執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
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デンソー期間工が気になっているものの、「きついのではないか」「仕事内容がよく分からなくて不安」という人もいるのではないでしょうか。
デンソーは愛知県刈谷市に本拠を置く自動車部品メーカーです。国内最大手の自動車部品メーカーとして、高い人気と給与を誇っています。 本記事では、デンソー期間工は本当にきついのか、気になる手取りはいくらくらいになるのかなどについて解説しています。
目次
期間工とは?
デンソーについて見ていく前に、まずは期間工についての理解を深めましょう。
期間工は製造業で特によく見られる雇用形態で、「期間」と名がついているとおり、就業期間が定められている労働者のことです。会社としては、業績が良くなり、限定的な期間において生産を拡大したいときなどに募集されます。
一時的に働くという点で派遣社員と混同しがちですが、派遣社員とは雇用契約の面で違いがあります。派遣社員の場合、雇用契約を派遣会社と結び、実際に勤務する会社に派遣されるため、勤務する会社と契約を結ぶわけではありません。一方、期間工は勤務する会社と直接雇用契約を結ぶ形です。
期間工のメリット・デメリット
期間工として働いた場合、正社員とは違ったメリットやデメリットが存在します。正社員とはさまざまな面で異なるため、まずは期間工のメリット・デメリットを理解していきましょう。
期間工のメリットとしては、未経験者や就労経験が少ない人でも採用されやすいことが挙げられます。中途で正社員として入る場合の多くは即戦力が求められ、これまでの職歴や資格などが重要視されがちです。
しかし、期間工の場合は基本的にはこれらがなくても採用されやすい傾向にあります。期間工は単純作業が多く、深い知識や技能が必要ないため、職歴に自信がない人でもすぐに働けることが多いです。
誰でも採用されやすい期間工ですが、給与などの面も充実しています。期間工では年間400~500万円稼げることも少なくありません。さらに、多くの期間工は寮に入ることが可能です。寮は通常格安、もしくは無料で入ることができますので、普通に働き400~500万円稼ぐ場合よりも手元に残るお金は多くなります。
一方、デメリットも存在します。最も大きなデメリットともいえるのは、あくまでも期間限定の雇用という点です。
雇用期間が終了すれば、正社員に登用されない限りは辞めなければならないため、その後の生活には不安が残ります。また、多くの会社では工場があちこちにありますが、基本的には勤務地は選べません。寮に入れるとはいえ、勤務地によっては寮が古かったり、相部屋となってしまったりすることもありますので、注意が必要です。
デンソー期間工の仕事内容
デンソーで期間工として入社した場合、愛知県、三重県、静岡県のどこかの工場に配属され、業務をおこないます。また、一旦配属された後も、生産変動によって工場間での異動の可能性もあります。
業務内容は会社が指定しますが、主に自動車部品の製造、製品の検査工程です。具体的には、次のとおりです。
●部品受入:メーカーから届く部品や材料を検査し、ラインへ運ぶ
●部品加工:専用の設備によって部品の成形や加工をおこない、製品のパーツを作る
●製品組付:加工してできた部品を組み付け、1つの製品にする
●検査:完成した部品が基準通りかどうかをチェックする
デンソーの仕事内容としては力仕事はあまりなく、軽い製品の組立作業や検査が中心です。男性は体力的に組付工程に配属されることが多いようです。組立工程とはいえ、エアコンやワイパーといった比較的軽い製品の組み立てです。トヨタの車体組み立てのように大型部品を持ち運ぶということは基本的にはありません。
一方、女性は検査工程に配属される傾向にあります。検査工程はチェックポイントが多いものの、体力的にはそこまできつくなく、比較的楽な仕事といえます。
デンソーで働く場合、基本的には交替勤務に従事します。交替勤務とは、例えば今週は昼働き、来週は夜働くといったように、働く人々がローテーションしていく勤務体制です。デンソー期間工の基本的な勤務形態は2組2交替で、勤務時間は昼勤が8時40分~17時15分、夜勤が18時55分~3時45分までで、ともに実働7時間50分です。
この場合、5日働き2日休むというのを繰り返していくことになります。なお、デンソー期間工は他にも4日勤務して3日休む3組2交替(勤務時間は2組2交替より長い)や、設備長時間勤務に対応した勤務制度が適用される働き方も存在します。
デンソー期間工はきついのか?
