執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
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「高収入を謳う工場勤務求人」もありますが、入社前に実際の給与形態が明かされることは少なく、年収や手取り額が不明瞭であることも多いです。「どの程度稼げるかわからない限り応募できない」と躊躇ってしまう人も多いのではないでしょうか。
本記事では、「工場勤務」の収入について詳しく解説します。年齢別・業種別・男女別の平均収入や工場勤務で得られる手当金の一覧にも触れるので、収入の見通しを立てたい人はお役立てください。
目次
【年齢別】工場勤務の仕事の収入相場
まずは、年齢別に工場勤務の仕事の収入相場を解説します。どの業種・職種でも年齢が上がれば上がるほど平均年収が高くなる傾向にありますが、工場勤務にも同様のことが言えるためチェックしてみましょう。
図表1 【年齢別】工場勤務の仕事の収入相場
年齢 | 平均年収 |
---|---|
~19歳 | 182万円 |
20~24歳 | 190万円 |
25~29歳 | 229万9000円 |
30~34歳 | 260万3000円 |
35~39歳 | 289万4000円 |
40~44歳 | 311万3000円 |
45~49歳 | 332万4000円 |
50~54歳 | 359万8000円 |
55~60歳 | 361万9000円 |
61~65歳 | 265万7000円 |
66~69歳 | 226万9000円 |
70歳~ | 221万1000円 |
上記は正規雇用・非正規雇用全て含めて算出されている平均年収の一覧なので、正規雇用だけに限定すれば年収は100万円程度向上します。
最も年収が高くなるのは55歳から60歳までで、それまでの間は年齢とともに少しずつ年収が上がる様子が伝わります。61歳以降は嘱託採用の制度を使った再雇用となるケースが多く、パートやアルバイトに雇用形態を変更して無理のない範囲で働く人も増えるので、年収が下がる傾向にあります。
日本全体における平均年収は414万円であることを考えると、工場勤務は決して高収入な仕事とは言えません。しかし正規雇用で入社してコツコツとキャリアアップしていく人もいれば、期間工など短期雇用の制度を活用して一気に稼ぐ人もいて、収入を確保する方法が多いのが特徴です。
【業種別】工場勤務の仕事の収入相場
主に工場勤務を求められるメーカー(製造業)は、業種により収入が異なるのも特徴です。下記では、業種別の平均年収をまとめています。図表2 【業種別】製造業の仕事の収入相場
業種 | 平均年収 |
---|---|
水産・農林メーカー | 547万円 |
鉱業メーカー | 799万円 |
食品メーカー | 615万円 |
繊維製品メーカー | 550万円 |
パルプ・紙メーカー | 569万円 |
化学メーカー | 656万円 |
建設・ハウスメーカー | 569万円 |
スポーツ・アウトドア用品メーカー | 617万円 |
医薬品メーカー | 771万円 |
石油・石炭製品メーカー | 777万円 |
ゴム製品メーカー | 620万円 |
ガラス・土石製品メーカー | 607万円 |
鉄鋼メーカー | 627万円 |
非鉄金属メーカー | 637万円 |
金属製品メーカー | 590万円 |
機械メーカー | 632万円 |
電気製品・エレクトロニクスメーカー | 665万円 |
自動車・輸送機器メーカー | 631万円 |
精密機器メーカー | 655万円 |
その他製品メーカー | 556万円 |
上図は工場勤務以外の職種も含めた平均年収ですが、業種別におよそのバランスがわかるため参考にしてみましょう。専門性の高い医薬品メーカーや、危険作業の多い鉱業メーカー、石油・石炭メーカーは全体的な平均年収が高いことがわかります。
反対に、企業数が多く競争が激化しやすい水産・農林メーカーや食品メーカー、海外の競合と厳しい価格競争を課せられることの多い繊維製品メーカーなどは、製造業のなかでも少し低めの年収になることが多いです。
【男女別】工場勤務の仕事の収入相場
工場勤務の収入は、男女別でも差があります。比較的女性の方がパート・アルバイト勤務や時短勤務が多く、平均年収が低くなる傾向にあります。図表3 【男女別】工場勤務の仕事の収入相場
性別 | 平均年収 |
---|---|
男性 | 318万9000円 |
女性 | 221万5000円 |
性別だけで比較すると、男性の方が90万円程度収入が高いことがわかります。男女ともに55~59歳が最も収入が高くなるので、年齢とともにキャリアアップできるのもポイント。
平均勤続年数に大きな違いはなく、男女ともに続けやすい仕事だとわかります。
工場勤務で得られる給与・手当の一覧
工場勤務は各種手当の多い職種として知られており、基本給以外の収入があります。下記では、工場勤務をして得られる給与や主な手当を一覧で紹介します。工場勤務で得られる給与・手当(1)基本給
工場勤務以外でも必ずもらえるのが基本給です。求人票に明記されていることが多く、基本的には固定給として毎月安定した額がもらえます。正社員や契約社員の場合は月給制で、毎月安定した金額を受け取れます。万が一体調不良や忌引きで欠席しても、有給休暇を利用すれば月の手取りが減ることもありません。出勤日数が少ない月でも同額を受け取れるなど、収入の見通しが立てやすいのもメリットです。
パート・アルバイト・派遣社員の場合は時給制になることが多いです。働いた時間数に応じて毎月の給与が計算されるためシンプルでわかりやすいシステムであり、働けば働くほど稼げるのがメリット。その分有給を使わない欠勤があったときに収入が減ったり、シフト調整により希望した額に収入が届かなかったりするリスクがあるのがデメリットです。
工場勤務で得られる給与・手当(2)時間外手当
時間外手当は「残業手当」「残業代」として支給されることも多く、その名の通り雇用契約書に記載されている以上の労働時間が発生したときに支給される給与です。通常の残業であれば基本給の25%以上、月60時間以上の残業分には基本給の50%以上を支払うことが法律で義務付けられているので、コストパフォーマンス良く稼ぎたい人にとっては貴重な収入源となります。
2023年4月以前の中小企業の場合、月60時間以上の残業であっても基本給の25%以上を支払えばよいことになっていましたが、割増賃金率の引き上げに伴い50%に改定されました。現在は大企業でも中小企業でも同じ割増賃金率が適用されているので、時間外手当の額が上がったという人も多いです。
工場勤務で得られる給与・手当(3)休日出勤手当
休日出勤手当とは、法定休日に出勤した場合に支払われる給与です。「法定休日」とは、労働基準法35条に基づいて付与することが義務付けられている休日のことであり、1週間のうち1日または4週間を通じて4日の法定休日が与えられています。本来休日であったはずの日に会社都合でやむを得ず休日出勤を命じなくてはいけなくなった場合、会社は基本給の35%以上を割増賃金として追加する必要があります。
なお、法定休日とは「土日祝日」ではない点に注意しましょう。もともと雇用契約書において土日祝日の出勤が必須と明記されており、その分平日に休みが取れる工場も多いです。その場合、本来休むはずだった平日に出勤したときに休日出勤手当が加算されます。
法定外休日と呼ばれる、会社独自で付与している休日に出勤した場合は、休日出勤手当ではなく時間外手当の支給となる点にも要注意。割増賃金率が違うため、「予定していた金額になっていない」と混乱してしまうことがあります。
工場勤務で得られる給与・手当(4)深夜手当
「深夜手当」とは、22時から翌5時の時間帯におこなわれた時間外労働に対して支払われる給与です。割増賃金率は25%であり、通常の時間外手当に加算される点が大きなポイントです。つまり、深夜に残業すると時間外労働の割増賃金率25%に加えて深夜手当25%が加算されるので、基本給の50%分を追加した額を受け取れます。残業が月60時間以上であれば間外労働の割増賃金率50%に加えて深夜手当25%が加算されるので、基本給の75%分を追加した額を受け取れる計算です。
ただし、深夜手当はあくまでも深夜帯の時間外労働に対して付与される給与であり、時間外労働でない範囲で深夜に働く分には付与されません。もともと夜勤であった場合は基本給のみの支払いとなるため注意しましょう。
工場勤務で得られる給与・手当(5)技能・資格手当
技能・資格手当は、工場勤務で求められる技能・資格がある人に対して支払われる給与です。
●衛生管理者
●危険物取扱者
●フォークリフト運転者
