「事業主なら車費用を経費で落とせる」と聞きました。私も「副業」しているのでマイカー費用を経費で落とせるでしょうか?

配信日: 2024.10.20 更新日: 2024.10.21

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「事業主なら車費用を経費で落とせる」と聞きました。私も「副業」しているのでマイカー費用を経費で落とせるでしょうか?
企業の副業解禁の流れにより、会社員にとっても副業が身近になりつつあります。副業の形態は正社員+アルバイトといった複数の法人に雇われるパターンと、正社員を行いつつ副業で個人事業主も営むというパターンも考えられます。
 
個人事業主を営む副業の場合、経費を計上することができますが、例えば車両費を経費とすることは可能なのでしょうか? 本記事では、経費と税金の関係について解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

経費とは何か? 計上するとどんなメリットがあるのか?

個人事業主になると、経費を計上できるといわれています。経費は事業などの収入を得るうえで必要となる費用のことで、例えば水道光熱費や車両費などが挙げられます。
 
経費は、計上することで副業の収入から差し引くことができるので、副業収入にかかる所得税等の負担を軽減することが可能になります。
 

経費は事業に関係する部分のみ

しかし、経費は何でも計上できるというわけではありません。業務内容によっては経費として認められないものもありますし、経費として認められているものであっても、私的に使用している部分と業務で使用している部分を案分する必要もあります。
 
例えば、車両費といっても、それはガソリン代、高速道路代、保険料、マイカーの減価償却費、車両に関わる租税公課といったさまざまな科目を含んだ費用です。それぞれの経費を副業で使用している分と私的使用分で分けることになります。
 
また、案分割合も根拠を備える必要があり、例えば走行距離や使用時間などを基にして算出する必要があります。
 

経費を計上するには確定申告が必須

通常、会社員としての給与収入のみであれば、勤め先で行う年末調整で税関係の手続きを完了させることもできますが、副業で2ヶ所以上の法人から雇われている場合や給与以外で20万円以上の所得がある場合は、自身で確定申告を行う必要があります。
 
確定申告では経費も合わせて計上しますが、副業収入が「不動産所得」「事業所得」「譲渡所得」「山林所得」のいずれかに区分されるもので、副業収入よりも経費のほうが大きくマイナスになった場合は、損益通算により給与所得の利益からマイナス分を差し引くことができます。
 
経費の計上や確定申告は自身でもできますが、個人事業主の副業収入も合算する場合は手続きがやや複雑になるほか、損益通算や経費の計上を適切に行う意味でも、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
 

経費の計上を行う際の注意点

このように確定申告で経費を計上する場合は適切に行う必要があります。確定申告で所得税額を少なく申告した場合、延滞税や加算税などのペナルティーを受けることがあります。
 
また、副業による収入も自身では所得区分が事業所得と思っていても、給与所得と損益通算のできない雑所得と判断される場合もあるほか、費用負担を軽減する目的で副業を行うことも税金逃れとみなされるおそれがあります。雑所得でなく、損益通算のできる事業所得と認められるためには、帳簿の記帳と保存が必要なので注意しましょう。
 

まとめ

車両を使用する副業を行っている場合、マイカーに関する費用を経費として計上することができ、税負担を軽減できる可能性があります。しかし、経費として計上できるのはあくまでも業務に使用した部分だけで、私用で使った分と案分して計上する必要があります。
 
この案分割合も適当に決めてよいものではなく。走行距離や使用時間など外部から確認しやすい根拠を備えておく必要があります。
 
副業が事業所得など給与所得と損益通算できる所得区分の場合、副業のマイナスを給与所得から差し引くことができるので、税負担を小さくすることができます。
 
しかし、確定申告に誤りがあり納税額を少なく申告・納付してしまうと後で延滞税や加算税などのペナルティーを受けるおそれがあります。特に損益通算や経費計上は慎重に行う必要があるため、自身で判断せず税理士へ相談してから進めることをおすすめします。
 

出典

国税庁 確定申告が必要な方
国税庁 No.2250 損益通算
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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