすすめです。意欲があり話しやすい人材だとみなされれば、そこから仕事以外の会話に発展するなどきっかけがつかめるかもしれません。
また、寮内でコミュニケーションが好きそうな人がいれば積極的に話しかけるなど、同僚とのつながりを意識するのも効果的です。あまりしつこくするのはNGですが、「どうせ期間工だから……」と最小限のコミュニケーションに抑えるより、職場の居心地が良くなります。
例えば「1年間で最低200万円は貯める」「1年後の正社員登用試験に必ず合格する」など、内容は何でも構いません。なぜ期間工として働くのか、長く期間工として働いた先にどんなインセンティブがあるか、明確にしておきましょう。
目的意識が明確であれば、仕事がつらいと感じたときに振り返ることができます。少しのつらさであれば我慢して働けたり、期間工のデメリットだけでなくメリットにも目を向けられたりするのがポイントです。結果的に就業期間が長くなりやすく、自分にとっても大きな成長となります。
反対に、「なんとなく」で期間工を選んでしまった場合、つらいと感じたときにモチベーションを戻す方法がありません。「高収入である」という一点だけではつらさのほうが勝ってしまう可能性もあるので、注意しましょう。
寮にも上司や同僚がいて気が休まらなかったり、寮での過ごし方も仕事に含まれているような気がしたり、なんとなくリフレッシュできないことも多いです。1ヶ月未満のごく短期であれば問題ないかもしれませんが、3ヶ月以上働く期間工の場合、プライベート時間のなさがストレスになることも少なくありません。
そのため、仕事との切り替えを意識的におこない、プライベート時間に入る前のルーティンを作るなど自分なりのやり方を見つけるのがおすすめです。完全1人部屋が提供される寮であれば自室内でできる気軽な趣味を楽しんだり、外に出てショッピングや娯楽を楽しんだりするのもよいでしょう。
とはいえ、寮の周辺環境は企業により異なります。寮から行ける範囲にショッピングモール等がないケースも多いので、できる限りひとりでリフレッシュできる方策を見つけておくのがおすすめです。
求人を見ていると、よく「近くにコンビニあり」や周辺情報が載っていたりもしますし、マップなどで娯楽ができそうなところが近くにあるようなエリアを選ぶのもひとつの手でしょう。
仕事にやりがいを感じられたり上司・同僚と円滑な人間関係を構築できたりするのが理想ですが、万が一うまくいかなくても問題ありません。決められた仕事をきちんとこなし、ミスやトラブルなく最後まで勤務し続けることができれば、給料は問題なく支払われます。
当然、熱意があっても人間関係が良くても、期間工でいるうちは爆発的に収入を伸ばすことはできないので要注意。粛々と働いて十分なお金を得ることができれば、それだけで十分とする考え方もあります。
仕事と自分との間に一定の線引きをすることは、メンタルの安定にもつながります。本気で正社員登用を目指すのであれば在職中になるべくアピールしておくなど別の対策が必要ですが、期間工で終了する予定なのであれば目先のつらさより得られる実入りを優先しましょう。
仕事内容やきつさの程度は、企業により大きく異なります。同じ期間工であってもきつさには大きな違いがあることを理解し、できる限り「求人応募の段階できつい期間工を避けておく」のがポイントです。
自動車部品メーカーで扱う製品はひとつひとつが小さいため持ち運びに力が要らず、無理な体勢での検品や重量のあるパーツを持ち上げて実施する取り付けが発生しないのがメリットです。その分単純作業が多く、仕事に飽きたり精神的につらくなったりする恐れがありますが、きつい筋肉痛に悩まされることはありません。完成したパーツもフォークリフトやラインが運んでくれるので、段ボール運搬等も最小限です。
反対に完成品メーカーの場合、自動車のドアやタイヤなど重いパーツを運ぶことも多いです。自動車内部に入り込んで無理な体勢での取り付けが続いたり、中腰での作業が続いたりすることで、肩こり・腰痛が発生することも珍しくありません。よほど体力に自信のある人や、体を使って働くのが好きな人でないと、相性が悪い可能性があります。
特に、「朝起きるのがどうしても苦手」、「夜になると睡眠時間の長短に関係なく眠くなってしまう」という人におすすめの働き方です。応募先企業での働き方が、完全ランダムなシフト制なのか固定勤務制なのか、事前に調べておきましょう。
残業代や休日出勤手当が加算されるため金銭的なメリットが大きいですが、残業が苦になって期間工を早期離職してしまっては本末転倒です。特に初めて期間工として働く人や初めてのメーカーに入社する人は、最低限慣れるまでの間は残業を少な目に抑えるのが理想です。
とはいえ、残業や休日出勤は企業側の都合に合わせて規定範囲内で命じることができ、自分の意思だけで100%断れるとは限らないのも現状です。事前にどの程度の残業・休日出勤が生じるのか、繁忙期の有無と併せて確認しておきましょう。
SNSや口コミ投稿サイトで「〇〇社 期間工」とリサーチすれば、生の声がピンポイントで読めるので確認してみましょう。公式HPには記載されていない思わぬ落とし穴や、考えていなかったメリット・デメリットがわかるかもしれません。
また、個人でブログやnoteをやっている人のなかには、寮の写真などを掲載しながらリアルな体験談を語っている人もいます。重要な参考資料となるため、不安の強い人ほど事前に目を通しておくのがおすすめです。
登録後はキャリアアドバイザーとオンライン上でマンツーマンのコンサルティングが始まり、「どんな仕事に就きたいか」「月収いくら程度欲しいか」など細かな条件をヒアリングされます。その条件に合う期間工求人だけを紹介してくれるので、自分で求人を比較する必要がありません。
人材紹介会社を使うメリットは、手間の削減だけでなくリアルな口コミを収集しやすい点にあります。複数社の求人を扱う人材紹介会社であれば、紹介先ごとの特徴に詳しいので、実際にどんな働き方になるか教えてもらえます。第三者の立場から忌憚(きたん)のない意見が欲しいときに、活用していきましょう。
採用条件や給与形態、福利厚生などは各メーカーにより異なるので、詳しくはメーカーの求人サイトをチェックしてみましょう。下記では主な特徴を解説します。
大手自動車メーカーならではの知名度があるので安心感が高く、スマートフォンひとつあれば気軽に応募できるのもポイント。勤続年数に応じてベース給が上がったり、トヨタ期間工として過去に働いた回数が多いほど最初の給与が上がったりするので、長く続けるモチベーションや再応募の要因にもなっています。
また、契約満了者には「満了慰労金」が支払われるので、最後まで続けやすいのもメリットのひとつです。その他にも、赴任手当・経験者手当・特別手当・初回更新特別手当など、金銭的なインセンティブが多めです。
正社員登用制度もあるので、誰もが知る大企業で働くチャンスをつかめるかもしれません。給与の高さも相まって、一発逆転できる可能性のある仕事として知られています。
女性期間工も多く、体力・筋力がない人や初めての期間工にチャレンジしたい人にもおすすめです。その分扱う部品は小さいものが多いので、細かな傷を見つける集中力や寸法通りになっているか検品する正確性が試されます。
また、アイシン期間工の給与は時給制で計算されるので、働いた日数・時間数に応じて正確に支払われるのがポイントです。当然ながら残業代や休日出勤手当には割増分が追加され、働けば働くほど稼げる仕組みになっています。
入社祝い金制度もあり、これまでアイシンで働いたことのない人であれば入社するだけでお金が入るのもうれしいポイントと言えるでしょう。充実した福利厚生のなか、体力仕事を可能な限り避けて働きたい人に向いています。
継続すればするほど好条件になるため、続けるモチベーションにつながりやすいのがポイントです。仕事がきついと感じても給与面でのメリットが大きいので、簡単に離職しなくて済むでしょう。
寮の種類も多く、完全個室タイプの寮もあれば、相部屋タイプの寮もあるので要注意。もともと相部屋で問題ない人であれば良いですが、プライバシーを重視したい人であればストレスの元となる可能性があります。その分、足を伸ばして入れる大浴場や格安の水道光熱費などが整備されており、暮らしやすい環境です。
年間休日122日、有給休暇取得率80%、ゴールデンウィークや夏季・冬季にはそれぞれ約10日間の連休あり、と至れり尽くせりな条件がそろっています。
そのため定着率も97.2%と非常に高く、人が居つく企業なのがポイントです。その後は正社員登用してもらったり、また期間工の募集が出次第再度応募したり、人によりさまざまなキャリアを歩めます。
スバルは全体の4割近くが自宅等から通勤しているため、無理に寮を使う必要もありません。自宅から通える期間工の求人を探している人にもおすすめです。
もちろん本人の希望と工場側のニーズが合致すれば契約期間を更新できるので、長く働き続けることも可能です。基本的には2交替制での勤務が中心となりますが、日勤と夜勤を1週間ごとに繰り返すサイクルなので生活リズムを作りやすく、シフトの見通しも立てやすいのがメリットです。
なお、社内レクリエーションが盛んな企業としても知られており、期間工が参加できるイベントやボランティアも多いです。仕事以外でもなるべく体を動かしていたい人や、地域住民を含むさまざまな人とコミュニケーションを取っていたほうがストレスを緩和しやすい人には特におすすめです。1日の就労時間も6時間から7時間程度と短く、無理なくプライベートと両立できます。
面接時には、面接だけでなく筆記試験・実技試験・ストレッチ試験があるのが特徴です。いずれも特別な身体能力を試すものではなく、「まっすぐ立っていられるか」「かがんだ姿勢を一定時間キープできるか」など基本的なことばかりなので、事前のトレーニング等は要りません。立ち仕事が多い職種だからこその面接スタイルであることを理解し、事前に心構えしておきましょう。