●玉掛技能者
●アーク溶接作業者
●クレーン・デリック運転士
●エネルギー管理士
●自動車整備士
●ボイラー技士
●電気工事士
●菓子製造技能士
●金属プレス加工技能士
●プレス機械作業主任者
●機械加工技能士
●特定化学物質等作業主任者
●QC(Quality Control・品質管理)検定
どの技能・資格を要するかは、会社や仕事内容ごとに異なります。
法律による支払い義務のない手当なので、実際の金額も会社より異なるため注意しましょう。「前職では〇〇の資格に対して手当があったのに、転職先ではなかった」ということも珍しくありません。
反対に、自分が保有している資格に合った転職先を選べば、資格に対して毎月手当金が発生して年収が上がるメリットを得られます。
工場勤務で得られる給与・手当(6)皆勤手当
皆勤手当とは、所定期間中に1日も欠かさず出勤し続けた人に支払われる給与です。賞与としての側面が強く、従業員のモチベーションアップのための制度として活用されています。ほとんどの場合は月単位で算定されますが、支給のタイミングは半年に1回だったり年に1回だったり企業により差があります。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、皆勤手当ての平均支給額は月あたり9000円でした。企業規模が小さくなるほど支給金額が高くなる傾向にあり、勤怠状況の良い優秀な人材を確保しつづけるための戦略として確立しています。
工場勤務で得られる給与・手当(7)勤続手当
「勤続手当」は入社から一定年数が経過した人に支払われる給与です。皆勤手当と同じく従業員のモチベーションアップのための制度として確立しており、賞与としての側面が強いのが特徴です。日本固有の「年功序列型賃金」に影響する項目でもあり、年齢が高くなればなるほど収入を上げやすい理由のひとつに勤続手当の存在があると言われています。
名称は企業によりさまざまで、「永年勤続手当」、「勤続報奨金」、「勤続お祝い金」とされることも多いです。社内表彰や記念品の贈呈に替えられたり、期間内に一定の出勤率をクリアしていないと支給されなかったりすることもあります。
工場勤務で得られる給与・手当(8)繁忙手当
「繁忙手当」とは、その名の通り繁忙期に勤務した人に支払われる給与です。とはいえ、その会社ごとに異なる繁忙期での出勤を問うものではなく、どちらかというと「夏季休暇」、「年末年始」、「ゴールデンウィーク」など世間一般における長期休暇中の出勤を問うものであることが多いです。多くの人が休んでいるにも関わらず出勤してくれた人に対する報奨金としての意味合いが強く、人手不足の解消に貢献しています。
工場勤務で得られる給与・手当(9)食事手当
「食事手当」とは、終業時に発生する飲食費を企業側が手当金として支払う制度です。福利厚生費のひとつであり、法律で義務付けられている項目ではないため支払いの有無から具体的な金額まで、内容は企業ごとに大きく異なります。「食事手当を福利厚生費として計上できるのはひとり当たり月3500円まで」という税務上の制限があるため、月3500円を超えて支給されるのはレアケースと言えるでしょう。
また、食事手当を支給して金銭的なサポートをするのではなく、実際に食事を支給してサポートする会社も多いです。非常に安価な金額で食事を提供する社員食堂(社食)、米・野菜・冷凍食品等での実物支給、提携先レストランの割引券配布に替えるなど、各社多種多様な対策をしています。
工場勤務で得られる給与・手当(10)家賃手当
「家賃手当」とは、就労に際して家賃が発生している人に一定額を手当金として支払う制度です。特に、地方で工場を構えている企業に多い制度であり、月あたり1~5万円程度の支給が期待できます。地域(都道府県)・家族構成・勤続年数によって増減することもあるので、入社前に実際の支給額をチェックしておくとよいでしょう。
その他、「寮」を完備して家賃手当の代わりとしている会社も多いです。
工場を建てる際は「広大な敷地があること」、「電気などの動力や自社で必要な原料が豊富に入手できること」など土地に関する制限が設けられることが多く、住宅街から遠く離れた場所に工場が建つことも少なくありません。周辺に一般の人が入居できるアパートやマンションが少ない場合、自社で寮を構えて人材を確保しやすくするケースが多いのです。
「寮費無料」、「光熱費無料」、「家具・家電つきの寮完備」など、家に関する福利厚生が充実している場合は実質的な家賃手当として活用できます。
工場勤務で得られる給与・手当(11)単身赴任手当・遠方赴任手当
単身赴任や遠方からの赴任をする人であれば、「単身赴任手当」や「遠方赴任手当」が支給されます。単身赴任手当は家族と別居してひとり暮らしをする人を対象としており、生活の拠点が増えて支出が増えることによるダメージを軽減します。遠方赴任手当は自社への就職・転職のためわざわざ家を移り住んできてくれた人に対して支払うことが多く、引っ越し代や生活の拠点づくりに発生する費用を補填する意味合いが強いです。
工場勤務が高収入な仕事と言われる理由
工場勤務は「雇用条件次第ではかなり高収入が期待できる」「効率よく稼げるので高収入を目指す人におすすめ」と言われることがあります。ここでは、なぜ工場勤務が高収入と言われるのか、主な理由を解説します。工場勤務が高収入な仕事と言われる理由(1)残業や休日出勤が発生しやすいから
工場では厳密な生産管理が徹底されていることが多く、スケジュールに沿って一定の生産量をクリアすることが求められます。そのため、急な予定変更やトラブルがあって生産が遅れてしまった場合でも、スケジュールを後ろ倒しにすることはできません。残業・休日出勤等で生産量をカバーするため、どうしても残業や休日出勤が多くなりがちな職種として知られています。
プライベート時間が削られるという点ではデメリットですが、割増賃金率を追加した給与が受け取れるという点では大きなメリットです。
割増賃金が加算されていれば通常の労働以上に稼げるようになるため、手取り額も大幅に増やせます。「せっかく同じ時間働くのであれば少しでも高い額がほしい」と思う人にとって、工場勤務は稼ぎやすい職種と言えるでしょう。
工場勤務が高収入な仕事と言われる理由(2)工場は深夜にも稼働しているから
工場は昼夜問わず24時間体制で稼働していることが多く、深夜労働が発生しやすいのが特徴です。夜勤は日勤よりも基本給が高めに設定されている可能性があり、同じ労働時間でも効率よく稼ぎたい人から支持されています。また、深夜帯に食い込んで残業や休日出勤をした場合、割増賃金率が通常より高くなるのもポイント。少ない時間でも多くの収入を得られるので、結果高収入につながると考える人も多いのです。
工場勤務が高収入な仕事と言われる理由(3)企業独自の手当が充実しているから
時間外手当・休日出勤手当・深夜手当など法律上支給が義務づけられている手当金以外は、全て企業独自の制度として設けられている「法定外福利」として扱われます。高度な専門資格を持つ人に資格手当が出たり、勤続年数や出勤率に合わせて賞与や報奨金が出たりすることも多く、働くメリットが多いのが特徴です。人材不足をカバーし、従業員のモチベーションを上げるための施策ですが、働く人にとっても嬉しい取り組みとなっています。
工場勤務が高収入な仕事と言われる理由(4)人手不足に悩む工場が多いから
少子高齢化に伴う労働人口の減少に伴い、人手不足に悩む工場が増えています。多くの人を確保したい工場は基本給を上げるなど待遇を見直したり、自社独自の福利厚生を充実させて働く人の金銭的メリットを大きくしたりする傾向があります。「条件の良い求人が見つかる」という意味でも、工場勤務は高収入を期待できる職種なのです。
また、厚生労働省の統計では全職種における有効求人倍率が1.32倍であるのに対し、製造業の生産工程では1.92倍であるという結果が出ています。有効求人倍率とは求職者ひとり当たりに対し何件の求人案内があるかを示す指標であり、数値が大きくなればなるほど「売り手市場」だと判断できます。
工場勤務は常に安定した求人数があり、就職・転職しやすいことも注目を集める要因となっています。
高収入で工場勤務する際の注意点
高収入を期待して工場勤務するときは、下記の点に注意しましょう。 「思ったより稼げなかった…」「期待していた年収に届かなかった…」と後悔するより前に、気を付けるべきポイントを理解しておくことが重要です。高収入で工場勤務する際の注意点(1)残業・休日出勤・深夜労働がないと稼ぎにくい
工場勤務が高収入になるのは、残業・休日出勤・深夜労働に対する割増賃金があるからです。残業・休日出勤・深夜労働がないと基本給しか得ることができず、想像より低い年収になってしまうことも。かといって自分ひとりの一存で残業することもできないため、「もっと働きたいのに働けない」となってしまいます。
