更新日: 2024.10.22 その他家計
地方都市在住の友人は片道「220円」で「バス通勤」をしているそうです。自家用車と比べて、節約になっているのでしょうか?
今回は、片道220円のバス通勤と車通勤ではどちらが安いかを検証します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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バスは片道220円で何キロ走行している?
近畿バス団体協議会が公表した資料によると、バスの運賃には「適正原価・適正利潤」と「変更命令」の2つの規制によって、運賃のルールが定められています。
バスの運賃は運営会社によって異なりますが、上限運賃の基準にあたる計算式は「基準賃率」×「適用区間キロ数」×「遠距離逓減率」です。
基準賃金は運賃を計算するうえでのベース価格で、事業者ごとに支出と収入が見合う倍率に設定します。同資料では例として38円の金額が定められているため、今回の計算ではこちらを採用します。
「適用区間キロ数」と「遠距離逓減率」は、一定キロ数ごとに異なる料金倍率を設定する仕組みです。距離が伸びるほど倍率が下がります。
適用区間キロ数ごとの遠距離逓減率は、表1の通りです。
表1
適用区間キロ数 | 遠距離逓減率 |
---|---|
〜2キロメートル | 基準賃率×2倍 |
2.1キロメートルから10キロメートル(上限8キロ) | 基準賃率×1倍 |
10.1キロメートルから20キロメートル(上限10キロ) | 基準賃率×0.9倍 |
20.1キロメートルから30キロメートル(上限10キロ) | 基準賃率×0.8倍 |
30.1キロメートル以上 | 基準賃率×0.7倍 |
出典:近畿バス団体協議会「乗合バス運賃制度について2023年3月」より筆者作成
では実際に、走行距離2キロ、5キロ、15キロ、25キロの4パターンで計算してみましょう。
各走行距離の計算式と上限価格は、表2の通りです。
表2
走行距離 | 計算式 | 上限運賃 |
---|---|---|
2キロ | 38円×2キロ×2倍=152円 | 150円(1の位は切捨) |
5キロ(2キロ+3キロ) | 38円×2キロ×2倍=152円 38円×3キロ×1倍=114円 |
152円+114円=260円(1の位は切捨) |
15キロ(2キロ+8キロ+5キロ) | 38円×2キロ×2倍=152円 38円×8キロ×1倍=304円 38円×5キロ×0.9倍=171円 |
152円+304円+171円=620円(1の位は切捨) |
25キロ(2キロ+8キロ+10キロ+5キロ) | 38円×2キロ×2倍=152円 38円×8キロ×1倍=304円 38円×10キロ×0.9倍=342円 38円×5キロ×0.8倍=152円 |
152円+304円+342円+152円=950円 |
出典:近畿バス団体協議会「乗合バス運賃制度について2023年3月」より筆者作成
上記の距離を見ると、バス運賃220円は約4キロ相当であることが分かります。ただし、上記の計算式は上限であり、バス会社によって実際の運賃設定は異なります。また、「対キロ区間制・特殊区間制・均一制・地帯制」といったエリア別の計算式もあるため、あくまで目安である点にご注意ください。
車で4キロ走った場合のガソリン代はどれくらい?
今回のケースでは、片道220円のバス運賃は約4キロ相当と判明しました。今度は、同じ距離を車通勤で走行した場合のガソリン代を計算します。
ガソリン代の計算式は「ガソリン価格(円/L)×走行距離(km)×燃費性能(km/L)」です。燃費性能は車によって異なるため、今回は12km/L、20km/L、30km/Lの3車種で検証しましょう。なお、ガソリン料金は一般社団法人エネルギー情報センターが公表しているレギュラーガソリンの料金単価「174.6円/L」を採用します。
各燃費のガソリン代は、表3の通りです。
表3
燃費性能 | ガソリン代(174.6円/L)×4km×燃費性能 |
---|---|
12km/L | 約58円 |
20km/L | 約35円 |
30km/L | 約23円 |
出典:車のカタログ燃費より筆者作成
上記の費用とバス料金を比較すると、燃費性能の低い12km/Lの車でもバス料金より安いことが分かります。
総合コストで比較するならバスがお得
今回の検証ではバス料金と車のガソリン代を比較しましたが、通勤利用に交通手当が支給されるなら、気にする必要はありません。移動距離に対する費用は車のほうが低コストですが、車には税金や車検といった費用もかかります。そのため、通勤にはバスを利用するほうがお得といえるかもしれません。
出典
一般社団法人エネルギー情報センター ガソリン価格(ハイオク・レギュラー・軽油・灯油)の推移
近畿バス団体協議会 乗合バス運賃制度について 2023年3月
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー