更新日: 2022.05.15 年収
国税庁長官の年収はどのくらいなのか? 気になる仕事内容や役割を解説
多くの場合、主税局長を経験した方が最終ポストとして、国税庁長官になるケースが多いです。
本記事では、国税庁長官の仕事内容や、役割、年収について解説していきます。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
国税庁長官の仕事
国税庁長官は、国内の税を適正、かつ公平な課税や徴収の実現を役割とする国税庁の事務を統括したり、職員の業務を取りまとめたりします。また、納税功労者に対して表彰する国税庁長官表彰を毎年行っています。納税意識を高める事業や、普及といった活動を行っている納税貯蓄組合や、青色申告会、法人会、間税会において功績のあった方に表彰します。
国税庁は、税の徴収だけではなく、税理士制度や業務の運営、酒類販売業免許も所管している酒類業界の管轄です。また、納税者に対して税務調査を行って、悪質な納税者の場合には追徴課税などを課し、さらに悪質なものに対しては、「マルサ」と呼ばれる国税庁の地方支分部局である国税局査察部による、強制捜査や資料の押収などを行う事案にも対処します。
戦前は国税庁という組織がなく、その役割は大蔵省で対応していました。しかし連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指令によって、大蔵省から徴税機能を持った部署が切り離され、1949年に大蔵省の外局として国税庁が設置されました。
ただし、現在の国税庁の幹部役職は財務省からの出向者などが多いため、形式的には外局といえるものの、実質的には財務省が管轄する組織となっています。
国税庁長官の年収
国税庁長官は、国家公務員の指定職俸給第7号に該当し、警視総監や、海上保安庁長官、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長が同列の俸給です。年収は、俸給月額と地域手当、期末手当に絞って、図表1で算出していきます。
【図表1】
月額 | 年額 | |
---|---|---|
指定職俸給第7号 | 110万7000円 | 1328万4000円 |
地域手当 ※1 | 22万1400円 | 265万6800円 |
期末手当 ※2 | 359万7750円 (半年に1回分で計算) |
719万5500円 (年に2回分で計算) |
※2 期末手当はいわゆるボーナスのことで、指定職の場合俸給月額の3.25ヶ月分が支給されます。
国税庁長官の年収を計算すると、2313万6300円になります。
国税庁長官になる方法
国税庁長官になるには、国税庁への入庁ではなく、国家公務員総合職試験に合格して財務省に入省します。
財務省には、大臣官房、主計局、主税局、理財局、国際局、関税局といった内部部局があります。その中で主税局のポストを担当し、主税局長の役職を経ることで国税庁長官になれる可能性があります。
財務省の本流は、主計局という国の予算や決算に関わる部署です。主税局では、税制度の企画や立案などを行います。例えば、消費税増税を行う政策があれば、具体的な企画や立案、消費税による収入見込みの計算などを主税局で行います。国税庁との役割を比べると親和性があるといえるでしょう。
また戦後になって5例、国税庁長官を経験した人が財務事務次官に就任するケースがありました。ただし、通常のルートとは言い難くレアなケースと捉えるべきでしょう。
出典
e-Gov法令検索 財務省設置法
人事院 指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の定め並びに職務の級の定数の設定及び改定に関する意見(令和4年度)
e-Gov法令検索 一般職の職員の給与に関する法律
内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)
人事院 国家公務員の諸手当の概要
内閣官房 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第17号)の概要
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士