給与が高い、寮や福利厚生が充実していて安心、正社員登用のチャンスがある……など、メリットは意外にも多いもの。自分が何のために期間工として働く道を選んだのか、事前に目的を可視化しておくことでモチベーションも維持できます。
なお、実際の仕事内容がどの程度きついかは、入社する企業や配属先の工場により異なります。各社の採用HPでは仕事や給与に関する詳細が掲載されているのでチェックし、自分に合っていそうな企業から優先的に応募してみましょう。
トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
トヨタ自動車 期間従業員募集サイト
株式会社アイシン
株式会社アイシン 期間従業員募集サイト
DENSO-株式会社デンソー
株式会社デンソー 期間従業員募集
株式会社SUBARU(スバル)
スバル期間従業員(期間工)求人サイト
本田技研工業株式会社|Honda 企業情報サイト
Honda 期間従業員採用サイト
マツダ株式会社 企業サイト
マツダ株式会社 期間社員採用情報
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
・「短期間で効率よく稼げる」
・「寮が完備されていて生活面での充実度合いが高い」
一方で、以下のようなネガティブなイメージがあるのもポイントです。
・「期間工として働いていたが最悪だった」
・「もう二度と期間工として働きたくない」
どちらを信じればいいのかわからなくなり、応募を躊躇(ためら)ってしまう人も少なくありません。
本記事では、「期間工」が本当にきついのか、詳しく解説します。きついと言われている理由やきついと感じたときの対処法にも触れるので、参考にしてみましょう。
目次
期間工とは?
期間工とは、期間限定で仕事をする働き方および期間限定で仕事をする人そのものの呼び名です。主に工場などの製造業で働く期間従業員が「期間工」と呼ばれており、同じく短期就労であっても、製造業以外の業種・職種ではあまり「期間工」という呼び方はしていません。「工」と名前がついているとおり、「工具・機材・ロボット」を使って働く職種であれば、「期間工」と呼んで差し支えないでしょう。
期間工の働き方はパートやアルバイトにも似ていますが、雇用形態としては「契約社員」に該当します。契約社員は正社員同等の待遇が受けられる他、あらかじめおよその勤務時間・勤務形態について相談してから雇用契約書を締結するのが特徴です。
そのため働き方を固定化させやすく、パートやアルバイトのように「人員が足りているから今日はシフトに入らなくて良い」と告げられることもありません。安定収入を得やすく、かつ正社員ほど厳しい働き方を求められないという点で、期間工が人気を集めています。
期間工がきつい理由
期間工ならではのうまみやメリットが注目される一方で、「期間工はきつい」、「期間工の仕事はつらいからやめたほうがいい」などネガティブな口コミがあるのも事実です。ここではなぜ期間工がきついと言われているのか、代表的な理由を解説します。期間工が体力仕事だから
期間工は基本的に工場や倉庫で働くことが多く、「大きな部品・パーツ」や「重い材料」を取り扱います。重すぎるものや破損リスクのあるものは基本的にロボットが運んでくれますが、それでも人が部品をセットしたりチェックのため持ち上げたりするシーンはどうしても発生してしまうもの。筋肉痛や腰痛・肩こりが日常茶飯事であり、なかには体力的にしんどくて退職を選択してしまう人もいます。
また、立ち仕事が多くて疲れてしまう、中腰姿勢が多い、などの懸念点があるのもポイントです。体力面に自信のない人は、期間工に向かないかもしれません。
期間工には単純作業が多いから
期間工はライン上を流れてくるパーツや部品をチェックしたり、簡単な組み立てをしたりするのが主な仕事です。仕事内容自体はそう難しいものではなく、ある程度しっかり研修・教育を受ければ誰でも可能なので安心してよいでしょう。期間工を採用している多くのメーカーでは万全の教育体制を整えており、未経験でも問題なく業務ができるようになっています。
ただし、誰でもできる仕事だからこそ単純作業が多く、精神的なつらさがあるのも事実です。ずっとライン上のパーツを見ているだけの仕事に飽き飽きしてしまったり、一定のリズムで仕事をこなし続けるのがつらく感じられたりするかもしれません。目や体は忙しくないのに心が暇で、妙なギャップを感じてしまう人も多いのです。
期間工ひとりの仕事が全体に影響するプレッシャー
工場でのライン仕事は、ひとりの仕事が全体の進行に影響します。自分の担当部分で遅れを出してしまうとラインが止まってしまうので、決められた時間内に間違えず仕事を進めることが欠かせません。未経験で入社した最初のうちは多少大目に見てもらうことができても、ある程度慣れれば仕事に対するクオリティーやスピードも求められます。「入社してしばらくたったのにミスがなくならない」、「丁寧に教えてもらっているのにいつも自分のせいでラインを止めてしまう」となっては、精神的なプレッシャーは計り知れません。
