更新日: 2024.02.29 融資

【2024年版】個人事業主が受けられる融資(資金調達)方法とメリット・デメリットをご紹介!

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【2024年版】個人事業主が受けられる融資(資金調達)方法とメリット・デメリットをご紹介!
一人や複数人の小規模で事業を運営する「個人事業主」でも、不動産の賃借料や人件費、仕入れなどにより、企業と同じく事業資金の融資が必要になる場面が多々あります。これから開業を検討している場合でも、審査に通過し、実際に借り入れることができれば、本格的に開業したいと考えている方も多いでしょう。
 
個人事業主が資金を借り入れる際は、借り入れ先の選び方や利用する融資制度が重要です。個人事業主に向いている借り入れ先の特徴を把握して、自身や事業に適合した借り入れ先を見つけましょう。
 
本記事では、個人事業主が借り入れやすい融資制度やそれぞれのメリット、デメリットについて詳しく紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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個人事業主が受けられる融資とは?

個人事業主が事業資金を借り入れる際は、日本政策金融公庫や各自治体などの「公的融資」や、銀行や消費者金融で借り入れる「民間融資」など、さまざまな借り入れ先が挙げられます。

審査の厳しさや金利の傾向などは借り入れ先それぞれで大きく異なるため、まずは個人事業主が借りやすい融資先の特徴をチェックしてみましょう。

個人事業主が受けられる融資1:日本政策金融公庫

「日本政策金融公庫」とは、一般の金融機関がおこなう金融を補完することを旨に、国民生活の向上に寄与することを目標とする政策金融機関です。

融資制度は「国民生活事業」と「農林水産事業」、そして「中小企業事業」の3種類に分類しており、個人事業主や小規模事業者が事業資金の融資を受ける場合は国民生活事業からの申し込みとなります。

国民生活事業の融資先は令和4年度末の時点で119万先と多くの方が利用しており、1先あたりの平均融資残高は935万円となっています。令和4年度では融資を受けた方の73.2%が従業員4人以下と小規模事業者の割合が高く、個人事業主でも借りやすい金融機関といえるでしょう。

個人事業主が日本政策金融公庫で融資を受けるメリット

「日本政策金融公庫」は、個人事業主や小規模事業者、中小企業向けのさまざまな融資制度を提供していることが特徴です。創業したての個人事業主から経営難で赤字が続く方まで幅広い層が利用できる制度があり、個人事業主であればどのような状況でも申し込みやすいことが大きなメリットです。

どの制度も金利が低く、返済期間や利息のみの返済期間である「据え置き期間」も長めに設けられているため、創業したてや赤字続きで経営が安定しない状態でも無理のない範囲で返済できます。特に、借り入れ先が決まっていないのであれば、金利が低い日本政策金融公庫で適した融資を探すことをおすすめします。

日本政策金融公庫で融資を受ける際は、審査に面談が必要になることも特徴の1つです。支店に赴く手間はありますが、書類を細かく記載して事業計画や返済計画など説得力のある説明ができるならば、業績がなくても借り入れやすくなる点に関しては大きなメリットといえるでしょう。

個人事業主や小規模事業者向けの融資制度は国民生活事業に分類されて、インターネットから24時間365日相談予約が可能であり、確定申告書や見積書などの必要書類もオンラインで送信できます。

郵送したり、何度も支店に赴く必要がなく、スムーズに手続きを進められるため、まとまった時間を確保しにくい方にとっても便利なサービスとなっています。

また、多くの制度が担保や保証人がいなくても申し込み可能であり、面談にて希望や状況を相談しながら保証人の有無が決められます。

個人事業主が日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット

個人事業主が日本政策金融公庫で融資を受けるデメリットは、審査期間が長いことが挙げられます。

日本政策金融公庫では、国民生活事業での申し込みから融資までの期間は平均して3週間とされていますが、利用する融資制度により大きく異なります。早ければ2週間程度で済む場合もある一方で、一時的に申し込む人数が多かったり、不動産担保を用意したりなどの要素で手続きが1ヶ月以上かかることも珍しくありません。

