更新日: 2023.04.21 年収

年収700万円で「5000万円」の家を買っても大丈夫? 返済額を試算してみた

年収700万円で「5000万円」の家を買っても大丈夫? 返済額を試算してみた
子どもがいて将来的にはマイホームを購入したいという家庭も多いことでしょう。しかし、住宅価格の上昇が続いている現代です。場合によっては、世帯年収700万円で住宅ローンを5000万円組まなければならない場合もあるでしょう。はたして大丈夫なのでしょうか?
 
本記事では、年収700万円での住宅ローン利用について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

40代の平均給与は600万円前後

国税庁が公表している「令和3年分 民間給与実態統計調査」(図表1)によると、40歳代男性の平均給与は600万円前後となっており、30歳代で500万円前後です。共働きであれば、ここに妻の年収がさらに追加されるため、扶養内のパートであっても世帯年収は700万円程度にはなるでしょう。
 
図表1
 

 
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
 

フラット35は年収400万円以上600万円未満の利用が最も多い

住宅金融支援機構が公表している「2021年度フラット35利用者調査」(図表2)によると、2021年度にフラット35を利用した人の40.1%が年収400万円以上600万円未満の世帯となっています。つまり一般的には、世帯年収700万円あれば十分にマイホームを購入できることが分かります。
 
図表2
 

 
住宅金融支援機構 2021年度 フラット35利用者調査
 

世帯年収700万円で住宅ローン5000万円大丈夫?

それでは、世帯年収700万円で住宅ローンを5000万円組んでも大丈夫なのかについて見ていきましょう。
 
住宅ローンが大丈夫かそうでないかは、年収だけで判断することはできません。同じ年収700万円の世帯であっても、住宅ローン以外の借金返済があるかないかによって、返済能力が全く変わってくるからです。
 
例えば、1人目の子どもが生まれたばかりの世帯と、子どもが3人おり長子は大学生で教育ローンを組んでいる世帯とでは、住宅ローンへあてられる金額は月数万円どころではなく異なるでしょう。そこで住宅ローンを判断する際には、年収倍率と返済比率を見ます。
 

年収倍率と返済比率とは

「年収倍率」とは年収の何倍の住宅ローンを組んでいるかを示す数値で、無理なく返済できるのは5~7倍といわれています。年収700万円であれば、3500~4900万円ということになるため、年収倍率の観点からであれば5000万円は「ほぼ安全圏」であるといえるでしょう。
 
次に「返済比率」とは、年収のうち住宅ローン返済額が占める割合のことをいいます。上で同じ年収700万円であっても、世帯によって住宅ローン返済へあてられる金額は異なることを解説しましたが、そこを判断できるのは返済比率です。
 
よって、銀行が住宅ローンを審査するときは、年収倍率より返済比率を重視しています。返済比率の一般的な目安は25~35%といわれていることから、年収700万円であれば年間175~245万円の返済ができる計算になります。
 

住宅ローン5000万円の返済額

住宅ローン5000万円を以下の条件で組んだ場合の返済額を計算し、年収700万円での返済比率を見てみましょう。
 

●全期間固定金利:1.760%(2023年4月時点での最頻金利)
●借り入れ期間:35年

 
住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを利用した計算では、1ヶ月の返済額は15万9539円、年間にすると191万4468円となりました。この場合の返済比率(住宅ローン以外の借り入れがない場合)は約27%で安全圏です。世帯年収700万円で住宅ローン5000万円はじゅうぶん可能であるといえるでしょう。
 

世帯年収700万円を35年間維持できるのか

計算上は、世帯年収700万円であれば5000万円の住宅ローンを組んでも大丈夫という結論になりました。しかし、住宅ローンの返済期間は長期にわたることを忘れてはいけません。根本的な問題として、年収700万円が35年間維持できる保証はありません。もし500万円になったとしたら、返済比率は一気に約38%に跳ね上がるのです。
 
また、子どもが小さいうちはお金があまりかからないため、住宅ローン返済は楽にできるかもしれませんが、大きくなるにつれて生活費や教育費の負担は大きくなります。住宅ローン以外の必要経費も大きくなっていくことにも注意しましょう。
 

まとめ

世帯年収700万円で5000万円の家は購入可能です。年収倍率、返済比率(住宅ローン以外の借り入れがない場合)共に安全圏です。ただし、長い住宅ローンの返済期間には何があるか分からないため、「大丈夫」と断言することはできません。これは今回の場合に限らず、住宅ローンを組むすべての人に言えることでしょう。
 

出典

国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-

住宅金融支援機構 2021年度 フラット35利用者調査

住宅金融支援機構 フラット35

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集