更新日: 2024.02.29 融資

個人事業主は銀行融資を受けられるの? おすすめの事業資金調達方法やメリット・デメリットを解説

個人事業主は銀行融資を受けられるの? おすすめの事業資金調達方法やメリット・デメリットを解説
個人事業主が事業資金の融資を受けたい場合は、日本政策金融公庫や自治体の制度以外にも「銀行から借り入れる」という選択肢があります。
 
銀行融資は金利が低く借り入れ可能な金額も高いため、新たに店舗を構えたり、設備導入を検討したりなど、高額な資金が必要になる個人事業主の方にとってはメリットのある借り入れ方法です。
 
しかし個人事業主は法人と異なり、銀行側が個人事業主向けの融資を受け付けていないこともあるため、銀行から直接借り入れることは難しい場合もあります。
 
本記事では、個人事業主でも銀行融資を受けられる方法やそれぞれの種類、審査について詳しく紹介いたします。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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銀行融資とは?

銀行融資とは、銀行から事業資金の融資を受けることを指します。

銀行から融資を受けるのは中小企業や大企業に多いイメージですが、個人事業主でも銀行の融資を受けて事業資金を調達できます。しかし、銀行融資の中には個人事業主や事業を始めたばかりの方には向かない制度もあるため、まずは銀行融資の種類それぞれの特徴やメリット、デメリットについてチェックしてみましょう。

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個人事業主でも銀行融資は受けられる?

個人事業主でも銀行から融資を受けることは可能です。銀行の中でもメガバンクと呼ばれる都市銀行は大企業向けの融資プランが多く、中小企業や個人事業主のような小規模事業者向けの融資制度は地方銀行やオンラインに特化したネット銀行が申し込みやすい金融機関です。

個人事業主の方が銀行から融資を受ける場合は、信用協会の保証付き融資や各銀行が提供するビジネスローンが審査も通過しやすく向いているといえるでしょう。

個人事業主が受けられる銀行融資は主に3種類

銀行融資は主に以下の3種類に分類されます。

●プロパー融資

●保証付き融資

●ビジネスローン

いずれも金利の傾向や審査の厳しさなどが異なるため、まずはどのような種類があるか1つずつ確認してみましょう。

個人事業主が受けられる銀行融資1:プロパー融資

「プロパー融資」とは、金融機関と経営者が直接融資の契約を結ぶことを指します。

信用保証協会を介さずに1対1で契約するため、審査では企業の信用性や誠実さが問われます。審査も銀行融資の中では一番厳しく、個人事業主は申し込み対象外としている銀行も多いため、個人事業主の方はプロパー融資よりも保証付き融資やビジネスローンの利用がおすすめです。

プロパー融資のメリット

プロパー融資は銀行融資の中でも特に金利が低く、一番金銭的負担が少ない融資制度とされています。信用保証協会を介さない分、保証料もかからず、信頼性の高い企業に貸す前提の融資制度であるため、最初から金利が低く設定されていることが一般的です。

融資限度額を設定していないプロパー融資も多く、必要な金額分の融資を受けられることもメリットの1つです。通常の融資であれば数百万円から数千万円が限度ですが、プロパー融資の場合は1億円以上の融資も受けられます。

そして銀行から直接融資を受けるプロパー融資の審査に通過したとなれば、企業そのものの信用力も上がります。取引先の企業や新たに融資を受ける際によい影響となるでしょう。

プロパー融資のデメリット

プロパー融資のデメリットは、個人事業主や創業したての法人では申し込みにくい点です。審査に通過しにくいこともデメリットに挙げられますが、申し込み条件は中小企業以上のみで個人事業主は申し込めない場合もあることが特徴です。

そのため個人事業主から法人化し、さらに新規事業や新たな設備投資を検討している場合にはプロパー融資も選択肢の1つとなるでしょう。

個人事業主が受けられる銀行融資2:保証付き融資

「保証付き融資」とは、信用保証協会の保証を得て金融機関から融資を受ける制度を指します。信用保証協会とは、事業者が万が一支払えなくなった際に備えて立て替えて支払う機関であり、利用するには一定の保証料が必要になります。

信用保証協会を利用するには、金融機関とは別に審査が必要です。資本金や従業員数などの企業規模から業種、そして管轄の区域や業歴などが審査の対象となります。たとえば、業種が小売業や飲食業の場合は、資本金が5000万円以下で従業員数が5人以下であれば、小規模企業者として信用保証制度の対象となります。