ネット上の口コミなどを見ていくと、デンソー期間工はきついという声も散見されます。具体的にどのような点がきついのか見ていきましょう。
立ち仕事のライン作業がきつい
デンソー期間工の仕事は基本的にはずっと立ち仕事でのライン作業です。
立ち仕事はその名のとおりずっと立っていますので、足が疲れます。慣れないうちは足腰が痛んだり、足がむくんで疲れを感じたりする人も少なくありません。また、ライン作業は自分の持ち場の仕事が完了したら次工程に引き渡すという流れがあります。そのため、自分の作業が遅れると全体の流れが悪くなってしまうため、スピードも重要です。
時間に追われながら作業をする必要があるため、プレッシャーを感じたり、焦ったりすることもあるでしょう。さらにデンソーでは細かい部品を多く扱います。一つ一つの作業が細かかったり、細かい作業を覚えるのが大変だったりすることもあります。
このようにデンソーの立ち仕事のライン作業は一般的には楽とはいえない仕事です。とはいえ、他の期間工の仕事と比べると楽といえる面もあります。例えば、トヨタの車体組み立てでは、塗装されたボディーに部品を組み立てていきます。この工程では、作業スピードが求められつつ、大型部品の持ち運びや製品の組み立てといったように重労働となります。
このように力仕事できつい姿勢、かつスピードまで求められる仕事と比べれば、デンソー期間工の仕事は体力面での負担は少ないといえるでしょう。
デンソー期間工で働くメリット
デンソー期間工は決して楽な仕事ではありません。とはいえ、デンソー期間工で働くメリットは多々あります。代表的なものを見ていきましょう。
部品メーカーの中では稼げる方
デンソー期間工は部品メーカーの期間工の中では稼げる方といえます。
具体的には、月収例は30万7147円~34万3740円(21日勤務・残業20H・深夜割増47.5H+交替勤務手当)で、さらに月給以外でもらえるボーナスも大きいです。例えば、慰労金として1日あたり700~2000円、満了報奨金として1日あたり1000~2500円など、積み重ねれば大きな収入です。
実際どれくらいトータルで稼げるのかは後述しますが、基本的にデンソー期間工は部品メーカーの中ではかなり稼げる方といえます。
稼げるのかどうかはどの会社で期間工として働くのかを決めるうえで大切な要素の1つです。その点、デンソー期間工は稼げる部類に入りますので、魅力的といえるでしょう。
仕事内容がそこまできつくはなく、女性でも勤務しやすい
デンソーは自動車部品の製造メーカーのため、自動車の本体を作るメーカーと比べると重量物の扱いが少ないです。
重量物を運搬する場合、それだけで体力の消耗は激しいです。加えて、作業姿勢が悪かったり、継続して作業を続ける必要があったりしますので、仕事内容はかなりきついといえます。一方、デンソーは車の部品を作りますので、車の完成品を作るメーカーと比べると力作業は少ないです。
そして、力作業が少ない代わりに、手先の器用さを求められる作業もあります。そういった仕事は女性でも取り組みやすいため、女性でも働きやすい面があります。「期間工といえば力仕事で体力がある男性でなければ厳しい」と不安になる人もいるかもしれませんが、デンソーであれば男女問わず体力面での心配は少ないでしょう。
長く働くほど給料が増える
デンソー期間工は長く働き、契約を更新していくごとに給料が増える仕組みを取っています。
例えば、日給は最初は1万円ですが、勤務形態・経験回数・経験年数によって最大1万1300円になります。また、慰労金は最低1日あたり700円ですが、勤続期間が11ヶ月を超えると1日あたり2000円に上がります。同じく満了報奨金も、期間に応じて1日あたり1000円から2500円まで幅があります。
デンソー期間工では、このように長期で働くことで恩恵を受けられる給与形態だといえるでしょう。
デンソー期間工で働くうえでの注意事項
デンソー期間工は魅力的な面が多いですが、入社前に注意しておくべき点もあります。事前に確認しておき、後悔しないようにしましょう。
交替勤務が前提
デンソー期間工の仕事は、他社と比べるときついとはいえませんが、交替勤務が前提です。他社でも交替勤務は多く取り入れられていますが、交替勤務が合わないと期間工として働くのが厳しいかもしれません。
デンソーの交替勤務は基本的には2組2交替で、昼勤と夜勤が交互に入れ替わります。口で言えば簡単ですが、実際に慣れるかどうかは個人差が大きいです。
人の体は夜に寝るようにできていますので、特に夜勤は体調を崩しやすいです。また、夜勤の週は夜働き、昼就寝となるので、家族や友人とも時間を合わせづらい面もあるでしょう。
とはいえ、交替勤務だからといって、必ずしも働きづらいわけではありません。仕事に合わせて柔軟に生活リズムを合わせられたり、1人暮らしや家族の了承を得られたりする人であれば、手当が厚い交替勤務の方がむしろ向いている場合も考えられます。
契約更新期間は6ヶ月単位
デンソー期間工は契約の更新期間が最短で6ヶ月単位です。そのため、配属された職場の環境が合わなくても、原則として6ヶ月は働かなくてはなりません。
反対に、こちらが働きたいと申し出ても、デンソー側が6ヶ月後に契約を更新してくれなければ、働き続けることはできません。
慰労金や満了報奨金なども働いた期間に応じて単価が変わることもありますので、契約更新期間は意識しておきましょう。
入社祝金は少ない
期間工の中には、入社後半年などの在籍期間があれば、数十万円の入社祝金を出してくれる会社もあります。
一方、デンソー期間工では、入社祝金に該当するものは入社・赴任手当の2万円のみです。その他、在籍6ヶ月満了ごとに5万円はもらえますが、他社の入社半年で数十万円と比べると見劣りしてしまいます。
そのため、数ヶ月程度の短い期間のみで考えていると、他社ほどは稼げない可能性もあるでしょう。
勤務地や勤務職場は選べない
デンソー期間工として働く場合、デンソーの工場のどこかに配属されます。働きやすさは、配属される工場や部署によって、完全に同一ではありません。
部署によっては、仕事がしんどかったり、人間関係が良くなかったりといったことも考えられます。もちろん問題がない部署が大多数と思われますが、中には明らかに働きづらい職場もあるかもしれません。あまりにもひどい場合は、ハラスメント相談窓口や人事部門などに相談するようにしましょう。
また、寮も複数あるため、場所によって快適性は異なります。勤務地は自分で選べないため、新しい寮に入れる場合もあれば、昔からある古い寮の場合もあるでしょう。古い寮では、他の寮生の物音が聞こえやすかったり、設備が古く使いづらくなったりするかもしれません。
デンソー期間工はどれくらい稼げるのか
デンソー期間工は部品メーカーの中では稼げることで定評がありますが、具体的にどれくらい稼げるのでしょうか。今回は初めてデンソー期間工で働き、期間満了の2年11ヶ月までで総額いくらになるのかを大まかに計算していきます。
基本的な月収と入社祝金
デンソー期間工の募集要項によると、月収例は「21日勤務・残業20H・深夜割増47.5H+交替勤務手当」の前提で30万7147円~34万3740円です。今回は、1年目は31万円(12ヶ月)、2年目は32万円(12ヶ月)、3年目は33万円(11ヶ月)として計算します。
この前提では、2年11ヶ月の基本的な月収の合計は1119万円です。また、入社祝金ともいえる入社・赴任手当は2万円ですので、合わせると1121万円です。
慰労金と満了報奨金
続いて、ボーナス的な扱いの慰労金と満了報奨金について見ていきます。こちらも募集要項を参考にすると、慰労金は1日あたり700円~2000円で、勤続期間による(6ヶ月1500円/日、11ヶ月~2000円/日)としています。
今回は、毎月21日勤務の前提で、1~5ヶ月目までは700円/日、6ヶ月~10ヶ月は1500円/日、11ヶ月~2年11ヶ月は2000円として計算します。そうすると、慰労金は2年11ヶ月までで合計128万1000円です。
続いて満了報奨金ですが、こちらは1日あたり1000円~2500円で、6ヶ月満了時は1000円/日、更新後の満了時は2500円/日としています。6ヶ月までは1日1000円、以後は2500円として計算すると、満了報奨金の合計は2年11ヶ月で164万8500円です。そのため、慰労金と満了報奨金の合計は292万9500円です。
その他手当
その他手当としては、6ヶ月在籍手当と食事補助があります。6ヶ月在籍手当は在籍6ヶ月満了ごとに5万円が支払われます。2年11ヶ月までだと5回もらえるため、合計で25万円です。
食事手当は毎月2200円もらえます。そのため、2年11ヶ月だと合計で7万7000円です。よって、その他手当の合計は32万7000円です。なお、他にも赴任・帰郷旅費などがありますが、今回の計算には含めません。
期間満了までに稼げる金額は
ここまで計算してきた、基本的な月収と入社祝金、慰労金、満了報奨金、その他手当を全て含めると、1446万6500円になりました。1年あたりにすると約482万円です。
今回は募集要項の情報のみを参考に、大まかにシミュレーションをしたため、実態とは多少異なる面もあるかもしれません。とはいえ、デンソー期間工として欠勤などなしに真面目に期間満了まで働き続ければ、年収ベースで500万円に近い金額がもらえると期待しても良いでしょう。
デンソー期間工の寮は快適なのか
デンソーに期間工として入社する多くの場合は寮に住むことになります。どの寮に入居するかは勤務地によって変わり、自分で選ぶことはできません。
寮生活が快適かどうかは、同じデンソーの中でもどこの工場に配属されるのか、そして自分がどれだけ他人が近くにいる環境に慣れることができるかに左右されます。
デンソー期間寮に入るとどのような生活になるのかを見ていきましょう。
デンソー期間工の寮はワンルームか相部屋
デンソー期間工の寮はワンルームタイプと相部屋タイプのどちらかです。どちらの場合もテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機はありますが、一部の寮は冷蔵庫や洗濯機が共用です。デンソー期間工の寮は以前は有料だったという情報もありますが、現在は募集要項に「寮費完全無料」と記載があります。
基本的にはワンルームタイプはきれいな寮が多く、プライベートも保たれるため、「当たり」ともいえます。風呂、トイレは共同ですが、それ以外では部屋に引きこもれば、他の期間工の人と顔を合わせることはあまりありません。
ただし、デンソー期間工では複数部屋のルームシェアタイプの寮が多いです。このタイプでは、各部屋に鍵がついており個室は確保されているものの、玄関が共通です。壁は薄く、物音や室内での話し声が丸聞こえといったように、生活音に悩まされることもあるかもしれません。
デンソー期間工の寮は当たり外れが激しい
デンソー期間工の寮はワンルームか相部屋タイプかも含め当たり外れが激しいといわれています。比較的新しい部屋もあれば、古びた部屋もありますし、洋室のフローリングの部屋もあれば畳の部屋もあります。
また、寮の周辺の環境も寮によってかなり異なります。工場に徒歩で数分のところもあれば、バスで20分ほどかかる寮もあるといったように、環境の違いは大きいです。寮のすぐそばにコンビニがある場合もあれば、少し歩かなければ周りになにもない田舎という場合もあります。
「必ずワンルームの1人部屋がいい」という強い希望がある人は、別の会社を検討した方が良いかもしれません。
期間工同士の交流は図れる
デンソー期間工の寮は、風呂やトイレが共同で、特にシェアハウスタイプの場合には寮生同士の距離は自然と近くなります。これはプライベートが保ちづらいですが、言い換えれば、寮生同士の交流は図りやすいといえます。
期間工の仕事をしている人は、何人かで一緒に受ける人もいますが、出身地から遠い場所まで季節労働的な形で来ている人も少なくありません。
知り合いや頼れる人もいない中、同じ会社で同じ期間工として働いている人が身近にいるということは、助かる面も多いはずです。もちろん、気が合う・合わないなどはありますが、人とコミュニケーションを取ることが好きな人にとっては、さまざまな人と仲良くなりやすい良い環境ともいえるでしょう。
デンソー期間工の寮は当たりとはいえないがお金は貯まる
デンソー期間工の寮は当たり外れが激しく、かつ当たりといっても風呂、トイレは共同です。共同生活が好きという人にとっては良いですが、苦手な人にはつらい環境かもしれません。
とはいえ、デンソー期間工の寮費は無料です。通常は少なくとも4~5万円程度はかかる家賃が無料ですので、毎月の貯蓄はしやすいはずです。寝具などの生活用品も会社がそろえてくれます。「絶対にシェアハウスタイプは嫌だ」「仕事とプライベートは完全に分けたい」といったこだわりがなければ、問題なく過ごせる人も少なくないでしょう。
デンソー期間工から正社員になることは可能か
デンソーで期間工として働いている人の中には、そのままデンソーの正社員になりたいと考える人もいます。
そういった人のために、デンソーでは正社員登用制度を設けています。期間工から正社員には誰でもなれるわけではありませんが、デンソーでは多くの期間工を正社員に登用してきた実績があります。
ホームページにも正社員登用に積極的な姿勢が見受けられるため、期間工で働きつつ、正社員を狙いたいという人に向いているかもしれません。
最後にデンソー期間工の口コミなどでみられるメリットが2点あります。
出典
株式会社デンソー 期間従業員採用情報|採用情報|DENSO‐株式会社デンソー
株式会社デンソー 募集要項|期間従業員採用情報|採用情報|DENSO‐株式会社デンソー
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部