世帯年収800万円の税負担は年間どれくらい?
配信日: 2021.12.06
どのくらいの税金を納めているか、把握しておくことは大切です。税金への理解が深まれば、節税も行いやすくなります。
ここでは、世帯年収から引かれる税金や世帯年収800万円の税金・社会保険料負担について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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世帯年収とは
世帯年収とは、生計を一にする家族全員の収入の合計です。たとえば、夫の年収が500万円、妻の年収が300万円の場合、世帯年収は800万円です。家族が複数人働いている場合は、全員分の年収を合算したものが世帯年収となります。
世帯年収800万円の場合、夫600万円・妻200万円、夫400万円・妻400万円など、いくつものパターンがあります。
また、年収とは会社から支払われた給料・手当・賞与を合算した総支給額のことで、税金や社会保険料が引かれる前の金額です。個人の年収は源泉徴収票や所得証明書などで確認できます。
世帯年収から引かれる税金
世帯年収から引かれる税金には、主に所得税と住民税があります。所得税は、1年間の所得に対してかかる税金で、「課税所得金額×所得税率−控除額」で求めます。住民税は地方税で「所得割額+均等割額」で算出可能です。それぞれで、税金の内容や求め方が異なります。
ここでは、世帯年収から引かれる所得税と住民税について詳しく見ていきましょう。
所得税
所得税は、国税で個人の所得に対してかかる税金です。所得金額に応じて税率が段階的に上がる超過累進課税が採用されています。会社員の場合、会社が従業員の給料から、あらかじめ所得税を天引きして本人の代わりに納税する源泉徴収であることが一般的です。個人事業主や自営業の場合は、確定申告をして自分で納税をします。
所得税は「課税所得金額×所得税率−控除額」で計算します。課税所得金額は、年収から非課税の手当や所得控除を引いたものです。所得控除には基礎控除や給与所得控除があります。基礎控除は、図表1のように所得金額によって控除額が決まります。
図表1
合計所得金額 | 基礎控除額 |
---|---|
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超2450万円以下 | 32万円 |
2450万円超2500万円以下 | 16万円 |
2500万円超 | 適用なし |
世帯年収800万円の方の基礎控除額は48万円です。給与所得控除は、図表2のように給与収入に応じて控除額が決まります。
図表2
給与収入 | 給与所得控除 |
---|---|
162万5000円以下 | 55万円 |
162万5000円超180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超~ | 195万円※上限 |
収入から基礎控除や給与所得控除、さらには社会保険料控除などを引いて課税所得を求めます。課税所得金額に応じた所得税率は図表3のとおりです。
図表3
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円から194万9000円 | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円から694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
40000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
仮に、課税所得額が300万円だとしたら、所得税は20万2500円(300万円×10%-9万7500円)です。
住民税
住民税は地方税の一種で、市町村民税(区市町村民税)と道府県民税(都民税)の総称です。地域の公共サービスなどの財源に充てられます。会社員の場合は、毎月の給料から住民税が天引きされ、会社が代わりに納税を行います(特別徴収)。個人事業主や自営業の場合は、自身で納税をします(普通徴収)。
住民税の計算方法は「所得割額+均等割額」です。所得割は所得に応じて、均等割は一定以上の所得がある方に対して均等に課税されます。所得割の税率は10%、均等割は一律で県民税市民税合計5000円です。
たとえば、課税所得が300万円の場合、所得割額は30万円、均等割は5000円で、住民税額は30万5000円です。※所得割の調整控除は考慮していません。
世帯年収800万円の税金・社会保険料負担
ここでは、世帯年収800万円の税金・社会保険料について見てみましょう。
東京都在住で、夫の年収500万円(月収42万円・ボーナスなし)、妻の年収300万円(月収25万円・ボーナスなし)、扶養なしと想定します。介護保険料は払っておらず、住民税は控除後の課税所得金額の10%とします。
図表4は、夫婦の税金と社会保険料負担のシミュレーションです。
図表4
夫 | 妻 | 計 | |
---|---|---|---|
所得税 | 約14万円 | 約6万円 | 約20万円 |
住民税 | 約24万円 | 約11万円 | 約35万円 |
社会保険料 (健康保険料・厚生年金保険料) |
約69万円 | 約43万円 | 約112万円 |
計 | 約107万円 | 約60万円 | 約167万円 |
図表4のとおり、税金と社会保険料負担は、夫が約107万円、妻が約60万円、夫婦で約167万円となります。
収入だけでなく税負担についても把握しておきましょう
世帯や各個人が、所得税や住民税をどのくらい納めているのか、把握しておくことは大切です。収入だけでなく税負担について把握することで「もっと税金を安くする方法はないか」「この税金は何に使われているのか」など、節税や税金の使途へ意識が高まります。
各世帯で控除額等が異なるため、さっそくここで紹介した計算式などを用いて所得税と住民税を計算してみましょう。
出典
国税庁「所得税のしくみ」
東京都主税局「個人住民税」
国税庁「所得税の税率」
国税庁「基礎控除」
国税庁「給与所得控除」
板橋区「住民税の計算方法」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員