保証付き融資のメリット

保証付き融資のメリットは、プロパー融資を申し込めない方でも審査に通過しやすい点です。

銀行の審査では事業主の返済能力を重視しますが、保証付き融資を利用する場合は、もし事業主の貸し倒れとなっても保証協会から融資した分が返済されるためリスク低減となり、借り入れられる可能性が高くなります。

信用保証協会は銀行以外の融資で、自治体や信用金庫など別の組織から融資を受ける際にも利用できます。窓口に相談したら信用保証協会の利用を条件に審査を受けられるケースも珍しくありません。

また、どの金融機関でも担保や保証人がいない場合は審査に通過しにくくなりますが、信用保証協会が保証人のような関係になることから、銀行以外での借り入れで信用保証協会を利用する場合でも審査にとおりやすくなります。

保証付き融資のデメリット

保証付き融資のデメリットは、一定の保証料が発生する点です。

一般的には利率に上乗せされる形となり、融資額や事業主の経済状況により金利が異なります。金利の低い銀行融資を受けやすくなる点はメリットですが、保証料の上乗せがある場合がるので、事前に確認しておくべきポイントです。

銀行と直接契約するプロパー融資と比較して、手続きに信用保証協会が加わるため、申し込みから融資までの期間が長くなることもデメリットといえるでしょう。

しかし保証料の上乗せや手続き期間が長いデメリットがあっても、ビジネスローンや消費者金融の利用より金利は低いため、利用できるのであれば、なるべく保証を利用して銀行融資を受けることをおすすめします。

また、金融機関と信用保証協会に自治体が加わり三者共同でおこなう融資を「制度融資」と呼びます。制度融資は信用保証協会への保証料や金融機関への金利の一定額を自治体が保証してくれる制度で、通常の保証付き融資よりも金銭的な負担を抑えられることが特徴です。

関係者がさらに増えるため手続きに時間がかかることはデメリットですが、スケジュールに余裕のある方は、制度融資もおすすめの資金調達方法の1つです。

個人事業主が受けられる銀行融資3:ビジネスローン

「ビジネスローン」とは事業用のローン商品であり、法人から個人事業主までさまざまな事業者が利用できる資金調達方法です。個人は借り入れることはできませんが、個人事業主であれば開業したてでも申し込めることから、業歴がなく経営が不安定な状況でも利用できるローンです。

個人事業主向けのビジネスローンは、主に地方銀行やオンラインに特化したネット銀行、消費者金融などさまざまな民間企業が取り扱っています。居住地域や本店所在地など場所を選ばず利用できるビジネスローンも多いため、よりよいサービスを見つけるには、利用しやすい銀行をいくつかピックアップして比較することがポイントです。

ビジネスローンのメリット

ビジネスローンは申し込みから融資まで早くて1日で済むことが大きなメリットです。

プロパー融資も関係する組織が少ないため、数ある融資制度の中では手続き期間が短めな傾向にありますが、ビジネスローンの即日融資よりは長くなることが多いです。特に消費者金融が提供するビジネスローンは即日融資のサービスも多く、全国のATMから引き下ろせるため、急な取り引きや出費がある際には非常に心強い資金調達方法です。

ビジネスローンは個人のカードローンとは異なり事業用資金としての融資であり、金融機関が個人の年収3分の1を超える貸し付けができないという「総量規制」の範囲からも外れます。そのため一般の事業融資と同じように100万円以上の融資を受けることも可能であり、個人用のカードローンを利用している方でも申し込み可能です。

一方で、個人用のカードローンは事業用資金として利用できない規約を定めているサービスも多いため、誤って使用しないよう注意しましょう。

また、24時間365日申し込めるオンライン手続きに特化したビジネスローンの場合は、無担保や無保証で申し込みできるローン商品がほとんどで、家族や友人に連帯保証を頼む必要もありません。

自宅にいながら申し込みから融資までの手続きが完了するため、まとまった時間が取れなかったり、書類作成に自信がなかったりなど銀行融資の手続きが面倒な方にはおすすめの資金調達方法です。

ビジネスローンのデメリット

ビジネスローンのデメリットは、他の融資制度と比較して金利が高いことです。

たとえば、東京都の制度融資である「小口零細企業保証制度」は、融資限度額が2000万円であり金利は3年以内の返済で固定金利1.9%以内と非常に低く、金銭的な負担が少ない制度です。

一方で、オンラインに特化したPayPay銀行の「ビジネスローン(個人事業主向け)」では、利用限度額が1000万円で金利が1.8%~13.8%と金利に差があることが分かります。