また、そうならないよう常に気を張り巡らせて仕事をする必要もあり、1日を終える頃にはぐったり疲れ切ってしまうこともあるようです。
生活リズムが不規則になるから
24時間体制で稼働している工場の場合、シフト制で仕事を回していくのが一般的です。期間工もシフトを組んで交替制で働くことになるため、日勤の日があったり夜勤の日があったり不規則になるのがデメリット。夜勤の直後に日勤が組まれないようシフトを調整してくれる企業がほとんどですが、生活リズムが整わないこと自体がストレスになってしまう人も多いです。
また、「もともと朝型生活をしていたので夜に働くのがつらい」、「もともと夜型生活だったので朝決められた時間に起きられない」など、勤怠状況や集中力が乱れてしまうのも懸念点のひとつです。あまり集中できない状態が続くとミスも多くなるので注意しましょう。
工場のシフト体制や業務の時間帯に関しては、自身の生活スタイルや体に支障のないスケジュールか、など事前に確認するようにしましょう。
期間工では人間関係を構築できない場合がある
期間工は短期的な就労が前提となっているため、職場での人間関係を構築しづらいのもきつさの要因となっています。本来であれば長期間かけて信頼関係を構築し、仕事の話だけでなくプライベートの話もしながら交流を深めていける上司や同僚がいますが、期間工の場合はどうしても人付き合いが薄くなります。最低限仕事で必要なコミュニケーションを取るだけの生活が寂しくなり、精神的につらくなってしまうことも。
また、期間工はどの工場に配属されるかわからない企業も多く、場合によっては全国47都道府県が就業先の選択肢となります。近隣に親戚や友人がいるとも限らず、孤独感が募ってホームシックにならないよう注意しましょう。
きつい期間工でも働いて得られるメリット
期間工は確かに楽な仕事ではないですが、それでも十分なメリットがあるのが特徴です。ここでは期間工として働く主なメリットを解説します。期間工メリット(1)未経験・ブランクありでも職歴を積める
期間工は未経験でも応募することができ、学歴・職歴・年齢・性別もほぼ不問となっています。求人によっては「〇ヶ月以上働ける人」など条件が指定されている場合もありますが、基本的に実務経験が求められることはありません。そのため、メーカーや工場での勤務が初めての人でも就労可能です。その他、ニートやフリーター期間が長くて職歴と年齢が釣り合っていない人や、学校中退や早期離職など経歴に不安がある人でも安心。職場によっては女性でも就労できるので、多くの人にチャンスがあります。
期間工メリット(2)給与相場が高く稼ぎやすい
期間工の給与相場は高く、未経験で入社した場合でも安定した収入を得られます。例えば、「アイシン」の期間工は月収モデル30万5201円、「ホンダ」の期間工は月収モデル30万7600円、など未経験で就職できる仕事としては高い給与を提示しています。2023年度の大卒初任給の平均が22万5686円(一般財団法人労務行政研究所調査)であることと比較すれば、いかに高い額かわかるでしょう。
つまり、未経験かつブランクのある人でも正社員同等の収入を確保できる働き方であり、効率よく稼ぎたい人に評価されている理由がわかります。
また、企業によってはオリジナルの手当金制度を設けている場合があるのでチェックしておきましょう。勤続年数に応じて追加の報奨金が出たり、食事手当や通勤手当が高めに設定されていたりする企業もあるので、「塵も積もれば山となる」式で年収を伸ばすことが可能です。
期間工メリット(3)寮の完備で生活を安定させられる
期間工向けの寮を完備している企業は多く、遠方からの赴任でも自分でアパートを用意する必要がありません。大半の場合は無料で入居でき、かつ寝具・エアコン・冷蔵庫・洗濯機など生活に欠かせない家具・家電が備え付けられています。そのため、入居時に必要な諸費用もかからないのが大きなメリットと言えるでしょう。つまり、期間工として働いている間は家賃がかからず、貯金が貯まりやすくなります。引っ越し資金がなくて困っている実家暮らしの人や、家賃更新に合わせて住む場所を迷っている人にもおすすめです。
期間工メリット(4)福利厚生が充実している
期間工は契約社員として雇用契約を締結するため、正社員並みの福利厚生を受けられます。雇用保険・健康保険・厚生年金保険・介護保険などに加入できるのはもちろん、労災保険にも加入できるため万が一のけが・病気時も安心です。期間工として働いている際の保険加入歴を合算すれば、勤め終わった後に失業手当を受給できる可能性も高く、金銭的なメリットも十分です。
その他、作業服を無料で貸与してくれたり、食費を支給してくれたり、さまざまな福利厚生があるので要チェック。具体的な法定外福利は企業ごとに異なるので、入社前に比較してみるのがおすすめです。
期間工に向いている人
期間工として働くのには向き・不向きがあるので注意しましょう。メリットの多い期間工であっても、あまりにも期間工向きでない人が働いてしまうとデメリットのほうが上回ってしまいます。下記では、特に期間工に向いている人のタイプを紹介します。
期間工向きの人(1)同じ作業を続けるのが苦でない人
期間工はライン作業が多く、毎日同じような作業になりやすいのが特徴です。同じ作業でも飽きることなくコツコツ継続できる人や、もともとマニュアル化された仕事が好きな人であれば、ライン作業との適性は抜群です。作業中にストレスを感じないため長続きしやすく、精神的な疲労も最小限です。反対に、自分ならではのアイデアや創造力を駆使して働く頭脳労働が好きな人にとって、ライン作業は非常にきついかもしれません。作業自体がどんなに楽でも早々に飽きてしまい、1日の時間が長く感じられることも多いです。結果、有能かどうかとは別の次元で仕事を辞める要因となってしまうので注意しましょう。
期間工向きの人(2)手っ取り早く貯金したい人
期間工は完全未経験でも高収入を得られる仕事であり、手っ取り早く稼ぎたい人に最適です。「世界一周旅行をしたいから今のうちに貯金したい」など目的があればきつい仕事でも継続しやすく、働くモチベーションに変換できます。その他、どうしても欲しいものがある人や借金を早々に返済してしまいたい人が短期的に就労する場としてもおすすめです。業務を覚えながら少しずつ昇進・昇格を目指す正社員や、時給相場の安いパート・アルバイトにするより効率よく収入を得られます。
期間工向きの人(3)短期間だけ働きたい人
「期間工」と名がつくとおり、期間工は基本的に短期雇用を目的とした雇用形態です。相性と本人の希望が合致すれば契約更新することも可能ですが、本人が希望しなければ最短3ヶ月程度の就労だけで完結できるのがメリットとなります。そのため、家事・育児の合間を縫って短期集中型で働きたい人や、正社員から正社員へ転職する間のブランク期間だけ働きたい人におすすめです。また、海外に拠点を持っていてたまに日本に戻ってきた人が期間工として働く、などフレキシブルな使い方もできるので注目しておきましょう。働き方の多様性が認められるようになっている今の時代だからこそ、期間工の選択肢が増えています。
期間工向きの人(4)住み込みの仕事がしたい人
期間工として採用されると企業が用意する寮やアパートを使えるので、住み込みの仕事がしたい人に向いています。最低限の衣食住に関する心配がないので、まずは腰を据えて仕事に集中できるのもメリットです。ある程度貯金が貯まったら好きなものを買ったり自分でアパートを借りたり、自由な使い方が可能です。寮の設備は企業により異なるので、より良い住環境を求めているのであれば面接前の確認が必須です。なかには食堂があり朝晩毎日食事が提供される寮があったり、完全個室で大浴場まで使えたりする寮があったり、内容はさまざまです。プライベート時間もリフレッシュできるような寮であれば、十分なメリットを実感できます。
期間工向きの人(5)将来的に正社員になりたい人
期間工から正社員を採用している企業は意外と多く、勤怠状況や実績・人柄・熱意次第では企業側から正社員にならないかと声をかけてもらうことも可能です。または勤続年数に応じて正社員登用試験が受けられる企業もあり、非正規雇用から脱却するきっかけになることもあります。期間工を募集している企業のほとんどは国内有数の大手メーカーであり、正社員として入社すればさらなる好条件が期待できます。
既に複数の正社員求人に応募していて、なかなかうまくいかない人は期間工など契約社員からのキャリアアップを検討してみましょう。真面目にコツコツ働ける人は製造業で重宝されやすく、特別なスキルがなくても正社員になれる可能性が高いです。
期間工がきついと感じたときの対処法
どんなに期間工のメリットを実感していても、「仕事がきつい」「そろそろ辞めたい」と考えてしまうシーンもあるでしょう。ここでは長く期間工を続けたい人に向けて、期間工がきついと感じたときの対処法を解説します。
社内コミュニケーションを密にするよう意識する
期間工は単純作業が多く、しっかりマニュアルが決められていて複雑な仕事は全てロボットが実行してくれるため、社内コミュニケーションが最小限になってしまいがちです。人付き合いが苦手な人にとっては居心地が良いかもしれませんが、人とのコミュニケーションが好きな人は閉鎖感や孤独感を味わうかもしれません。そんなときは、まずは仕事の範囲で社内コミュニケーションを密にするよう意識してみましょう。手近なところから始めるのであれば、上司へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)回数を増やし、会話のきっかけを増やすのがおすすめです。意欲があり話しやすい人材だとみなされれば、そこから仕事以外の会話に発展するなどきっかけがつかめるかもしれません。
