更新日: 2020.08.06 その他家計

何のために、どれだけ出費する?コロナ禍での「出費」との付き合い方とは

執筆者 : 酒井 乙

何のために、どれだけ出費する?コロナ禍での「出費」との付き合い方とは
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛期間が続いたことで、自宅で過ごす時間が増え、水道光熱費が多くかかったことに驚いた人も多かったのではないでしょうか。
 
筆者もその1人で、対前年同月比で水道料金は約4割上がりました。新型コロナウイルス環境下では、今後も出費に変化が表れ、戸惑う場面も多いはずです。
 
そこで、本記事では、新型コロナウイルス新時代に合わせた筆者の考える「出費との付き合い方」を、1つの例としてご紹介したいと思います。

酒井 乙

執筆者:酒井 乙(さかい きのと)

CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。  
 
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。  
 
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。 
 

健康維持と家族の笑顔のために「出費する」

新型コロナウイルス感染症がいまだ広がりを見せる中、まずは「健康第一」であることに異論はないと思います。
 
先述の筆者の例でいえば、水道料金は確かに上がったものの、手洗いや洗濯の回数を増やしたことで、感染予防に一定の効果があったように思います。
 
節制になるからと手洗いや洗濯の回数を減らせば、感染リスクは当然に上がるし、1つ屋根の下で暮らす家族も、感染の不安を感じてしまいます。何より、家族が家にいる時間が今まで以上に多いために、家族の健康を良好に保つことは必要不可欠でしょう。
 
出費が多少増加しても、家族が健康で、家の中で明るく仲良く過ごせていれば、それが一番の有効なお金の使い方ではないでしょうか。
 
まずは、家族の健康と笑顔。それでも余裕があれば何か節約できるものを探す。そのくらいの気持ちで新型コロナウイルス環境下を過ごすことで、毎月の経費の変動に一喜一憂することもなくなるのではないでしょうか。

情報と不安に駆られていないか、冷静に考えてから「出費する」

しかし一方で、感染不安に任せて消毒用品や医薬品などを「買いだめ」するのは考えものです。新型コロナウイルス感染症に関する情報は、刻一刻と変化し、デマや不安を呼び起こす情報の流布は、現在もやむ気配がありません。
 
記憶に新しいところでは、「新型コロナウイルス予防にアルコール消毒は効果がない」という情報がTwitter上に流れたため、厚生労働省が同じくTwitter上で、「アルコール消毒をするよう」国民に対して異例の注意喚起を行った件があります。
 
また、「ビタミンDの接種が新型コロナウイルス対策に有効」とのうたい文句で健康食品を販売したり、「光触媒でウイルスを不活性化できる」として光触媒スプレーを販売したりした業者が、消費者庁より注意喚起を受けています。
 
残念ながら、人々の不安をあおることで売り上げを伸ばそうとする業者は、コロナウイルスの実態が完全に解明され、ワクチン等が開発されない限り、これからも後を絶たないでしょう。
 
情報の錯綜する「コロナ新時代」では、むやみな「買いだめ」をせず、本当に信頼できるものだけ節度を持って買う、という厳しい目が必要です。

ないものを買うのではなく、作るために「出費する」

日本中でマスクが品不足になった頃、多くの人がマスクを手作りしたという話も耳にします。中には、手作りマスクを販売してわずかながらも収入を得ている人が、筆者の周りにもいますが、たいていの知人は、家族や親類縁者、知り合いに配ったりしています。
 
マスクが品薄になり、「アベノマスク」が届かない中では、マスクを手作りするしかなかった、という事情もありますが、作ること、そして配って喜んでもらえること自体に喜びを感じている方々も大勢います。
 
「ないなら、自分で作ることができる技術」は、新型コロナウイルス環境下のような厳しい状況では、人助けにもつながりとても重宝されます。とはいえ、「手作り」することで既製品を購入するよりも、材料費などがかえって高くつくことが多いのは否めません。
 
しかし、作り手の顔が見える手作りの一品は、大切に長く使おうという心が働くかもしれませんね。マスクを買い足すのではなく、手作りマスクを洗って使い続けることで、長い目で見れば節約につながる可能性はあるかと思います。

大切なものは何か、見極めて「出費する」

これまで見てきたように、新型コロナウイルス環境下では出費に対して、より自分なりの基準と、発想の転換が必要になってきています。
 
これまでは、筆者を含め、深く考えずにモノやサービスに出費していた人も、行動や在庫が制限された中では、何のために、どれだけ「出費」するのか、このコロナ禍をきっかけに考え直す必要に駆られています。
 
今後、政府や地方自治体から景気や業績に関する厳しい統計の発表が予想されますが、私たち消費者は、一個人として今一度、大切なものは何かを、冷静に見極めることが、新時代の賢い出費につながるのではないでしょうか。
 
(出典及び注釈)
消費者庁「令和2年3月27日付 「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者等への注意喚起について(第2報)」」
 
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員


 

ライターさん募集