更新日: 2022.05.14 年収
内閣危機管理監が行ってるのはどんな仕事? 役割や年収を解説
本記事では、内閣危機管理監の仕事内容や、役割、年収について解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
内閣危機管理監の仕事と役割
内閣危機管理監は、内閣官房長官や内閣官房副長官を補佐します。自然災害などの緊急事態に際し、内閣として必要な措置を第一次的に判断することや、初動対応時に内閣官房各部を指揮し、自ら関係省庁を総合調整する役割を担っています。
国防に関することは、内閣危機管理監と同等の官職である国家安全保障局長が担当するものの、両者は緊密に連携して対処しています。
危機管理には、大規模自然災害や、重大事故・事件などがあります。内閣危機管理監が設置された時期は1998年4月です。1995年に起きた地下鉄サリン事件や、直後の國松孝次警察庁長官(当時)狙撃事件といった重大事件が相次いで起きたことで、国内の危機管理強化の必要性から設置されました。
内閣危機管理監に就任する人物は、警察庁警備局長などのいわゆる公安警察出身者で、警視総監経験者が多いのが特徴です。公安警察とは、警察庁警備局や警視庁公安部などの警察官のことで、国内のテロ活動や、暴力革命による政府の転覆、政府への影響力工作、産業スパイなどを未然に防ぐことが役割となります。
国内の危機管理の場合、実際に事件などが起きてから対処することはもとより、未然に事件を防ぐことも重要で大切です。そのため、公安警察の経験が豊富な警察官僚が内閣危機管理監に就任します。
内閣危機管理監の年収
内閣危機管理監は、国家公務員の特別職に該当し、同等の官職としては各省大臣政務官や、国家安全保障局長、個人情報保護委員会、侍従長などがいます。年収は、俸給月額と地域手当、期末手当に絞って図表1にて算出しています。
図表1
月額 | 年額 | |
---|---|---|
特別職俸給 | 119万9000円 | 1438万8000円 |
地域手当 ※1 | 23万9800円 | 287万7600円 |
期末手当 ※2 | 389万6750円 (半年に1回分で計算) |
779万3500円 (年に2回分で計算) |
※1 地域手当はその地域の物価に応じた手当のことで、東京の場合俸給月額の20%分が支給されます。
※2 期末手当はいわゆるボーナスのことで、特別職の場合俸給月額の3.25ヶ月分が支給されます。
内閣危機管理監の年収を計算すると、2505万9100円になります。
内閣危機管理監になるには
内閣危機管理監になるには、国家公務員総合職試験に合格して、警察庁に入庁したいわゆるキャリア官僚でなければ就任はできません。警察庁には、一般の事件などに対応する警察庁刑事局系の警察官や、上記で紹介した警備局系のいわゆる公安警察官などに分かれて存在しています。
入庁からしばらくは、さまざまな部署を経験するものの、公安警察として優秀であれば、入庁から15年程で警備局系に関わる役職を担うことになります。その後、警察庁警備局長を経験し、警視総監に就任すると、内閣危機監理監に選ばれる可能性があります。
なお警察庁のトップである警察庁長官経験者で内閣危機管理監になった人は、今のところいません。内閣危機管理監になるには、公安警察官として、警察庁警備局長と警視総監に就任しておくことが一番就任する可能性が高いルートといえるでしょう。
出典
e-Gov法令検索 内閣法
森功 官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪(文藝春秋、2019)
今井良 内閣情報調査室 公安警察、公安調査庁との三つ巴の闘い(幻冬舎新書、2019)
青木理 日本の公安警察(講談社現代新書、2000)
e-Gov法令検索 特別職の職員の給与に関する法律
内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)
人事院 国家公務員の諸手当の概要
内閣官房 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第18号)の概要
警察庁 警察のしくみ
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士