「年収400万円」の生活レベルって、ゆとりはある?
配信日: 2022.11.22
また、近年の原材料高騰などの影響により、食品やサービスも値上がりしていることから、生活費負担も増加傾向と考えられます。
年収400万円の人の生活レベルは、どのようなものなのでしょうか? 本記事では、年収400万円の人の生活レベルや生活意識調査からどのような状態にあるのか、データを基にひも解いていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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平均賃金と生活意識調査
国税庁が公表している「令和3年分民間給与実態統計調査平均給与」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人あたりの平均給与は443万円でした。
400万円は、平均給与よりも若干少ない程度のため、一見不便なく生活ができそうだと感じる人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省が公表している「2021年国民生活基礎調査」によると、全世帯における生活意識の状況ついてのアンケートの結果、「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯は53.1%でした。
一方で「普通」は41.8%、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた世帯はわずか5.0%という結果になっています。
また、児童のいる世帯に限定した調査では、「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯は59.2%でした。一方で「普通」が36.6%、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と答えた世帯は4.2%と、特に苦しさがうかがえる結果となっています。
子供を持つ世帯の教育費・在学費用の負担状況
日本政策金融公庫が公表している「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によると、子ども1人あたりの入学費用は高校が約35万円、大学は約81.1万円でした。
また、1年間の在学費用については、高校が約75.6万円、大学は149.9万円という結果になっています。
このことから、在学する子どもを持つ世帯の場合、生活レベルはさらに苦しくなるといえるでしょう。
同調査によると、世帯年収に占める在学費用(子ども全員にかける費用の合計)の割合は平均14.9%、負担割合としては「10%以上20%未満」程度を負担している世帯が最も多い傾向です。年収階層別の在学費用と割合は、以下のようになっています。
●年収400万円以上600万円未満:在学費用116.1万円(21.1%)
●年収200万円以上400万円未満:在学費用90.6万円(26.7%)
年収400万円で在学している子どもを持つ世帯の場合、仮に可処分所得を約320万円、在学費用約100万円とすると生活費として使えるのは220万円程度となります。
平均年収に近いとはいえ、毎月約18.3万円で生活することになるため、余裕のある生活レベルとはいい難い状況です。
食品値上げが及ぼす影響
近年は、原材料価格や物流費の高騰の影響により、徐々に食品やサービスなどの価格が値上がりしている状況です。年収が変わらないにもかかわらず食費が上昇すれば、生活が苦しくなるのは当然といえるでしょう。
上述した2021年時点の生活意識の状況で、「大変苦しい」「やや苦しい」と回答した世帯は53.1%でしたが、今後さらに増えることが予想されます。
半数が苦しいと答える現実
全世帯の調査では、半数以上が生活レベルを「苦しい」と答えているのが現状です。世帯年収が下がると可処分所得も低くなるため、生活レベルも苦しくなります。
また、在学している子どもがいる世帯では、入学費用や在学費用などの教育費の負担が非常に大きい傾向です。
年収400万円は、平均年収よりもやや少ない金額ですが、決して余裕のある生活レベルに達しているとはいえないでしょう。
出典
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況 結果の概要 II各種世帯の所得等の状況
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査 ―調査結果報告―
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部