大学院卒と大卒では、給料にどのくらい差があるの?
配信日: 2022.03.29
そこで今回は政府の資料をもとに、大卒と大学院卒の給料の差について詳しく解説します。大学院に進むべきか否か、今後の進路を決める際の参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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初任給の差はどれくらい?
厚生労働省のデータによると、令和元年における初任給の平均は大卒で21万200円、大学院卒では23万8900円でした。
男女別に見ると、男性は大卒で21万2800円、大学院卒で23万9000円、女性は大卒で20万6900円、大学院卒で23万8300円でした。高卒・大卒・大学院卒などどの学歴においても女性の方が若干低い数値になっています。しかし、男女ともに大卒と大学院卒では2万5000円以上の差があることがわかります。
初任給を受け取るのは大卒なら22歳、大学院卒なら24歳と年齢が違います。そこで24歳時点での給与も比較してみましょう。
内閣府経済社会総合研究所の論文によると、男性の場合、24歳時点の年収は大卒で325万円、大学院卒で309万円です。この時点では大卒の方が給与が高くなっていますが、これは1年後の25歳で逆転します。その後も差は開き続け、31歳時点でその差は100万円以上となり、52歳で最大約215万円となります。
女性の場合もはじめは大卒の方が32万円ほど高いですが、その後の上昇率は大学院卒の方が高く、42歳で大卒に比べて約177万円も高くなります。
大学院で研究に費やした時間は、その後の給与に反映されているといえるでしょう。スタート地点の待遇もその後の給与アップに関しても、大学院卒の方が優位にあるようです。
生涯年収での差は4000万円以上
大卒よりも大学院卒の方が収入の上昇率が高いことから、生涯を通しての収入にも差が出ます。
同じ論文によると、男性の生涯年収は大卒で2億9163万円、大学院卒では3億4009万円で、その差は4846万円に及びます。女性の生涯年収は大卒で2億6685万円、大学院卒では3億1019万円で、その差は4334万円。男女ともに大卒に比べて4000万円以上の収入があります。
学歴による収入の差は、年齢を重ねるごとに大きくなるようです。「大学院まで行っても意味ないのでは……」と進路に迷う必要はないかもしれません。
また大卒でも大学院卒でも、女性の方が3000万円ほど生涯年収が低くなっていることがわかります。学歴を積んでも男性との年収の差が埋まることはなく、女性にとって厳しい現状があるのかもしれません。それでも大学院へ進学することは、高い収入を得るための選択肢の一つといえるでしょう。
勤務日数にも差がある
単純に給与を見てきましたが、ここでは勤務日数に焦点を当ててみましょう。
大卒の男性では、働く日数の基準を年間250日未満とすると、250~299日働くグループは32万、300日以上働くグループは67万円ほど収入が少なくなっています。「働いたほど収入が増えるのでは?」と思う方もいるかもしれません。これには給与の高さが関係しており、このデータからは賃金が低いほど、それを埋め合わせるために多く働いていることが推測できます。
一方、大学院卒の男性では300日以上働いているグループの賃金が、低くなるどころか基準より35万円高くなっています。これは、研究職や経営者など労働時間が長くなりがちな職種に就いている人が多いことが可能性として考えられます。
もちろん企業や業種によるところも大きいですが、大卒と大学院卒では収入と勤務日数の関係も変わってくるといえそうです。
大学院卒の方が収入は高くなる!
初任給では大きな差には見えませんが、生涯年収にすると4000万円以上という差がつくことがわかりました。ただ、あくまで平均的な数値のため、どのような分野でキャリアを積むかによっても差が出てくるでしょう。
いずれにせよ、男女ともに大卒よりも大学院卒の方が給与が高いことは明らかです。将来多くの収入を得るために、大学院進学を目指すのもありかもしれません。
出典
厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
内閣府 大学院卒の賃金プレミアム ―マイクロデータによる年齢-賃金プロファイルの分析―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部