更新日: 2024.11.26 働き方
「静かな退職」はなぜ起こる?「静かな退職を選んだきっかけ」や「平社員の平均年収」を解説
本記事では、静かな退職が起こる背景や理由について、働き方改革や平社員の平均年収などにも触れながら解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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静かな退職とは?
静かな退職とは、仕事への意欲を持たずに必要最低限の業務を淡々とこなす働き方を指します。実際に退職するわけではありませんが、キャリアアップや昇給などを求めることもなく、まるで退職したかのような心の余裕を持って会社に在籍し続けるのが特徴です。
2022年に米国のキャリアコーチ、ブライアン・クリーリー氏がSNSで提唱したことをきっかけに、仕事を人生の中心にしない働き方の概念として「Quiet Quitting」という言葉が世界中に広まりました。
この「Quiet Quitting」を日本語に訳した言葉が「静かな退職」であり、「頑張り過ぎない働き方」ともいわれています。
静かな退職はなぜ起こる?
株式会社マイナビが20~59歳の男女3000人を対象に実施した調査によれば、「静かな退職をしている」と感じている人は48.2%と、約半数に上りました。
また、Great Place To Work® Institute Japanが20~59歳の男女6998人を対象に実施した調査では、静かな退職をしている人について下記のような回答結果が得られました。
・静かな退職をしている人の30.7%は34歳以下の若手社員である
・静かな退職を選んだきっかけは「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになった」が38.2%、「努力しても報われない」が27.3%と特に多い
・71%の人が、働き始めてから静かな退職を選択した
静かな退職が起こる背景の一つとして、働き方改革の推進とともに、ワークライフバランスを重視する若者が増えていることが挙げられます。
ただし、実際に静かな退職をしている人のうち7割以上は、入社後にその選択をしています。つまり、プライベートを重視する人が、就職前から静かな退職をしようと決めているとは限らないのです。
また、3割近くの人が「努力しても報われない」と回答していることから、仕事に見合う評価や給与を得られない労働環境が、静かな退職につながるケースもあると考えられます。
平社員の平均年収
仕事で努力しても正当に評価されない、給与に反映されないといった理由で、静かな退職を選ぶ人もいるようです。
どれくらいの給与があれば自身の仕事に見合うと感じるかは人それぞれですが、参考までに、10人以上の規模の企業における平社員(非役職者)の平均年収を表1にまとめました。
表1
全体平均 | 入社後1年未満 | 入社後1・2年目 | 入社後3・4年目 | |
---|---|---|---|---|
A:毎月の給与額 | 29万1100円 | 25万300円 | 25万7700円 | 26万6000円 |
B:年間の賞与・その他特別給与額 | 80万2500円 | 5万300円 | 52万5700円 | 71万7700円 |
年収(A×12ヶ月+B) | 429万5700円 | 305万3900円 | 361万8100円 | 390万9700円 |
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
年々物価が上がり続けるなか、入社後3年たっても平社員の平均給与額はそれほど上がっていないことが分かります。やる気に満ちて入社した人が、頑張っても給与アップが見込めない状況に直面し、働く意義を見いだせなくなってしまうケースも考えられるでしょう。
静かな退職を選択する前にできること
静かな退職は、もともとの価値観で就職前から決めていた場合もあれば、入社後に社会や企業に失望して選択される場合もあるようです。
静かな退職には、プライベートを重視したい人にとってワークライフバランスを保てるというメリットがあります。一方で、必要最低限の仕事しかしないため、同僚の業務量が増えて職場の雰囲気が悪くなるリスクも伴います。
また、静かな退職をすると、昇進や昇給などは見込めなくなるでしょう。もし、本当は仕事で成長したいものの現状に不満があって悩んでいる場合には、静かな退職を選択する前に、上司へ相談してみるのも一つの方法です。
諦めずに企業側と対話していくことで、評価方法の見直しやキャリア支援、プライベートを充実させられる制度の導入など、労働環境の改善に取り組んでもらえるかもしれません。
出典
Great Place To Work® Institute Japan <調査レポート>「静かな退職」選択のきっかけは企業にあり、7割が「働き始めてから静かな退職を選択した」と回答
株式会社マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー