65歳以降の「平均貯金額」は? 正直、貯金が2000万もある人って少ない?
配信日: 2023.05.02 更新日: 2024.10.10
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
65歳以降の平均貯金額はどれくらい?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(令和4年)によると、世帯主の年齢が60歳代の総世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)での金融資産保有額の平均は1689万円、中央値は552万円となっています。世帯主が70歳代では平均が1755万円、中央値で650万円です。
60歳代、70歳代のいずれも金融資産保有額の平均は1700万円前後となっているものの、中央値で見ると3分の1程度になります。
また、金融資産保有額の平均のうち、預貯金は60歳代で791万円、70歳代で737万円となっており、これらの点から考えると、65歳以降で実際に2000万円もの老後資金を有している世帯は少なく、貯金額となると700万円から800万円の範囲が一般的といえるでしょう。
単身世帯に限った場合、貯金額の平均はどれくらい?
続いて、単身世帯で確認していきます。60歳代の単身世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)の金融資産保有額は平均で1388万円、中央値で300万円です。また、70歳代の世帯では平均は1433万円、中央値は485万円となっています。
金融資産保有額は70歳代の平均でも2000万円には遠く及びません。さらに金融資産保有額のうち、預貯金は60歳代が691万円、70歳代は570万円となっていることから、65歳以降の単身世帯において平均的な貯金額は500万円台後半から700万円に近い金額と考えられます。
2人以上の世帯での貯金額は?
最後に、2人以上の世帯で確認してみます。世帯主の年齢が60歳代の世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)では金融資産保有額の平均が1819万円、中央値が700万円となっています。70歳代となると平均で1905万円、中央値では800万円です。
2人以上の世帯でも金融資産保有額の平均は2000万円を超えてはおらず、中央値では1000万円を下回ります。そして、金融資産保有額のうち預貯金は60歳代で834万円、70歳代で814万円です。
これらの統計から、やはり2人以上の世帯においても65歳以降で2000万円の老後資金がある世帯は少ないことが想定され、平均的な貯金額では800万円程度と考えることができます。
65歳以降でどれくらいの老後資金があれば安心できる?
今回確認したデータを参考にすると、65歳以降は貯金を含め、60歳代・70歳代の総世帯での金融資産保有額の平均(約1700万円)に近い1500万円ほどの老後資金があれば、ある程度は安心できると考えられます。
しかし、実際に1500万円の老後資金があれば不安がなくなるとは言い切れません。より確実に老後に備えられる貯金額などについては、65歳以降の収支を基に考えていくことが必要になります。
例えば、夫婦2人分で65歳から月22万円の年金収入が想定されるが、生活費などで毎月25万円の支出が見込まれる世帯を例にすると、毎月3万円の不足が生じます。老後の生活を90歳までの25年間と考えた場合、不足する金額は900万円となりますが、病気やけが、介護費用なども考えると、1500万円は不安が残る金額でもあります。
リスクを取ることにはなりますが、老後資金の一部を株式や投資信託に変えておくことで、貯金だけで保有するよりも有効活用できるケースがあります。
例えば老後資金のうち、200万円を投資信託に回して毎年3%で運用できた場合、6万円の利益を得られます。金額自体は大きくありませんが、10年で60万円、20年では120万円となり、老後の生活が長期間となる可能性を考えると決してその存在は小さくないでしょう。
まとめ
統計による60歳代、70歳代の総世帯での金融資産保有額は、金融資産を保有していない世帯も含めた平均で1700万円ほどですが、中央値では600万円前後、また金融資産のうちの預貯金額は700万円から800万円となっています。
必ずしも貯金を含めて2000万円に近い老後資金が必要というわけではありません。まずは65歳以降の収支についてシミュレーションし、自身にとって必要な貯金額などを把握して老後資金の準備を進めてください。
出典
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査
執筆者:柘植輝
行政書士