申し込みに必要な書類も多く、実際に支店に赴いて面談し審査を受けるため、時間と手間がかかります。基本的に審査に関する面談は最寄りの支店に赴く必要があるため、時間がかかったり、対面でうまく説明できなかったりなどの不安要素もデメリットです。申し込む際は、余裕を持ったスケジュールで相談予約をしましょう。

また面談する担当者は自身では選べず、相性の悪い担当者にあたってしまう可能性がある点もデメリットといえます。どのような担当者にあたってもよいように、提出書類や口頭ではっきり説明できるよう自身が事業に関して理解することが大切です。

日本政策金融公庫の利用しやすい融資制度

ここからは個人事業主が利用しやすい日本政策金融公庫の融資制度を3種類紹介いたします。

●新規開業資金

●再挑戦支援資金

●企業活力強化資金

「新規開業資金」は、これから新たに事業を始める方や事業開始からおおむね7年以内の方が利用できる借り入れ制度です。

資金使途は事業を始めるため、または、事業開始後に必要とする設備資金や運転資金に利用できます。融資限度額は7200万円と高額で、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内であり、いずれも据え置き期間が最大2年間と定められています。

金利は令和6年2月1日時点の基準利率である2.1%~3.3%が適用されますが、女性の方や35歳未満または55歳以上の男性は特別利率Aの1.7%~2.9%が適用されます。その他条件を満たす方はさらに金利が引き下がるため、多くの方が利用しやすい融資制度の1つです。

「再挑戦支援資金」は上記の新規開業資金内の融資制度であり、その名のとおり廃業歴を有する個人や法人が利用できる内容となっています。

廃業の理由や事情がやむを得ない者であり、廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがある方のみが利用できます。融資限度額は7200万円であり新規開業資金と同額ですが、返済期間が設備資金20年、運転資金は15年以内と期間が延びている点が特徴です。

金利も新規開業資金と同じく基準金利の2.1%~3.3%が適用されて、女性の方や35歳未満または55歳以上の男性は特別利率Aの1.7%~2.9%が適用されます。

すでに経営を続けている個人事業主の方は「企業活力強化資金」もおすすめです。

卸売業やサービス業、不動産賃貸業などを経営している方向けの融資制度で、新分野への進出やキャッシュレス決済の導入を検討している方が利用できます。融資限度額や返済期間はすべて新規開業資金と同じ内容ですが、金利は基準利率が適用されるほか、特定の条件に当てはまる方は特別利率が適用されて金利が引き下がります。

個人事業主が受けられる融資2:各自治体

各自治体が提供する融資制度も日本政策金融公庫と同じく公的融資の1つです。自治体それぞれが独自に提供している融資制度であり、中小企業のみでなく個人事業主向けの制度を取り扱っている自治体も多くあります。

個人事業主が利用しやすい各自治体の融資制度には、自治体と信用保証協会、金融機関の三者が共同して提供する「制度融資」が挙げられます。制度融資は信用保証協会から保証の承諾を受けることで、銀行からの融資を受けやすくする制度であり、自治体は申請者の保証料や金利を一部負担するといった役割があります。

また、個人事業主向けに返済義務のない補助金制度を設けている自治体もあるため、これから事業を始める方や高額な設備投資を検討している方は、国や自治体の補助金制度を確認してみましょう。

個人事業主が各自治体から融資を受けるメリット

各自治体の融資制度は日本政策金融公庫と同じく金利が低い傾向にあり、金銭的な負担の抑えたい方にとっては、条件のよい借り入れ先の1つです。信用保証協会を利用する制度融資であれば自治体が保証料や金利を一定額保証してくれるため、金融機関で審査が通過しやすくなるのみでなく、希望額で融資が受けられる可能性も高まります。

自治体の融資を受ける際、地域性の高い事業であるほど、審査では高得点となりやすく、自治体によっては地方ならではの特典を用意していることもあります。事業を展開する地域の融資制度と日本政策金融公庫で利用できる融資制度を比較して、どちらが負担を抑えて利用できるかチェックすることがおすすめです。

個人事業主が各自治体から融資を受けるデメリット

各自治体から融資を受けるデメリットは、申し込める地域が限られる点です。地域を応援する目的の融資制度では、当該地域と距離が近くても住所が異なることから利用できないケースもあるため、対象者が限られます。

