国家公務員には「労働基準法」が適用されない?残業をしても残業代の請求はできない?

配信日: 2023.04.20 更新日: 2024.10.10

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国家公務員には「労働基準法」が適用されない?残業をしても残業代の請求はできない?
就職や転職で国家公務員になりたいと一度は考えたことがある方も多いでしょう。しかし、国家公務員には原則として労働基準法が適用されないことをご存じですか? なぜ国家公務員には労働基準法が適用されないのでしょうか。その疑問を解決していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

労働基準法とはどんな法律?

前提知識として労働基準法という法律について確認していきましょう。労働基準法とは、労働者が働く条件として最低限の基準を定めたものです。1日8時間、週40時間が原則でそれを超えると残業代として割増賃金を支払わなければならないなど、私たちが当たり前に思っている労働のルールはこれによって定められています。
 
雇用されて働く全ての労働者は基本的にこの労働基準法によって保護されています。一方会社の役員や自営業者、フリーランスといった、雇用契約に基づかない事業主やそれに準ずる立場に当たるような方たちは労働基準法の適用対象外となっています。
 

なぜ国家公務員には労働基準法が適用されない?

国家公務員にはなんと労働基準法が原則として適用されません。なぜ、働いているにもかかわらず労働基準法が適用外となってしまうのでしょうか。その理由は国家公務員法にあります。国家公務員法とは、国家公務員の在り方などを定めた法律になるのですが、そこで明確に「労働基準法は適用しない」とされているからです。
 
なお、労働基準法以外にも労働組合法や労働関係調整法など、会社員やアルバイトなどの民間の労働者に適用される労働関係の法令も適用除外とされています。
 
国家公務員を含む公務員は公益性の高い仕事です。国家の正常な運営のためにも、利益を追求する私企業で働く会社員など民間の労働者とは異なる角度での規律と保護が必要になります。そのため、国家公務員には労働基準法などが原則適用されないこととなっています。
 

国家公務員は残業代を請求できる!

労働基準法などが適用されないとはいえ、国家公務員の働き方に関して一切法の保護がないわけではありません。労働基準法などに代わり国家公務員法自体にそれに代わる規定があったり、「一般職の職員の給与に関する法律」など別の法令にて補完される形で、働き方や給与などについて規定されていたりします。
 
そして、残業代については上記の「一般職の職員の給与に関する法律」によって残業代を請求することができるとされており、所定の勤務時間を超えた時間分の残業代を請求することができます。
 
ただし、国家公務員の残業代は「超過勤務手当」という言葉が使われています。言葉は違えど意味合いとしては残業代に当たり、制度上は残業代を請求することができるようになっています。
 

しかし、国家公務員の現実は厳しい

国家公務員は残業代の請求ができないといわれるような背景には、実際には残業をしても超過勤務手当が払われないことも多々あるという現状があるようです。
 
しかし、2021年には当時の河野内閣府特命担当大臣が国家公務員の残業代を全額支払うと明言しており、今後国家公務員を取り巻く環境が改善していくことが期待されています。
 

まとめ

国家公務員は労働基準法が適用されないとはいえ、それに代わる各種の法律が存在しており民間の労働者とは異なる形で一定の保障がされています。
 
もしも国家公務員への就職・転職を希望するのであれば、国家公務員がどのような規律に沿って働くことになるのかしっかり知っておくことが大切でしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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