とはいえ、残業・休日出勤・深夜労働が過酷すぎる工場勤務には要注意。金銭的なメリットはありますが、その分過労による慢性的な体調不良や心身のバランスの乱れに悩まされてしまい、長く勤務できなくなります。結果、短期的な就労だけで退職し、勤続手当を受け取れないなど当初の予定とズレが生じることも多いです。
高収入で工場勤務する際の注意点(2)勤続年数が短いと稼ぎにくい
正社員の勤続年数が大切であることはもちろん、期間工など短期就労を目的とした雇用形態でも勤続年数によって基本給が変わることがあるため要注意です。複数の工場を転々としながら稼ぐより、ひとつの工場で長く勤め上げた方が有利になるのがポイントです。
そのため、最初から長期就労を前提に条件のよい工場の求人を探しましょう。皆勤手当や勤続手当の条件が良く、長く勤めるモチベーションになる会社を探すのが理想です。
高収入で工場勤務する際の注意点(3)手当金に支給要件が設けられている場合がある
手当金に支給要件が設けられていることが多く、充実した福利厚生があっても自分が恩恵を受けられない場合があります。例えば、繁忙手当の場合、「ゴールデンウィーク中に通算6日以上出勤していること」が条件として設けられていて、1日2日の出勤だけでは支給対象とならないことがあるので要注意。同じく遠方赴任手当も「工場から片道〇分以内に実家がないこと」など条件があって、勤務地次第では支給を受けられないケースがあります。
とはいえ、細かな支給条件まで求人票に詳しく掲載されているとは限らず、入社してからギャップに気づくことも多いです。自分が対象になりそうな手当金制度があれば、入社前に詳細について質問するなど対策しておきましょう。
高収入で工場勤務する際の注意点(4)個人の努力で昇給するのが難しい
工場では勤続年数や資格の有無を重視して基本給が変動することが多く、個人の努力だけで昇給するのは難しい環境にあります。例えば、営業職のように売上額や契約率次第でインセンティブ給が受け取れる職種の場合、努力して営業成績トップに躍り出れば高い給与が得られるでしょう。しかし工場勤務は「誰が担当しても同じクオリティの製品になること」を目標にして生産活動をしているので、個人の努力で品質や生産数が劇的に向上することはありません。
インセンティブ給を受け取れない職種であることは十分理解しておく必要があります。
とはいえ、勤怠状況や周囲の仲間から得る信頼次第で、少しずつマネジメント側に回れるようになるのも事実です。部下を持つ管理職や工場長にキャリアアップすれば基本給アップや役職手当の付与が期待できるので、努力する価値がないとは限りません。
高収入で工場勤務する際の注意点(5)仕事内容と給与が釣り合わない可能性がある
工場勤務は待遇次第で高収入を期待できますが、その分仕事がきつく、体力的にも精神的にも疲弊してしまうことがあるので注意しましょう。「あまりにも激務すぎる」、「単純作業が続くのでつらい」、「人間関係が悪くて心が休まらない」など、職場環境が原因で退職を検討する人も多いです。ときには「仕事内容と給与が釣り合っていない」、「こんなにきつい仕事ならもっと給料が高くてもよいはず」と考えてしまうかもしれません。
事前にどのような労働環境なのか調べたり、就業経験のある人から寄せられる口コミを参考にしたり、情報収集をしておくのがおすすめです。あまりにも悪い口コミの多い工場は避けるなど自衛していけば、大きなミスマッチに悩まされることもないでしょう。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン
最後に、工場勤務している人が年収を上げていく方法を解説します。工場勤務は未経験で入社したばかりの頃は低めの年収になることが多いですが、工夫次第で少しずつキャリアアップできるのが特徴です。下記では代表的なキャリアプランを紹介するので、参考にしてみましょう。工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(1)積極的に残業や夜勤を請け負う