信用保証協会と金融機関と自治体の三者が提供する制度融資を利用する際は、関係する組織が多くなるため手続きの期間が長引くこともデメリットの1つです。制度融資の一般的な流れは、まず事業者が自治体に融資を申し込み、あっせん書を受け取ります。

次に金融機関に融資を申し込み、金融機関を経由して信用保証協会の保証も申し込みます。金融機関と保証会社の審査を経て無事通過したのちに振り込みとなるため、1ヶ月以上かかることを予想してスケジュールを立てましょう。

各自治体の利用しやすい融資制度

自治体の融資は利用できる方が居住している方や当該地域で事業を限定している方に限られるため、おすすめの融資制度はそれぞれで異なります。ここからは都市部の自治体制度を2種類紹介いたします。

●小口零細企業保証制度(東京都)

●小規模企業サポート資金(大阪府)

「小口零細企業保証制度」は中小企業のみでなく個人事業主も利用できる東京都の融資制度です。

東京商工会議所からに融資を申し込み証明書がを発行されたのち、東京信用保証協会の保証を得て民間金融機関が融資する制度融資の一つです。

融資限度額は2000万円であり、融資期間は運転資金が7年、設備資金が10年で、いずれも据え置き期間が1年とされています。金利は借り入れ期間により異なり、3年以内の借り入れでは固定金利で1.90%以内と低い金利で利用できる点がメリットです。

東京商工会議所から6ヶ月以上の経営指導を受けることが前提となるため、経営に関するサポートを受けたい方にはおすすめの制度といえるでしょう。

「小規模企業サポート資金(小規模資金)」とは、常時使用する従業員の数が20人以下の会社や個人が利用できる制度です。融資限度額は2000万円で保証期間は7年以内の貸し付けで、金利は1.60%となっています。小規模企業サポート資金を取り扱っている金融機関から申し込み可能です。

また大阪府の制度融資では「開業サポート資金(地域支援ネットワーク型)」や「チャレンジ応援資金(法認定型)」などさまざまな種類があるため、自身に適した制度を選択することでよりよい条件で申し込めるでしょう。

個人事業主が受けられる融資3:都市銀行や地方銀行

「都市銀行」や「地方銀行」などの金融機関も、個人事業主が融資を受けられる借り入れ先です。

信用保証協会をとおさずに銀行から直接融資を受けることを「プロパー融資」といいますが、個人事業主が都市銀行や地方銀行からプロパー融資で借り入れることは申し込みや審査の面で難易度が高く、最初から法人のみの受け付けとしている金融機関も多くあります。

そのため個人事業主の方が銀行から借り入れる際は、銀行が提供するビジネスローンや小規模事業者向けの融資制度を利用しましょう。

一方で、信用金庫や信用組合は、銀行のように営利法人ではなく地域に住んでいる方が利用者となるため、地方で事業を始める個人事業主の借り入れを受け付けている金融機関が多い傾向にあります。地域性の高い事業を始めたい方は信用金庫や信用組合からの借り入れがおすすめです。

個人事業主が都市銀行や地方銀行で融資を受けるメリット

都市銀行や地方銀行は公的融資と同じく金利が低いことがメリットです。

個人事業主から成長し法人化して新たな融資が必要になった際は、プロパー融資のほうが高額な資金を借り入れられる可能性もあります。個人事業主は申し込み不可である金融機関も多いですが、法人化した際は選択肢に含まれるでしょう。

一方で担保となりえる不動産がある場合は銀行の直接融資を受けられる可能性も高まるため、一度支店の窓口で相談することも選択肢の一つです。

また、急な取り引きがあり早急に資金を要する際にビジネスローンで融資を受ける際も、消費者金融より銀行系のビジネスローンのほうが金利が低い傾向にあるため、優先的に選ぶことをおすすめします。

個人事業主が都市銀行や地方銀行で融資を受けるデメリット

個人事業主の場合は銀行に融資を申し込んでも、審査に通過しにくい点がデメリットです。開業したてであればより難易度が上がり、申し込みも不可である可能性が高いため、日本政策金融公庫や自治体の創業支援を利用するほうが融資を受けやすいといえるでしょう。

銀行のプロパー融資が受けられず、信用保証付きの融資であれば申し込める場合でも、信用保証協会を利用するのであれば自治体から補助を受けられる制度融資のほうが金銭的な負担も抑えられておすすめです。

都市銀行や地方銀行の利用しやすい融資制度

ここからは銀行で利用しやすい融資制度について2種類紹介いたします。

●フィンディ(福岡銀行)

●ビジネスローン(PayPay銀行)

「福岡銀行」は地方銀行ですが、全国の事業者が対応の「フィンディ」というビジネスローンを提供しています。

特徴は、福岡銀行がメインバンクである場合AI技術を活用した審査を受けられる点で、口座の入出金情報から借り入れ可能な目安額がすぐに表示されます。福岡銀行の口座を持っていない方でも利用可能で、法人設立1期目や個人事業主でもオンラインで24時間365日申し込めることから、全国の事業者に利用されているビジネスローンの一つです。

融資額は100万円~1000万円と高額で、金利は審査により2.0%~14.0%の中で決定されます。上限金利が比較的高めで、一部繰り上げ返済が不可である点はデメリットですが、返済方法は元金均等毎月返済で任意の日に返済できることから他の支払いや返済と同じ日に設定することも可能です。

手続きがスピーディな銀行系ビジネスローンを探している方におすすめのサービスといえるでしょう。

「PayPay銀行」の提供する「ビジネスローン(個人事業主向け)」は、日本国籍を有している満20歳以上69歳未満の方であれば開業したてでも申し込めるサービスです。

オンラインにの特化した大手の銀行であり、口座を利用している方も多く、スマートフォンから1円単位で借り入れられることから使い勝手のよいビジネスローンとして人気のサービスです。利用限度額は10万円~1000万円で、借り入れた資金は事業資金であれば自由に使えます。

返済日もいくつかの候補の中から自由に選べて手数料もかからないため、スマートフォンとATMがあればどこでも引き下ろしたり返済したりできる手軽な点がメリットです。利率は1.8%~13.8%とビジネスローンの中でも比較的低めで、金利の低い銀行系のビジネスローンを探している方にはおすすめです。

個人事業主が受けられる融資4:民間のビジネスローン

「ビジネスローン」とは事業用資金を借り入れられるローン商品で、数多くの銀行や消費者金融で扱われており、早い場合は即日融資のスピーディな手続きが特徴です。

ビジネスローンで借り入れた資金は新規事業の立ち上げのほか、設備投資や各種支払いに利用できます。一般的に個人用のローンは事業資金に利用できないため、事業資金の資金調達でローンを利用する場合はビジネスローンの中から選びましょう。

細かい資金使途や金利、返済方法などローンの内容は金融機関それぞれで異なるため、複数のビジネスローンを比較しながら自身に適したローン商品を選択することが大切です。

個人事業主が民間のビジネスローンで融資を受けるメリット

民間のビジネスローンは早い企業で即日融資が可能である点が大きなメリットです。急な取り引きで高額な資金が必要になった際、公的融資であれば早くても2週間以上かかるところ、民間のビジネスローンであれば即日からおよそ1週間以内で融資を受けられます。

現在は申し込みから融資まですべてオンライン完結型のビジネスローンが主流になり、手続きに時間がかからず24時間365日申し込みできる企業が増えました。銀行のビジネスローンでは面談が必要になる場合がありますが、電話やビデオ通話で完了できる金融機関も増えて、手続きに時間をかけずに融資が受けられます。

公的融資では審査を受けるために購入したい物品の見積書や返済計画などが必要であるところ、ビジネスローンは手続きの簡潔さに特化しており、審査に時間もかからず事業用資金であればどのような使い道でも問題ないとしている企業が多く見られます。

そのため、細かい金額がや使い道が確定していないものの、近い将来事業用の大きな買い物をすることが決定している場合でも申し込めます。

個人事業主が民間のビジネスローンで融資を受けるデメリット

ビジネスローンの一番のデメリットは金利が高額であることです。融資における金利は利息上限法に定められており、10万円以下の借り入れでは上限金利は20%まで、10万円から100万円未満までは18%、100万円以上の借り入れでは金利は15%%までとされています。

ビジネスローンでは上限金利に近い金利を設定していることも多く、特に「消費者金融のビジネスローン」は審査が銀行よりも緩やかな傾向にある分金利が高く金銭的な負担は大きくなります。

急な出費がありすぐに融資を受けるためビジネスローンを利用する場合でも、なるべく消費者金融より銀行のビジネスローンの利用をおすすめします。

一方で、個人事業主向けのビジネスローンは、審査で個人の属性も確認します。開業前や開業したての個人事業主であれば、特に個人の経済状況や過去の延滞などの情報が重視されるでしょう。

他のローンを利用していたり以前に支払いを延滞していたりなど審査に自信がない場合は、比較的審査が緩やかとされている消費者金融のビジネスローンがおすすめです。

また民間のビジネスローンは審査に通過した際の金額が1万円から10万円と低いことが多く、100万円以上のまとまった資金の融資を受けたい方には向いていません。個人の信用情報や経済状況に自信がない方は、提出書類や自身の説得力で融通をとおしやすい面談ありの審査を選ぶこともおすすめです。

民間のビジネスローンで利用しやすいサービス

ここからは民間融資の中でも、個人事業主の方が利用しやすいおすすめの消費者金融のビジネスローンを2種類紹介します。

●自営者カードローン(プロミス)

●事業サポートプラン<個人プラン>(アイフル)

CMでおなじみの消費者金融である「プロミス」では、個人事業主や小規模事業者向けに最大300万円まで借り入れ可能なカードローンを取り扱っています。

事業資金としても利用できるほか、プライベートの買い物にも利用できることがメリットであり、小規模な事業展開でプライベート用の備えもほしい方にはおすすめのビジネスカードローンです。金利は6.3%~17.8%で、返済方式は残高スライド元利低額返済方式となります。

同じく大手消費者金融の「アイフル」でも個人事業主が対象の「事業サポートプラン」を取り扱っています。

資金使途は運転資金や設備投資資金など事業資金に限られます。金利は3.0%~18.0%であり、融資金額は1万円から500万円とされています。

返済方式が3種類から選択できることが特徴で、最終返済日までは利息のみの支払いで可能な「元金一括返済方式」や、毎月低額を返済し最終返済日回で差額を支払う「元利低額返済方式」など、収入があるタイミングを考えて自身に適したプランを探せます。

来店による契約も可能ですが、個人事業主であれば申し込みから融資までオンラインで完結するWeb契約も利用可能です。

その他個人事業主が受けられる融資

公的融資や民間融資のほか、個人事業主が受けられる融資は以下のものが挙げられます。

●クラウドファンディング

●ファクタリング

●家族や友人から借り入れる

 

その他個人事業主が受けられる融資1:クラウドファンディング

「クラウドファンディング」とは、インターネット上に事業内容や目標を載せて出資者を募る資金調達方法です。企業に対する出資以外でも、災害や諸外国への寄付などさまざまな内容が多く見られます。個人事業主や法人の場合は、よいアイディアであれば拡散されやすく、手軽に融資を受けられる点がメリットです。

クラウドファンディングでは出資者に対して一定のリターンが求められます。寄付型であればお礼のメッセージや活動報告などがリターンとなることが多いですが、企業への出資の場合は、開発成功の暁に一般販売よりも早く商品が届いたり、出資者限定のプランを組んだりなど企業それぞれでリターン内容が異なります。

特に、商品化を目指している内容などは、出資者側もアイディアが分かりやすく、応援されやすいジャンルです。法人に限らず個人事業主でも手軽に利用できることから、よいアイディアがあれば積極的な利用をおすすめします。

その他個人事業主が受けられる融資2:ファクタリング

「ファクタリング」とは、所有している債権を買い取ってもらう内容の資金調達方法で、すでに経営している個人事業主の方におすすめです。

売掛債権を保有している場合は、期日前に他の企業に買い取ってもらい、手数料を引いた売掛債権の資金を受け取る方法を指します。本来売掛金を受け取れる期日の前に資金を受け取れるため、急な出費がある場合には便利なサービスです。

請求書を送っている取り引き先にファクタリングの利用が知られない「2社間ファクタリング」や、ファクタリング利用者と請求書を発行した取り引き先、ファクタリング会社が共同で契約を進める「3社間ファクタリング」など、内容によって手数料や融資までの期間が異なります。

