親から毎月10万以上も?大学生が親からもらっている仕送りっていくらぐらい?
配信日: 2019.05.30 更新日: 2024.10.10
特に、自宅外通学のケースにおいて、家計の負担となるのが仕送りです。ケースによっては、授業料より高くなりますから、大学受験を控えている子を持つ保護者の方は、事前に情報を得ておきましょう。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
大学生の1ヵ月の家計収支
日本学生支援機構の平成28年度「学生生活調査」によると、自宅外大学生の1ヵ月あたりの支出は、約18万円です。この金額は、授業料も含んだ学費と生活費の合計金額で、内訳は以下のとおりです。
<支出>
・食費23,000円
・住居光熱費39,000円
・学費(授業料含む)92,000円
・保健衛生費(医療費等) 3,000円
・娯楽嗜好費12,600円
・その他13,800円
なお、授業料の1ヶ月あたりの平均支出額は、約7万円となっています。よって、授業料を除くと1ヶ月の支出額は約11万円となります。
一方、収入は約19万円となっています。収入の内訳は、以下のとおりです。
<収入>
・家庭からの給付12万5,000円
・奨学金34,000円
・アルバイト代27,000円
・定職収入、その他4,000円
「家庭からの給付」とは、家庭が本人に代わって学校へ支払った金額も含まれます。つまり、授業料も含まれています。
授業料は1ヵ月約7万円ですから、授業料を除いた金額を仕送り額と考えるとするなら、家庭からの給付のうち、7万円を除いた5万5,000円が仕送りの金額ということになります。
つまり、授業料を考慮しない自宅外の大学生の1ヵ月あたりの収入は、約12万円で、そのうち仕送りが5万5,000円というわけです。
この収入と支出額は、全国の国公立大学、私立大学の学生生活費の平均額です。しかし、都心部と地方では生活費、特に家賃が大きく異なります。そこで、都心部の国立大学に通う大学生の生活費として、東京大学を例に学生生活費を調べてみました。
東大生の生活費
東京大学の2017年「学生生活実態調査」によると、生活費は約13万円となっています。この調査は、自宅通学生、自宅外通学生どちらも対象として行われる調査です。それにもかかわらず、自宅外生の全国平均の支出11万円を2万円上回っています。
支出の内訳を見ると、大部分を占めるのは住居費で約6万円、食費が3万5,000円となっており、これらの金額は全国平均の1.4〜1.5倍の金額になっています。
一方、収入を見てみると、1ヵ月の平均額は約15万円です。内訳を見てみると助成金・奨学金の割合が最も多く約58,000円、仕送りは約42,000円となっており、仕送り額は全国平均より少ない金額となっています。
生活費については、全国平均よりも高めであることは明らかなのですが、仕送りについては、国立大学だから、少ないとは一概には言えないようです。
なぜなら、全国的に見ると、国立大学と私立大学の仕送り額に大きな差はないからです。42,000円という仕送り額は、東大固有の数字と言えるかもしれません。
東京の私立大学生の仕送り額
東京地区私立大学教職員連合会の「私立大学新入生の家計負担調査2018年度」によると、東京の私立大学に通う学生への仕送り額は83,000円でした。全国平均が5万円ですから、比較すると高めの金額になっています。
一方、支出の割合が最も大きいのは家賃で、約63,000円です。全国平均を上回って入るものの、こちらは東京大学の学生の家賃額とほとんど変わりありません。このことから、東京の私立大学の自宅外生は、生活費、仕送りとも全国平均よりも高い傾向にあることがわかります。
事前の情報収集と子どもとの話し合いが大切
都心の大学に行くか、地方の大学に行くか、あるいは国公立か、私立かによって仕送り金額は異なることでしょう。今回調べた調査によると仕送り金額は減少傾向にあり、対象的に奨学金は増加傾向にあります。仕送りのみに頼ってキャンパスライフを送る学生は減ってきているのです。
とはいえ、収入の大部分を占めるのは仕送りです。家計にとって大きな負担となっているのは事実です。いざ進路を決めるとなったときに、お金がないから進学できないという事態は避けたいもの。
事前に授業料だけでなく生活費等の情報も収集し、子どもとふだんから話し合い、認識を共有しておくことが大切ですね。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者