工場勤務の旨味は残業・休日出勤・深夜労働に対する割増賃金を得られる点にあるため、積極的に残業や夜勤を請け負うのがおすすめです。全員に残業を求めず、「今日残業できる人はいますか?」と聞いてくれる職場であれば積極的に手を挙げ、残業代を稼ぎましょう。日勤と夜勤とで求人が分かれている企業であれば夜勤を優先したり、休日出勤しやすいようなるべく予定を空けておいたりするのも理想です。
しかし、目先の収入ばかり期待して体を壊してしまうのは本末転倒です。
夜勤は生活リズムの乱れにつながりやすく、残業や休日出勤が増えて十分なリフレッシュができないと集中力の低下や体調不良につながるのがデメリット。自分にとって無理のないラインを見極めながら、できる範囲で稼いでいくのがポイントです。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(2)遠方への赴任を検討する
全国各所に工場がある会社であれば、あえて遠方への赴任を検討する方法もあります。企業によっては地方勤務を立候補制で募るシステムがあるので、積極的に応募するなど活用していきましょう。不便で人気のないエリアは人手が集まりにくく、企業側も遠方赴任手当の支給など福利厚生を充実させて対策していることが多いです。地方であれば寮が完備されていたり、寮に家具・家電や光熱費代が付帯していたり、食事や通勤用の無料マイクロバスが提供されたりするので、生活費を大きく浮かせられます。
収入を増やすだけでなく、支出を減らすという意味でも効果が高く、手元に残るお金を増やす手法として活用できます。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(3)勤続年数を伸ばしていく
工場勤務では昔ながらの年功序列型評価がまだまだ一般的であり、勤続年数が長ければ長いほど評価されやすいのが特徴です。つらいこともきついこともある工場勤務ですが、なるべく諦めずコツコツ継続していく方がよいでしょう。勤続手当を受け取るのがひとつのモチベーションとなり、長く働けているという人も多いです。
また、勤続年数を伸ばすメリットは収入面だけに限定されていることではありません。長年の就労により円滑な人間関係を構築できれば仕事のストレスが減り、快適に働くことができます。
正社員登用や管理職登用にチャレンジする道が開ける他、同僚から「管理職になるといい」と推薦してもらえたりすることもあるので、巡り巡って自分のためになるのです。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(4)無遅刻・無欠勤を目指す
工場勤務では、「無遅刻・無欠勤」であることが大きな信頼につながります。急な遅刻や欠勤は、生産スケジュールに多大な影響を与える他、人員計画や製造工程にもダメージを与えるので要注意です。遅刻・欠勤が多いと信頼されにくくなってしまい、「どうせまた休むだろう」と思われて評価されなくなるなど、負のスパイラルが起こります。
反対に、遅刻・欠勤がなければ気持ちよく出勤でき、周囲から評価されやすくなるのがメリット。皆勤手当を受け取れることもあるので金銭的なメリットが大きく、両者winーwinな働き方ができます。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(5)正社員登用制度にチャレンジする
工場勤務者を対象に「正社員登用制度」を設けている企業は多く、パート・アルバイト・派遣社員・期間工からのキャリアアップが可能です。正社員になれば毎月安定した月収を受け取れる他、賞与や正社員向けの福利厚生を受けられるなどメリットが多くなるでしょう。社会的な信頼も高くなり、家や車を購入するときのローンが通りやすくなるなど副次的なメリットも多いです。
正社員登用試験を受けるには、まず勤続年数や出勤率をチェックされます。ゆくゆく正社員を目指したい人は無遅刻・無欠勤を意識し、勤続年数を伸ばすよう意識してみましょう。その他、人柄や社内コミュニケーションへの積極性など数値評価しづらい項目もチェックされるので、普段から真面目に勤務することが大切です。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(6)複数の仕事を担当して経験を積んでいく
一口に工場勤務と言っても、任される仕事は多種多様です。加工・組立・溶接・塗装など、工場によって規模も仕事内容もさまざまであり、なかにはフォークリフトやベルトコンベアを使った運搬の仕事もあり、いかに仕事範囲が多いかわかります。