また、寮内でコミュニケーションが好きそうな人がいれば積極的に話しかけるなど、同僚とのつながりを意識するのも効果的です。あまりしつこくするのはNGですが、「どうせ期間工だから……」と最小限のコミュニケーションに抑えるより、職場の居心地が良くなります。
期間工として働く目的意識を持つ
可能な限り、期間工として入社するより前に「期間工として働く目的」を可視化しておくのがおすすめです。例えば「1年間で最低200万円は貯める」「1年後の正社員登用試験に必ず合格する」など、内容は何でも構いません。なぜ期間工として働くのか、長く期間工として働いた先にどんなインセンティブがあるか、明確にしておきましょう。
目的意識が明確であれば、仕事がつらいと感じたときに振り返ることができます。少しのつらさであれば我慢して働けたり、期間工のデメリットだけでなくメリットにも目を向けられたりするのがポイントです。結果的に就業期間が長くなりやすく、自分にとっても大きな成長となります。
反対に、「なんとなく」で期間工を選んでしまった場合、つらいと感じたときにモチベーションを戻す方法がありません。「高収入である」という一点だけではつらさのほうが勝ってしまう可能性もあるので、注意しましょう。
プライベート時間を大切にする
期間工は日勤・夜勤を繰り返す不規則な生活になりやすく、かつ住む場所も会社が用意した寮になるため、どこからがプライベート時間か線引きが曖昧になってしまいます。寮にも上司や同僚がいて気が休まらなかったり、寮での過ごし方も仕事に含まれているような気がしたり、なんとなくリフレッシュできないことも多いです。1ヶ月未満のごく短期であれば問題ないかもしれませんが、3ヶ月以上働く期間工の場合、プライベート時間のなさがストレスになることも少なくありません。
そのため、仕事との切り替えを意識的におこない、プライベート時間に入る前のルーティンを作るなど自分なりのやり方を見つけるのがおすすめです。完全1人部屋が提供される寮であれば自室内でできる気軽な趣味を楽しんだり、外に出てショッピングや娯楽を楽しんだりするのもよいでしょう。
とはいえ、寮の周辺環境は企業により異なります。寮から行ける範囲にショッピングモール等がないケースも多いので、できる限りひとりでリフレッシュできる方策を見つけておくのがおすすめです。
求人を見ていると、よく「近くにコンビニあり」や周辺情報が載っていたりもしますし、マップなどで娯楽ができそうなところが近くにあるようなエリアを選ぶのもひとつの手でしょう。
お金のためと割り切る
期間工として働く人の多くは「高収入・好待遇」に魅力を感じて応募しているため、お金のためだと割り切って働くのもひとつの方法です。仕事にやりがいを感じられたり上司・同僚と円滑な人間関係を構築できたりするのが理想ですが、万が一うまくいかなくても問題ありません。決められた仕事をきちんとこなし、ミスやトラブルなく最後まで勤務し続けることができれば、給料は問題なく支払われます。
当然、熱意があっても人間関係が良くても、期間工でいるうちは爆発的に収入を伸ばすことはできないので要注意。粛々と働いて十分なお金を得ることができれば、それだけで十分とする考え方もあります。
仕事と自分との間に一定の線引きをすることは、メンタルの安定にもつながります。本気で正社員登用を目指すのであれば在職中になるべくアピールしておくなど別の対策が必要ですが、期間工で終了する予定なのであれば目先のつらさより得られる実入りを優先しましょう。
きつい期間工の仕事を避ける方法
次に、きつい期間工の仕事を避ける方法を解説します。仕事内容やきつさの程度は、企業により大きく異なります。同じ期間工であってもきつさには大きな違いがあることを理解し、できる限り「求人応募の段階できつい期間工を避けておく」のがポイントです。
体力が心配なら「部品メーカー」を選ぶ
体力面で続くか心配なのであれば、完成品メーカーより「部品メーカー」を選択しましょう。例えば、自動車業界の場合、自動車メーカーの期間工より自動車部品メーカーのほうが身体的なつらさはありません。自動車部品メーカーで扱う製品はひとつひとつが小さいため持ち運びに力が要らず、無理な体勢での検品や重量のあるパーツを持ち上げて実施する取り付けが発生しないのがメリットです。その分単純作業が多く、仕事に飽きたり精神的につらくなったりする恐れがありますが、きつい筋肉痛に悩まされることはありません。完成したパーツもフォークリフトやラインが運んでくれるので、段ボール運搬等も最小限です。
反対に完成品メーカーの場合、自動車のドアやタイヤなど重いパーツを運ぶことも多いです。自動車内部に入り込んで無理な体勢での取り付けが続いたり、中腰での作業が続いたりすることで、肩こり・腰痛が発生することも珍しくありません。よほど体力に自信のある人や、体を使って働くのが好きな人でないと、相性が悪い可能性があります。
