夫婦で年金「25万円」受け取れる人の割合は「28%」!? 現役時代の年収はいくら必要なの?
配信日: 2023.03.29 更新日: 2024.07.29
ここでは、年金25万円を受け取るには、どのくらいの年収があればいいのか、また、年金の不足分を補うための老後資金の積み立て方法にはどのようなものがあるのかを考えてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
夫婦で年金月額25万円を受け取るには年収はどのくらい必要?
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金と会社員などが加入する厚生年金の2階建てで構成されています。さて、夫婦で約25万円の年金を受け取るには、いくらの年収が必要でしょうか。
国民年金の受給額は「年金額(満額)×保険料納付済月数/480」で計算します。次に厚生年金受給額は「報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額」で計算し、報酬比例年金額が大部分を占めます。
報酬比例年金額は2003年3月以前の加入がある場合、「(平均標準報酬月額)×7.125/1000×(2003年3月以前の加入月数)」、2003年4月以後の加入がある場合、「(平均標準報酬月額)×5.481/1000×(2003年4月以後の加入月数)」で算定し、年金加入月により乗じる率が異なります。
ここでは、夫婦ともに会社員で40年間保険料を満額納付したものとして検証しましょう。単純化するため、年金加入は2003年4月以降とします。国民年金の満額は変動しており、2022年度は月額6万4816円です。
夫婦ともに年収300万円の場合、1人あたりの厚生年金の受給額は「300万円/12×5.481/1000×480月=65万7720円⇒5万4810円/月」です。つまり、夫婦の年金収入は国民年金と厚生年金をあわせて「(6万4816円+5万4810円)×2=23万9252円」で、25万円には少し不足します。
仮に、妻は年収300万円のままで夫が年収400万円の場合、夫の厚生年金受給額は「400万円/12×5.481/1000×480月=87万6960円⇒7万3080円/月」です。夫婦の年金収入は「5万4810円+7万3080円+6万4816円×2=25万7522円」となり、月額25万円受け取るには、年収700万円以上が必要という検証結果になりました。
日本で年収700万円の世帯はどのくらいある?
厚生労働省が公表した「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、2020年の1世帯当たり平均所得金額は全世帯では564万3000円です。このうち、高齢者世帯の平均所得金額は332万9000円、高齢者世帯以外の世帯は685万9000円で、年収700万円以上の世帯の割合は約28%でした。
世帯主の年齢階級別の世帯の平均所得金額では、50~59歳が最も多く782万7000円(世帯人員1人当たり平均所得金額303万7000円)、次いで40~49歳で721万2000円(同228万5000円)、30~39歳で636万3000円(同212万9000円)で、最も低いのは70歳以上で418万8000円(同204万3000円)です。
老後資金を積み立てるための方法にはどんなものがある?
次に、老後資金の積み立て方法をみてみましょう。
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは私的年金制度で、定期預金、保険、投資信託などに毎月一定額を積み立て、60歳から年金または一時金として受け取ります。メリットは、掛金を全額所得控除できるほか、受け取る運用利益についても非課税になるのです。
・つみたてNISA
つみたてNISAは、毎月一定額の投資信託を購入するものです。iDeCoと異なり、積立金は所得控除の対象にはなりません。
メリットは、条件付きですが、利益が出た場合、分配金などを非課税で受け取れます。2023年時点では、年間の非課税投資枠は40万円で、非課税投資期間は20年です。また、原則60歳まで引き出せないiDeCoと違い、つみたてNISAはいつでも引き出せます。
・国民年金基金
国民年金しか加入できない自営業者は、会社員などが受給できる厚生年金に相当する2階部分がありません。このため、国民年金基金は、第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができるようにした年金制度です。自営業者の方は国民年金基金への加入をおすすめします。
・国民年金の付加年金
自営業者などは国民年金保険料に月400円を上乗せして支払うことで、老齢基礎年金に加え、200円×保険料納付済月数の年金を受け取ることができます。
コツコツ積み立てて快適なセカンドライフを満喫しよう
夫婦で月額25万円の年金を受け取るためには、年収700万円が必要であることがわかりました。しかし、2020年の1世帯当たりの平均所得金額は564万3000円です。また、今後少子高齢化がますます進行すると、将来も現在の年金水準を受け取ることができる保障はありません。
このため、自分でもできる範囲で、早くからコツコツ積み立てておくことをオススメします。経済的にゆとりができれば、趣味や旅行、楽しい交友関係など充実した生活を送ることができます。早くから備えて、楽しいセカンドライフを満喫しましょう。
出典
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部