その他個人事業主が受けられる融資3:家族や友人から借り入れる

最後の家族や友人から借り入れる方法は、金銭のトラブルが発生しやすいため借用書や金銭消費者契約書を作成することをおすすめします。特に、起業時は家族から事業資金の贈与を受けることもありますが、借りたのか、贈与を受けたのか、明確にしておきましょう。

個人事業主が融資を受ける際の注意点

個人事業主が融資を受ける際には、個人の信用情報と返済能力に関して事前に注意しましょう。個人事業主は自身の信用情報や経済状況も審査のポイントとなります。

公的融資と民間融資いずれの審査でも、これまでのクレジットカードの滞納や税金の未納などはチェックされる部分となるでしょう。申し込む前に滞納や未納の状態を解消したり、以前に滞納があった方は個人情報を取り扱う「CIC」が保有している情報を確認したりなど、信用情報が原因で審査に落とされないようにしておくことが重要です。

CICでは自身の情報を確認するインターネット開示が手数料500円で利用できます。

返済能力に関しては、面談が必要になる審査の場合、口頭でも説明が必要です。しかし、書類のみの審査であっても、どのように返済するかは、事前にシミュレーションしておきましょう。

いざ審査に通過して融資を受けられても、返済の目途が立たないと生活費を無理に削って返済を続けることになり、最終的に支払えない状態になってしまうことも考えられます。無理のない返済を目指すために金利の低い融資制度や、返済期間と据え置き期間が長い融資制度を優先的に選ぶことをおすすめします。

個人事業主が融資審査を通過するためのポイント

個人事業主が融資に申し込む際は、審査に通過するため以下のポイントを意識しましょう。

●借入の希望額を増やしすぎない

●自己資金を用意する

●資金の使い道や返済計画を説明できるようにする

 

融資審査を通過するポイント1:借入の希望額を増やしすぎない

面談がある審査の場合、借り入れる金額の内訳や返済について説得力のある説明が必要になります。希望額を増やしすぎると個人の経済状況と適合していないとされて、審査にとおりにくくなるため、特に「自己資金がない方」は希望額を増やしすぎないようにしましょう。

融資審査を通過するポイント2:自己資金を用意する

一方で、自己資金や担保がある場合は、希望額やそれ以上の金額でも審査に通過しやすくなります。たとえば日本政策金融公庫の新たに事業を始める方が利用できる「新創業融資制度」では、自己資金の要件として創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できる方を申し込みの条件としています。

そのため1000万円を借り入れたい場合は100万円以上の自己資金が目安ともなるでしょう。

融資審査を通過するポイント3:資金の使い道や返済計画を説明できるようにする

また面談が必要になる審査では、事業内容や融資の使い道、返済計画などを詳しくアピールしなくてはなりません。借り入れ先に「この個人事業主になら融資しても完済が期待できる」と思われるためには、細かい資金使途や先を見据えている返済計画が必要です。

これから事業の立ち上げを検討している方は特に事業計画書の作成に力を入れましょう。日本政策金融公庫では創業時の支援として創業計画書の書き方を分かりやすくまとめていたり、来店やオンラインによる相談を受け付けていたりなど、融資制度を利用する以外にも活用できるサポートが豊富です。

個人事業主の融資まとめ

個人事業主が融資を受ける際は、借り入れ先や利用する制度を慎重に選びましょう。なるべく金銭的な負担を抑えて無理のない返済を目指せるように、余裕を持ったスケジュールで融資を受けられるよう早めに申し込むことが大切です。

個人事業主でも事業計画書や見積書のもと説得力のある説明ができれば、面談が必要になる審査でも通過できます。より審査に通過しやすくするために、融資の希望額を高く設定しすぎないようにし、書類不備や記入漏れなど基本的なミスの見落としに注意したりなど、申し込み前によく確認しましょう。

出典

日本政策金融公庫
日本政策金融公庫 小規模事業者の皆さまへのサポート
日本政策金融公庫 個人企業・小規模企業の方
日本政策金融公庫 よくあるご質問 創業をお考えの方
日本政策金融公庫 新規開業資金
日本政策金融公庫 国民生活事業(主要利率一覧表)
日本政策金融公庫 新規開業資金(再挑戦支援関連)/ 再挑戦支援資金
日本政策金融公庫 企業活力強化資金
東京商工会議所
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