勤務時間帯が固定されている企業を選ぶ
勤務時間が固定されている企業であれば、生活リズムが不規則になるつらさから解放されます。毎日同じリズムで働けるので体内時計も狂わず、食事のタイミングも安定するので身体的なつらさもありません。日勤であれば日勤、夜勤であれば夜勤、と専従することで仕事内容も固定化されていくなど、副次的なメリットも多いです。特に、「朝起きるのがどうしても苦手」、「夜になると睡眠時間の長短に関係なく眠くなってしまう」という人におすすめの働き方です。応募先企業での働き方が、完全ランダムなシフト制なのか固定勤務制なのか、事前に調べておきましょう。
残業・休日出勤の少ない企業を選ぶ
残業・休日出勤が多い企業では十分なリフレッシュ時間を取れず、前日の疲れを残したままの勤務になることが多いです。残業代や休日出勤手当が加算されるため金銭的なメリットが大きいですが、残業が苦になって期間工を早期離職してしまっては本末転倒です。特に初めて期間工として働く人や初めてのメーカーに入社する人は、最低限慣れるまでの間は残業を少な目に抑えるのが理想です。
とはいえ、残業や休日出勤は企業側の都合に合わせて規定範囲内で命じることができ、自分の意思だけで100%断れるとは限らないのも現状です。事前にどの程度の残業・休日出勤が生じるのか、繁忙期の有無と併せて確認しておきましょう。
事前に口コミ・評判をリサーチしておく
期間工に関する情報は基本的に企業公式の採用HPで収集することとなりますが、それ以外に実際そこで期間工として働いていた人からの寄せられる口コミ・評判をチェックしておくのもおすすめです。SNSや口コミ投稿サイトで「〇〇社 期間工」とリサーチすれば、生の声がピンポイントで読めるので確認してみましょう。公式HPには記載されていない思わぬ落とし穴や、考えていなかったメリット・デメリットがわかるかもしれません。
また、個人でブログやnoteをやっている人のなかには、寮の写真などを掲載しながらリアルな体験談を語っている人もいます。重要な参考資料となるため、不安の強い人ほど事前に目を通しておくのがおすすめです。
人材紹介会社を通して応募する
人材紹介会社とは、転職サイトや転職エージェントを運営する会社です。求職者の希望や適性に合う求人を紹介するサービスであり、期間工求人を紹介してくれる会社もあるので登録しておきましょう。登録後はキャリアアドバイザーとオンライン上でマンツーマンのコンサルティングが始まり、「どんな仕事に就きたいか」「月収いくら程度欲しいか」など細かな条件をヒアリングされます。その条件に合う期間工求人だけを紹介してくれるので、自分で求人を比較する必要がありません。
人材紹介会社を使うメリットは、手間の削減だけでなくリアルな口コミを収集しやすい点にあります。複数社の求人を扱う人材紹介会社であれば、紹介先ごとの特徴に詳しいので、実際にどんな働き方になるか教えてもらえます。第三者の立場から忌憚(きたん)のない意見が欲しいときに、活用していきましょう。
きつくなく稼げるおすすめの期間工メーカー6選
最後に、きつくなくて稼ぎやすいおすすめの期間工メーカーを紹介します。いずれも国内有数のメーカーであり、有名度が高いのが特徴です。規模が大きいからこそ期間工の採用人数も多く、毎年安定した求人があります。採用条件や給与形態、福利厚生などは各メーカーにより異なるので、詳しくはメーカーの求人サイトをチェックしてみましょう。下記では主な特徴を解説します。
おすすめの期間工(1)トヨタ
トヨタは期間工の選考をWebで実施している企業であり、面接のため遠方に出向かなくてよいのがメリットです。大手自動車メーカーならではの知名度があるので安心感が高く、スマートフォンひとつあれば気軽に応募できるのもポイント。勤続年数に応じてベース給が上がったり、トヨタ期間工として過去に働いた回数が多いほど最初の給与が上がったりするので、長く続けるモチベーションや再応募の要因にもなっています。
また、契約満了者には「満了慰労金」が支払われるので、最後まで続けやすいのもメリットのひとつです。その他にも、赴任手当・経験者手当・特別手当・初回更新特別手当など、金銭的なインセンティブが多めです。
正社員登用制度もあるので、誰もが知る大企業で働くチャンスをつかめるかもしれません。給与の高さも相まって、一発逆転できる可能性のある仕事として知られています。
おすすめの期間工(2)アイシン
アイシンは自動車部品メーカーであり、大きなパーツや重い材料の加工・取り付け等が発生しないのがメリットです。女性期間工も多く、体力・筋力がない人や初めての期間工にチャレンジしたい人にもおすすめです。その分扱う部品は小さいものが多いので、細かな傷を見つける集中力や寸法通りになっているか検品する正確性が試されます。