少しずつでもキャリアアップしたいのであれば、複数の仕事を担当して経験を積んでいくのがおすすめです。
最初は加工から、次年度は組立、その次は塗装…など社内での異動を繰り返しながら経験を積んでいけば、ゼネラリストとして活躍できます。資格がないとできない仕事をするときはその道のスペシャリストを目指す道もありますが、そうでなければゼネラリストを目指し、どんな仕事でも一定水準以上でこなせる人になるとよいでしょう。
「どんな仕事も安心して任せられる人」として評価してもらえれば、キャリアアップの道が拓けます。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(7)資格を取って手当金をもらう
資格が必須の高度な専門仕事を請け負いたいのであれば、まずは「資格取得」を目指しましょう。資格に対して手当金を支給している企業は多く、かつ毎月の基本給にプラスして支給される形態であるため、手取り額を増やす効果があります。自己成長意欲も刺激されるため仕事のモチベーションになりやすく、技術も向上するのでメリットの多い手法です。
ただし、どの資格を重視するかは企業や仕事内容、配属部署により異なります。必要でない資格ばかり取っていたり、手当金額の低い資格を優先していたりすると、期待していたような高収入効果は得られません。
どんな資格が重宝されるのか、会社は従業員に何を期待しているのか確認しながら、狙うべき資格を絞り込んでいくことが大切です。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(8)キャリアアップして役職に就く
「マネージャー」や「リーダー」などの役職がつき、マネジメント側に回ることができれば基本給を大きく伸ばせます。基本給が見直されるだけでなく「役職手当」が追加されることも多いので、年間数十万円単位で収入を伸ばせるのがポイント。さらに上のポジションである工場長や生産管理責任者に就任すれば、工場勤務の平均年収を大きく上回ることができるでしょう。
工場勤務の場合、役職に就くためには周囲の同僚や直属の上司からの推薦が必要なケースが多いです。または管理職登用試験に合格するなど、客観的にマネジメントスキルがあると証明されなくてはいけないため、日々の業務態度からコツコツ積み上げていきましょう。
工場勤務で年収を上げていくキャリアプラン(9)工場勤務以外の職種に異動する
工場勤務をしながら実務経験年数と周囲からの評価を積み上げ、同じ会社内で工場勤務以外の職種に異動する方法もあります。例えば、生産管理に異動した場合、工場勤務で得た現場目線を活かしながら生産スケジュールを組むことができ、経営層と現場との橋渡しができるようになります。細かいことが好きな特性を活かして品質管理に異動したり、専門技術や高度な資格を活かして生産技術に異動したり、さまざまな道が拓けます。
基本給や福利厚生の内容は、部署ごとに異なることも多いです。その後10年20年と勤続し続けた場合のキャリアパスも変わっていくので、社内のロールモデルを参考にしながら理想的なキャリアを歩みましょう。
高収入な仕事まとめ
工場勤務の平均年収は少し低めですが、条件次第では短期間で効率よく稼ぐことが可能 です。残業・休日出勤・深夜労働が多く割増賃金を適用してもらいやすいこと、人手不足解消のため各社ともにオリジナリティのある法定外福利を充実させていることが、高収入を期待できる理由となっています。
今後、工場勤務することを検討中の人は、企業ごとの求人要綱や口コミを細かくチェックしてみましょう。実際にどの程度の金額がもらえるのか、勤続した場合にどの程度年収アップできるのかシミュレーションしながら比較・検討していけば、大きなミスマッチに悩まされることもありません。
出典
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況転職サイトdoda 平均年収ランキング(業種別)
厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率
厚生労働省 就労条件総合調査
国税庁 食事を支給したとき
厚生労働省 一般職業紹介状況(令和4年8月分)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部