適用される金利は審査により決定しますが、高額な限度額を設定するほど金利は低くなりやすいです。PayPay銀行の場合1.8%の金利で利用できれば非常に使いやすいビジネスローンですが、上限に近い金利が設定された場合は金銭的な負担が重くなるため、スケジュールに余裕がある場合の利用はおすすめできません。

金利のほか、ビジネスローンは借入可能額が比較的低く、500万円までとしている銀行が多く見られます。融資を受ける前から資金使途や融資の希望金額が決まっており、設備投資や新規事業の立ち上げなど高額な資金が必要である場合は、信用保証協会を利用した保証付き融資や銀行以外の日本政策金融公庫による資金調達もおすすめです。

個人事業主が銀行融資を受けるまでの流れ

ここからは個人事業主が銀行から融資を受ける際の一般的な流れについて紹介いたします。細かい流れや必要書類に関しては銀行や利用するビジネスローンにより異なるため、申し込む前には概要をチェックしておきましょう。

プロパー融資の手続きの流れ

プロパー融資で銀行から資金を借り入れる場合は基本的に次のような流れになります。

1:窓口での相談や融資を申し込む

2:書類提出や面談を経て審査する

3:結果の回答のち契約する

銀行と事業者二者の契約になるため手続きの流れはシンプルで、保証付き融資よりも手続き期間が長引きにくい傾向にあります。個人事業主の場合は担保がないと銀行融資は難しく難易度は高いですが、銀行の窓口で融資の相談をすることで、経営状況に適した融資制度の紹介を受けられる可能性もあります。

これから開業する場合でも経営難で資金を借り入れたい場合でも、対面で相談することで新たな選択肢が生まれることもあるでしょう。

保証付き融資の手続きの流れ

銀行で保証付き融資を申し込む場合は基本的に次の流れになります。

1:銀行の窓口で融資と保証を申し込む

2:銀行が信用保証協会に保証依頼する

3:銀行と信用保証協会がそれぞれ事業者を審査する

4:保証の承諾を得たら金融機関が融資実行

保証付き融資は、プロパー融資に信用保証協会の審査が含まれたような手続きの流れになります。信用保証協会へ保証依頼を出す際は事業者が銀行とは別に申し込むパターンや、銀行での窓口で可能なパターンもあり、金融機関によって細かい流れは異なります。

関係する組織が増えるためプロパー融資よりも手続きが長くなりやすいですが、審査に通過しやすくなるため個人事業主の場合は最初から保証付き融資を選んでおくこともおすすめの方法です。

ビジネスローンの手続きの流れ

銀行のビジネスローンを利用して事業資金を借り入れる場合は、基本的に次の流れになります。

1:オンラインまたは銀行の窓口で申し込む

2:審査を待つ

3:結果の回答のち契約する

個人事業主向けのビジネスローンはオンライン完結型のローン商品が多く、24時間365日申し込める点が特徴です。申し込みから審査回答までは即日からおよそ2~3営業日であり、実際に融資を受けられるのは1週間以内である銀行も多く見られます。

契約後は任意の金額が自身の口座に振り込まれるため、すぐに引き下ろすことも可能です。カードローンの場合は基本的にカードが実際に手元に届くまで引き下ろせないため、急いでいる方は契約後すぐに入金されるタイプのビジネスローンがおすすめといえるでしょう。

またビジネスローンは、利用していない場合に手数料がかからないサービスを利用することで、いざという時の出費にも備えられます。

個人事業主が銀行融資の審査に通過するためのコツ

個人事業主が銀行融資全般の審査に通過するためには、以下のコツをおさえておきましょう。

●信用情報の清算

●他の借り入れを返済

●書類の内容は明確に記載

 

銀行融資の審査通過のコツ1:信用情報の清算

個人事業主はどの金融機関で借り入れる場合でも、クレジットカードやローンの契約などの信用情報が審査の対象となります。返済の滞納や税金の未納がある場合は、それだけで審査に通過しにくくなるでしょう。

まずは滞納状態を解消したり、自身に滞納した情報が残っているか個人情報を取り扱う機関に開示請求したりなど、信用情報で落とされることのないようにすることが理想です。

銀行融資の審査通過のコツ2:他の借り入れを返済

他のローンや借り入れがある場合は、先に返済しておくことも審査に通過するためのコツです。特に個人事業主は個人の経済状況も審査対象になりやすいため、自家用車や住宅ローンがある場合は一括の返済が難しいですが、事業資金の融資を申し込む銀行以外の金融機関や消費者金融による借り入れがある場合は、返済してから申し込むことをおすすめします。

銀行融資の審査通過のコツ3:書類の内容は明確に記載

申し込みの際に提出する書類に関しても注意が必要です。事業計画書の内容や資金の使い道を明確にして、誤字や脱字など基本的なミスがないようにチェックしてから提出しましょう。本人確認書類以外の提出や面談の必要ないビジネスローンに関しても、入力する情報に間違いがないようチェックすることが重要です。

銀行融資の審査に落ちた個人事業主におすすめの銀行融資以外の資金調達方法

個人事業主が銀行融資の審査に落ちた場合は、他の借り入れ先や資金調達方法を探してみましょう。銀行以外で個人事業主が事業資金を調達できる方法は、以下の種類があります。

●日本政策金融公庫

●自治体の融資制度や補助金制度

●消費者金融のビジネスローン

●家族や友人からの借り入れ

●クラウドファンディング

 

銀行融資以外のおすすめ資金調達方法1:日本政策金融公庫

「日本政策金融公庫」とは、国民生活の向上に寄与する目的の政策金融機関です。数多くの融資制度を取り扱っており、個人事業主や小規模事業者は国民生活事業の小口事業資金融資を利用できます。

これから創業する方が利用しやすい「新規開業資金」や、赤字が続き運転資金が足りない事業者まで幅広く対応している「一般貸付」などさまざまな融資制度があります。金利は銀行のプロパー融資と同様に低く、令和6年2月1日時点の基準金利は担保を不要とする融資の場合2.1%~3.3%となっています。

銀行融資以外のおすすめ資金調達方法2:自治体の融資制度や補助金制度

日本政策金融公庫以外でも、「自治体の融資や補助制度の利用」も個人事業主におすすめの資金調達方法です。自治体がおこなう融資は主に当該地域で事業を始める方やすでに経営している方向けで、自治体が金利や信用保証協会への保証料を一部負担する融資制度によるサポートが多く見られます。

借り入れとは異なり返済義務のない補助金制度に関しても、該当者は限られますが申し込み対象である場合は積極的に利用したい制度の1つです。

銀行融資以外のおすすめ資金調達方法3:消費者金融のビジネスローン

本記事では、銀行の借り入れ制度の1つとしてビジネスローンを紹介しましたが、「消費者金融」でも事業資金の借り入れが可能なビジネスローンを取り扱っています。

金利は銀行系のビジネスローンよりも高い傾向にありますが、審査は多少緩やかな傾向にあり、申し込みから融資までの手続きもスピーディであることから、急な出費には利用しやすいサービスです。

銀行融資以外のおすすめ資金調達方法4:家族や友人からの借り入れ

これから開業する場合は、「家族や友人からの借り入れ、贈与」なども資金調達方法の1つです。しかし少額の借り入れであっても金銭トラブルが発生する可能性があるため、実際に借り入れる際は借用書を作成することをおすすめします。借用書は家族間の借金でも、税務署に贈与であるとみなされないために有効な書類です。

銀行融資以外のおすすめ資金調達方法5:クラウドファンディング

よいアイディアがあり新しいサービスや商品を開発したい場合は、「クラウドファンディング」による資金調達が便利です。出資者には一定のリターンを送ることが特徴で、個人事業主が資金調達として利用する場合は新しいサービスや商品をいち早く発送したり、出資者向けの特別プランを作成したりなどが出資を受けやすいポイントになります。

これらの資金調達方法は組み合わせて利用することもできるため、自身に合った資金調達方法を見つけましょう。

個人事業主が受けられる銀行融資まとめ

個人事業主が銀行から融資を受けるには、信用保証協会の保証を得た「保証付き融資」や「ビジネスローン」の利用がおすすめです。

保証付き融資の審査が通過すれば低い金利で融資を受けられる銀行として、長く利用することも可能です。ビジネスローンの場合は金利が高いですが手続きが早いため、急な出費があった場合や万が一の取り引きにも利用できます。

個人事業主は銀行以外にも、日本政策金融公庫の融資制度や自治体の補助金制度などさまざまな資金調達方法があるため、よりよい条件で借り入れるために銀行以外の制度も比較してチェックしてみましょう。

出典

一般社団法人 全国信用保証協会連合会 初めての融資と信用保証
一般社団法人 全国信用保証協会連合会 信用保証のお申し込みの流れ
東京商工会議所
PayPay銀行 ビジネスローン(個人事業主向け)
日本政策金融公庫 国民生活事業(主要利率一覧)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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