更新日: 2022.05.31 年収
年収1000万円と年収800万円、毎月の手取額はどれくらい変わる?
それでは、高収入といわれる年収1000万円と800万円のサラリーマンの場合、毎月の手取り額はどれくらい変わるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年収=手取りではない
サラリーマンの収入について「年収〇〇万円」など総支給額で話が進むことがありますが、実際には毎月の給与から税金などが引かれた残りの部分が手取りの金額となります。
給与から引かれる税金などは、基本的に年収に比例して高くなっていきます。そのため、年収1000万円と800万円では、1000万円の方が引かれる総額は大きくなります。年収にもよりますが、手取りはおおむね収入の7割から8割前後です。
収入から引かれるもの
サラリーマンの収入から引かれる主なものには、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料があります。
所得税と住民税
所得税とは、毎月の給与に対して課税される税金の一つです。課税される所得に応じて税率が段階的に上がるため、給与の金額が高ければ引かれる所得税額も高くなります。
出典:国税庁 「No.2260 所得税の税率」
住民税は地域によっても若干異なりますが、おおむね10%程度の税率となっています。所得税のように収入によって税率が変わるわけではありませんが、高収入であれば負担する税額は多くなります。
社会保険料
サラリーマンの給与から天引きされる健康保険料(介護保険料含む)や厚生年金保険料、雇用保険料は、まとめて社会保険料といわれることがあります。健康保険料と厚生年金保険料は給与ごとに等級分けされており、上限はありますが、給与が高い方は毎月の保険料も増えます。
また、雇用保険料は一般の事業の場合、労働者負担は給与に1000分の3(令和4年10月からは1000分の5)を乗じた金額となり、こちらも給与が高ければ比例して負担する保険料も上がります。
年収1000万円と800万円、毎月の手取り額の違いは?
年収1000万円と800万円では200万円(月額で約16万円)の差がありますが、手取り額とした場合、どれくらいの違いがあるのか確認してみます。なお、ここでは計算を簡略化するため、以下を共通条件として比較します。
●独身(扶養家族なし)
●前年も同じ年収(賞与なし)
●住民税は一律10%
●健康保険料は介護保険料を含む
●雇用保険料率は1000分の3
●所得税の各種控除などは基礎控除を除いて考慮しない
年収1000万円の手取り額
年収1000万円(月額給与は84万円と仮定)の場合、手取りにすると723万5000円程度となり、毎月の手取り額は60万円程度と想定できます。収入から引かれる税金などの年間の内訳は、下記のようになります。
健康保険料…57万204円
厚生年金保険料…71万3700円
雇用保険料…3万240円
所得税…約82万1700円
住民税…約62万9600円
年収800万円の手取り額
年収800万円(月額給与は67万円と仮定)の場合、手取りは574万5000円程度となります。毎月の手取り額は48万円程度と想定でき、年収1000万円と比較して差は12万円ほどです。収入から引かれる税金などの年間の内訳は、下記のようになります
健康保険料…46万7160円
厚生年金保険料…71万3700円
雇用保険料…2万4120円
所得税…約55万4100円
住民税…約49万5800円
まとめ
今回の条件で試算した結果では、年収1000万円と年収800万円の毎月の手取り額の差は約12万円となり、実際に給与として受け取る金額は年収の額面(月額では約16万円)ほどの差がないことになります。
その理由には、収入が上がれば税負担も重くなるようになっている日本の税制にありますが、これは年収1000万円などの高収入に限った話ではありません。
昇給や転職などで収入がアップするような場合、年収の額面と手取りの金額には違いがあることも覚えておいてください。
出典
国税庁No.2260所得税の税率
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
国税庁No.1199基礎控除
国税庁No.1410給与所得控除
東京都主税局 個人住民税
執筆者:柘植輝
行政書士