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更新日: 2024.10.10 その他家計

新型コロナで改めて考えたい家計づくり。緊急予備資金ってどれくらい必要?

新型コロナで改めて考えたい家計づくり。緊急予備資金ってどれくらい必要?
緊急事態宣言が解除された今、不安を抱えながらも新しい日常がスタートしています。新型コロナウイルスの影響で、ここ数ヶ月の生活はこれまでと一変しました。
 
つらいこと、失うものもあった反面、得たものも少なからずあったはずです。さまざまな意識の変化を感じている方も多いでしょう。普段向き合うことができなかった「お金」についての相談も増えています。
 
今後の家計を考えるうえで、「緊急予備資金」をふまえた家計づくりを提案します。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

新型コロナで変わったこと

テレワークの実現

感染拡大防止の観点から在宅ワークが一気に広がりました。政府が推進する「働き方改革」において「テレワークの普及促進」は、重要取り組みとして位置づけられていたものの、実現までには時間がかかると予測されていました。
 
国土交通省の「平成29年度テレワーク人口実態調査」(※1)によれば、勤務先にテレワーク制度などがある割合は全体の16.3%、多くの企業は準備中、もしくは準備したいという段階でした。
 
切迫した環境下において、少数では難しいことが、外部要因ではあるものの、一気に普及が実現したことに意義を感じます。

意識の変化

毎日自宅で家族と夕食をとるお父さん、進んで食器洗いに励む夫、夕食の一品を作る息子…など生活に変化が見られました(マイナス面も多く聞こえてきますが、あえて割愛します)。生活の変化は、新たな発見や意識の変化をもたらしたようです。

お金と向き合う時間ができた

気にはなっているものの後回しにしがちなことが、「お金について考える」ことかもしれません。家計の悩み、加入している保険の保障内容を知りたい、といった相談を多くいただきました。家計改善の有効な手段は、「固定費の削減」です。ムリ・ムダ・ムラを見直す良い機会となりました。
 
保険の見直しは、新しい保険に加入し直すことではありません。加入中の保障内容を知り、現在のライフスタイルや価値観と照らし合わせて、妥当性を判断することから始めます。
 
不足している場合には、年齢とともに保険料が上がることもふまえ、どう補うかを考えます。貯蓄で補うのか、新しい保障を追加するのか、切り替えるのか、という選択肢になります。
 
充実した保障内容でも家計を圧迫するようでは、安心は得られませんので注意が必要です。電気代などの光熱費や通信費について検討された方も多いようです。

新しい日常とともに、あらためて考えたい家計づくり

生活に直結する家計づくりは。将来のライフイベントをふまえて貯蓄に回しつつ、月々の収支を考えることが大切です。月々のお金の動き、将来の資金計画は、一度決めたら終わりではありません。そもそも思った通りに行かないのが人生です。
 
人生において、意識や価値観の変化はあって当然です。食費、交際費、レジャー費などの予算枠について、新しい価値観で立て直し、新しい日常を家計の面から考えてみましょう。
 
家計に向き合うことで課題が見つかり、課題を知ることで解決策を考えることができます。早ければ早いほど効果ありますが、思い立ったときがタイミングです。今からでもぜひ、お金と向き合う時間をつくってみてください。

緊急予備資金の目安は月収の6ヶ月分

予測できない事態に対する備えの必要性を感じている方も多いことでしょう。
 
これまでも「緊急予備資金」として、慶弔費用や大型家電の買い替えなどを想定して備えていた方は多いかもしれません。今回の事態をふまえて、休業要請や雇い止めなどで収入が減ったり途絶えたりすることにも備えておきたいですね。
 
投資や保険による資産形成とは別に、すぐに現金化できる資金として準備しておきましょう。そのための「緊急予備資金」は、毎月の手取り収入の6ヶ月分くらいが目安となります。
 
新型コロナウイルス感染症による影響への配慮から、電気会社、ガス会社、生命保険会社などでは、支払い猶予が発表されています。
 
猶予期間はおおむね6ヶ月であることから、手取り月収6ヶ月分の予備資金は妥当な期間かと思われますが、これはあくまでも目安であり、安心して生活できる金額を検討してみてください。
 
支払い猶予は、現時点の苦しい家計にとってありがたいことですが、免除になるわけではなく、猶予期間後にはまとめて支払う必要があります。
 
支払えない場合には、失効(効力がなくなること)となってしまいます。金額が大きくなると負担も大きくなりますので、可能な限り継続して支払いたいですね。

行政に頼らない「自助努力」が必要

これまで想像もできなかったことが、日本国内だけでなく世界中で起こり、緊迫した状態になりました。だからこそ、以下のような行政による緊急支援対策が実施されています。

生活者向け生活支援

これまで住民税非課税世帯などの生活困窮者向けの支援を、新型コロナウイルス感染拡大により生活に影響を受けた世帯にまで対象を拡大した対策です。貸付であるため返済の必要ありますが、据え置き期間(返済を先延ばし)があり、低金利での支援となっています(※2)。
 
・緊急小口資金…休業等による収入の減少で緊急かつ一時的に生計維持が困難となっている世帯への貸付
・総合支援資金…収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯への貸付

従業員の雇用を守るための事業主への支援

事業主が社員を休業させた場合に、支払った休業手当の一部を助成し雇用維持を目指す助成金制度です。

会社の存続のための企業への支援

持続化給付金をはじめとして、国、都道府県、各自治体などでさまざまな支援があります。返済義務のない助成金や後から補填されるもの、低金利での融資などがあります。
 
新型コロナウイルスの感染拡大による生活の変化は、特殊なケースと考えましょう。いつでも行政の支援が得られるとは限りません。「予測できないリスク」から「予測できるリスク」と考えて、自助努力として備えていきたいですね。

リスク対策を考慮した家計づくりを

今回の緊急事態をふまえて、今後あなたに緊急事態が降りかかる可能性はあります。教訓として、今後に生かした家計づくりを目指してみましょう。
 
Web会議システムの普及により、オンラインでのFP相談依頼が増えています。少しずつ「お金に向き合う人」が増えていること、FPへの相談のハードルが下がってきたことをうれしく思っています。「お金に振り回される生活」から「お金をコントロールできる生活」に変えていきたいですね。
 
[出典]
※1 国土交通省「平成29年度テレワーク人口実態調査」
※2 厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士


 

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