新社会人の貯蓄はここからスタート! 財形貯蓄
配信日: 2021.04.25 更新日: 2024.10.10
貯蓄や保険の説明があると何に加入すべきか迷います。社会人1年目から貯蓄体質になるためには、給与天引きの貯蓄からスタートしましょう。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
会社の福利厚生制度を知る
給与や賞与などは働きに対して得られる収入ですが、多くの会社には福利厚生という従業員をサポートする制度があります。
福利厚生には、雇用保険や労災保険など従業員が安心して働き続けるための制度もありますし、従業員の健康を維持するために人間ドックの受診やスポーツ施設の利用などと福利厚生の内容はさまざまです。また、従業員の財産形成を支援する制度も福利厚生の1つです。
社会人1年目から貯蓄体質になるには、入社した会社の福利厚生制度を知っておくことが大切です。
給与天引きは貯蓄体質への近道
社会人1年目の最初の給与を受け取ったときから貯蓄を始める「貯蓄体質になるぞ!」という心掛けがもちろん一番大切なのですが、世の中には多くの貯蓄や投資の商品がありますし、会社で複数の商品の説明を聞いてしまうと、何から始めればいいか迷います。
学生時代に貯蓄や投資の経験がある方は、これまでの経験を生かすことになりますが、新社会人となり、初めて貯蓄を始める方には、まずは給与天引きで貯蓄できるものをお勧めします。
多くの会社では、福利厚生の1つとして、財形貯蓄制度を設けています。財形貯蓄はあらかじめ自分で決めた一定の金額を給与から天引きして積み立てますので、無理なく貯蓄を続けることが可能となります。
なお、財形貯蓄を始めるには、勤め先の会社で財形貯蓄制度が導入されている必要があるため、財形貯蓄が利用できるかを福利厚生の担当者に確認しておきましょう。
財形貯蓄は3種類
財形貯蓄制度には、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類があります。いずれも給与と賞与から天引きして積み立てを行います。3種類全てに加入することも、どれか1つか2つを選択して加入することも可能です。
(1)一般財形貯蓄
積み立てる期間は3年以上です。積み立て開始から1年を過ぎればいつでも自由に払い出しができますし、一般財形貯蓄を払い出すときに何に使うかを伝える必要もありません。何に使うか今は分からないけど、取りあえず貯蓄を始めたいという方は一般財形貯蓄から始めましょう。一般財形貯蓄は通常の預金と同じように利子課税があります。
(2)財形住宅貯蓄
積み立てる期間は5年以上で55歳未満の方が契約できます。財形住宅貯蓄は住宅の建設や購入、工事費が75万円を超えるリフォームを行うことを目的とする貯蓄です。住宅購入の頭金作りに利用する方が多いようです。
(3)財形年金貯蓄
積み立てる期間は5年以上で55歳未満の方が契約できます。財形年金貯蓄は60歳以降の老後資金を作ることを目的とする貯蓄です。60歳以降に5年以上の期間にわたり老後資金として受け取ることができるので、60歳で会社を退職してから、65歳に老齢年金の受給開始となるまでの生活資金として利用できます。
なお、非課税の手続きをすると、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄とを合わせて貯蓄残高550万円までは利子が非課税となります。
また、財形貯蓄に奨励金制度がある会社の場合は、積立額の数%または一定額を会社が加算して積み立ててくれます。例えば一般財形に1%の奨励金がある会社に勤めている場合は、毎月給与天引きで1万円の一般財形を開始すると、一般財形には1万100円が貯まります。
ここでは財形貯蓄を紹介しましたが、財形貯蓄より金利が高い金融商品も多数あります。社会人1年目は財形貯蓄からスタートし、他にも自分に合う金融商品があるかを調べ、2年目3年目と年を重ねながら、さらなる貯蓄体質を目指しましょう。
出典
厚生労働省 「財形貯蓄制度」
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント