学生生活調査結果に見る大学生の生活収支の平均像とは?

配信日: 2024.04.30 更新日: 2024.10.10

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学生生活調査結果に見る大学生の生活収支の平均像とは?
ライフイベントにかかるお金の中でも、「教育資金」「住宅取得資金」「老後資金」は3大必要資金といわれ、それぞれの家庭の状況に応じてライフプランニングに組み込まれていきます。
 
この記事では、教育資金のうち大きなウエートを占める「大学生にかかるお金」について、学生生活調査結果からその平均像を確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

学生生活調査結果

独立行政法人日本学生支援機構が2年ごとに実施している「学生生活調査」について、令和4年度の調査結果が令和6年3月に公表されています。調査対象は大学学部、短期大学本科および大学院の学生とされ、大学学部昼間部・夜間部、短期大学昼間部・夜間部、大学院修士課程・博士課程・専門職学位課程の別にまとめられています。
 
本記事では、このうち大学学部(昼間部)の調査結果を基に、大学生の生活収支の平均像を見ていきます。
 

学生生活費の推移

学生生活費とは、学費(授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費の合計)と生活費(食費、住居・光熱費、保健衛生費、娯楽・し好費、その他の日常費の合計)を合わせたものとされています。
 
【図表1 学生生活費推移 大学学部(昼間部)】                 
単位:千円・%

図表1
 
令和4年の学生生活費は182万4000円、構成比は学費が62.9%、生活費は37.1%です。学生生活費は過去10回の調査結果から見てもそれほど大きな変動はなく、過去10回の平均値はおおむね187万円/年となっています。構成比の平均値は学費が約63%、生活費が約37%です。
 
【図表2 国立・公立・私立の学生生活費の比較】                 
単位:千円

図表2
 
設置者別に見た令和4年の学生生活費は、国立が146万1000円、公立が133万6000円、私立が194万円です。
 
当然ながら私立大学の学生生活費が最も高く、続いて国立、公立の順となっています。過去10回の推移もそれぞれほぼ横ばいの状況であり、過去10回の平均値は国立が約149万8000円、公立が約141万5000円、私立が約198万5000円となります。
 

収入額の内訳の推移

収入額の内訳は図表3のとおりです。
 
令和4年の収入計は196万8000円であり、ピークであった平成16年と比較すると約23万3000円の減少となっています。また、「家庭からの給付」の構成比は、ほぼ減少傾向にあり、令和4年の55.7%とピークであった平成18年の68.3%とでは▲12.6%の差があります。その一方で「奨学金」や「アルバイト収入」は、コロナ禍などの影響もあるものの、総じて増加傾向にあります。
 
【図表3 収入額の内訳の推移】                          
単位:千円・%

図表3
 

アルバイト従事状況、奨学金の受給状況

アルバイトの従事状況は平成26年から増加傾向となり、コロナ禍前の平成30年にピークの86.1%、令和4年には83.8%となっています。
 
奨学金の受給状況は最新の令和4年でピークの55%となっており、半数を超える大学生がなんらかの奨学金を受給していることが分かります。
 
【図表4 アルバイトの従事状況、奨学金の受給状況】                 
単位:%

図表4
 

まとめ

以上のとおり、大学生の生活収支の平均像(令和4年)は、支出(学生生活費)が年間182万4000円、それに対して収入は年間196万8000円となっています。
 
収入のうち、家庭からの給付が55.7%となっており、金額としては年間109万7000円(おおよそ月額9万1400円)を負担していることになります。残りは主に奨学金とアルバイトで賄っている状況であり、それぞれの金額、構成比ともに年々増加傾向にあります。
 
なお、奨学金については、令和2年度から開始された高等教育の修学支援新制度による返還不要の「給付奨学金」や「授業料減免制度」の影響があることも考慮しておく必要があります。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査結果
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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