また、アイシン期間工の給与は時給制で計算されるので、働いた日数・時間数に応じて正確に支払われるのがポイントです。当然ながら残業代や休日出勤手当には割増分が追加され、働けば働くほど稼げる仕組みになっています。
入社祝い金制度もあり、これまでアイシンで働いたことのない人であれば入社するだけでお金が入るのもうれしいポイントと言えるでしょう。充実した福利厚生のなか、体力仕事を可能な限り避けて働きたい人に向いています。
おすすめの期間工(3)デンソー
デンソーの期間工は、基本給だけでなく勤務形態・経験回数・経験年数に応じたインセンティブが付与されます。継続すればするほど好条件になるため、続けるモチベーションにつながりやすいのがポイントです。仕事がきついと感じても給与面でのメリットが大きいので、簡単に離職しなくて済むでしょう。
寮の種類も多く、完全個室タイプの寮もあれば、相部屋タイプの寮もあるので要注意。もともと相部屋で問題ない人であれば良いですが、プライバシーを重視したい人であればストレスの元となる可能性があります。その分、足を伸ばして入れる大浴場や格安の水道光熱費などが整備されており、暮らしやすい環境です。
おすすめの期間工(4)スバル
スバルは未経験1年目でも約30万円の月収と122万円の慰労金が特徴的なメーカーです。他メーカーと比べても稼ぎやすい環境であり、短期間で一気に貯金を増やしたい人から支持されるようになりました。年間休日122日、有給休暇取得率80%、ゴールデンウィークや夏季・冬季にはそれぞれ約10日間の連休あり、と至れり尽くせりな条件がそろっています。
そのため定着率も97.2%と非常に高く、人が居つく企業なのがポイントです。その後は正社員登用してもらったり、また期間工の募集が出次第再度応募したり、人によりさまざまなキャリアを歩めます。
スバルは全体の4割近くが自宅等から通勤しているため、無理に寮を使う必要もありません。自宅から通える期間工の求人を探している人にもおすすめです。
おすすめの期間工(5)ホンダ
ホンダの期間工は最短3ヶ月から働くことができ、スポットで仕事をしたい人に最適です。もちろん本人の希望と工場側のニーズが合致すれば契約期間を更新できるので、長く働き続けることも可能です。基本的には2交替制での勤務が中心となりますが、日勤と夜勤を1週間ごとに繰り返すサイクルなので生活リズムを作りやすく、シフトの見通しも立てやすいのがメリットです。
なお、社内レクリエーションが盛んな企業としても知られており、期間工が参加できるイベントやボランティアも多いです。仕事以外でもなるべく体を動かしていたい人や、地域住民を含むさまざまな人とコミュニケーションを取っていたほうがストレスを緩和しやすい人には特におすすめです。1日の就労時間も6時間から7時間程度と短く、無理なくプライベートと両立できます。
おすすめの期間工(6)マツダ
マツダは2022年度の正社員登用実績が68%を超える企業であり、期間工から正社員にキャリアアップしやすいのが特徴です。入社後の支度金が20万円支給されること、入社半年でも31万円以上の収入が期待できることなど、金銭的なメリットも多めです。面接時には、面接だけでなく筆記試験・実技試験・ストレッチ試験があるのが特徴です。いずれも特別な身体能力を試すものではなく、「まっすぐ立っていられるか」「かがんだ姿勢を一定時間キープできるか」など基本的なことばかりなので、事前のトレーニング等は要りません。立ち仕事が多い職種だからこその面接スタイルであることを理解し、事前に心構えしておきましょう。
きつい期間工まとめ
「期間工の仕事はきつすぎる」「期間工は精神的にもきついからやめとけ」など多くのネガティブな口コミを見ることができますが、期間工に満足している人がいるのも事実です。給与が高い、寮や福利厚生が充実していて安心、正社員登用のチャンスがある……など、メリットは意外にも多いもの。自分が何のために期間工として働く道を選んだのか、事前に目的を可視化しておくことでモチベーションも維持できます。
なお、実際の仕事内容がどの程度きついかは、入社する企業や配属先の工場により異なります。各社の採用HPでは仕事や給与に関する詳細が掲載されているのでチェックし、自分に合っていそうな企業から優先的に応募してみましょう。
出典
一般財団法人労務行政研究所 2023年度 新入社員の初任給調査トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
トヨタ自動車 期間従業員募集サイト
株式会社アイシン
株式会社アイシン 期間従業員募集サイト
DENSO-株式会社デンソー
株式会社デンソー 期間従業員募集
株式会社SUBARU(スバル)
スバル期間従業員(期間工)求人サイト
本田技研工業株式会社|Honda 企業情報サイト
Honda 期間従業員採用サイト
マツダ株式会社 企業サイト
マツダ株式会社 期間社員採用情報
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部