扶養から外れないよう「月収8万円」におさえていますが、普通に働けば「月10万円」ほど稼げそうです。社会保険料を考えると損でしょうか?

配信日: 2024.12.11

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扶養から外れないよう「月収8万円」におさえていますが、普通に働けば「月10万円」ほど稼げそうです。社会保険料を考えると損でしょうか?
2024年10月から、社会保険の対象企業が従業員数51人以上の企業に拡大されました。これにより、従来は対象外だった従業員51人以上100人未満に勤めるパート・アルバイトにも、社会保険料の支払い義務が生じる可能性があります。
 
社会保険料が発生する条件の一つが、所定内賃金が月8万8000円以上かどうかです。そのため、扶養内で働けるよう、収入を調整している人もいるでしょう。
 
今回は、月収が8万円から10万円に増えた場合を例に、社会保険料の試算や扶養から外れてしまうのかなどを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

月収を8万円から10万円に増やすのは損?

月収10万円の場合の社会保険料を試算するにあたり、次の前提を設けます。

●東京都在住の40代で、社会保険の対象者
●健康保険は全国健康保険協会に加入
●雇用保険料率は令和6年度の「一般の事業」に準じる(0.6%)

この場合の各保険料の月額は次の通りです。

●健康保険料と介護保険料:5674円
●厚生年金保険料:8967円
●雇用保険料:600円
●合計:1万5241円

月収10万円から社会保険料を引くと、8万4759円となります。したがって、月収を8万円から10万円に増やしても、収入上は損ではない計算です。
 
なお、全国健康保険協会の保険料額は都道府県ごとに異なります。厳密な金額を知りたい場合は、協会のホームページで自身の地域の金額を参照するといいでしょう。
 

社会保険料だけでなく、所得税や住民税が発生する可能性がある

月収が8万円から10万円になることで、発生する可能性があるのは、社会保険料だけではありません。月収10万円を12ヶ月間受け取ると、住民税の一般的な非課税ラインである年収100万円を上回るため、住民税が課税される可能性があります。
 
また、年収が103万円を超えると所得税が発生する可能性があります。ただし、今回の場合は社会保険料控除によって課税所得が0円となるため、所得税はかからないでしょう。
 

月収8万8000円以上でも扶養に入れる場合がある

月収が8万8000円を超えても、扶養に入れる場合があります。社会保険料の支払い義務がパート、アルバイトに生じるのは、次の5項目をすべて満たした場合だからです。

●学生ではない
●従業員51人以上の企業で働いている
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●週の所定労働時間が20時間以上
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある

上記のうち該当しないものがあれば、月収が8万8000円を超えていても、扶養内で働ける可能性があります。ただし、年収が130万円を超えると、ほかの4項目にかかわらず社会保険料が発生します。
 

社会保険のメリットとデメリット

社会保険に入るべきか、扶養内で働き続けるべきか悩んでいる人もいるでしょう。社会保険の加入を検討する際は、現状や将来を見据え、恩恵と負担を整理することが大切です。そこでここからは、社会保険がもたらすメリットとデメリットを解説します。
 

メリット1:将来の年金受給額が増える

厚生年金保険に加入することで、「厚生年金」を受給できます。受給額は在職中の給料、および加入年数などに比例し、支払い分を上回る額を受け取れる可能性もあるでしょう。
 
なお、厚生労働省と日本年金機構が公表している「社会保険適用拡大ガイドブック」によると、月収10万円で厚生年金に加入した場合、厚生年金(報酬比例部分)の年金月額の目安は、表1の通りです。
 
表1

加入期間 報酬比例部分の年金月額(目安)
10年 4900円
20年 9900円
30年 1万4900円

出典:厚生労働省・日本年金機構「社会保険適用拡大ガイドブック」を基に筆者作成
 

メリット2:医療保険の給付が充実する

傷病手当金や出産手当金など、医療保険の内容が充実します。具体的には、病休期間中や産休期間中に、給与の3分の2相当が支給されます。
 

デメリット:手取りが減る

デメリットは現役時代の手取りが減少することです。現在のお金に困っている場合や、いつでも引き出せる貯蓄として管理したい場合などは、社会保険料が負担になるかもしれません。
 

月収を8万円から10万円に増やしても損にはならないと考えられる

今回の試算では、月収10万円の場合の社会保険料は、月1万5241円という結果になりました。10万円から1万5241円を引くと8万4759円であるため、月収を8万円から10万円に増やしても、収入上は損にはならない計算です。ただし、社会保険料は年齢や地域によって変動する点に注意してください。
 
なお、社会保険への加入は、現役時代の手取りを減らす一方、将来への備えが充実することにもつながります。加入を検討する場合は「社会保険がなくとも、将来の蓄えは足りるか」「社会保険料を徴収されても、家計は成り立つか」といった視点をもつといいでしょう。
 

出典

厚生労働省・日本年金機構 社会保険適用拡大ガイドブック(1、7ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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