最終更新日:2019.01.10 公開日:2019.01.09
相続

遺言作成後、宝くじ1億円当選していたら宝くじは誰の手に?

遺言を作成するときは、全財産の行き先を決めないといけません。なぜなら、遺言に書いてない財産があったら、その分割のために相続人全員の遺産分割協議と合意が必要になってしまうからです。遺言の目的は、遺産分割協議を不要とすることなのですから…
 

【全財産が分からない】

遺言で全財産の行き先を決めた後、宝くじで1億円当選したらどうすればいいのでしょうか。
 
当選が分かったときに認知症を発症していたら、遺言を作り直すことはできません。1億円を相続人で仲良く分けられればよいのですが、遺言に不満のある相続人などがいると、協議が紛糾する可能性もあります。
 
また、自分が知らない財産があることもあります。祖父の相続手続きがされておらず、知らぬ間に不動産の共同所有者になっている場合などです。共有持ち分は少なくても、場所によっては評価額が高額になることもあります。
 

【半端な財産の分割】

年金などで生活するようになると、大きな消費もなくなり、財産の増減は少なくなります。それでも、数万単位の財産まで確定することは難しいと思います。この場合、そのような財産の行き先を、次のように記入して対応します。
 
例)「残余の財産は、○○に相続させる。」
 
これで、確定できない半端な財産を取得させ、きれいさっぱりとなります。
 

【遺言に明記されていない財産の額が大きい場合】

遺言に記載のない財産が、全財産の数%程度であれば、前述の記載でトラブルになることは少ないと思いますが、大きな額となれば話は変わってきます。
 
「残余の財産は、○○に相続させる。」の2つの解釈
(1)財産の全部を書きたいが、こまごまとした財産があって面倒なので、これをまとめて残余財産とした。
(2)遺言書に記載した以外の財産を、遺言作成後に取得したものも含めて残余財産とする。
 
遺言に記載された文言のみでは明確に判断することはできませんので、遺言者の意図はどちらにあるのか、相続人で話し合う必要があります。
 
遺言が絡む裁判では、
「遺言書の解釈は、文言を形式的に判断するだけでなく遺言者の真意を探求すべきであり、遺言書の記載のみならず、その他一切の事情を斟酌して行うべき」
という判例があり,これに従った判決が多く出ています。
 
話し合いで合意できない場合は、最終的には裁判で決着を付けなくてはなりません。
 

【トラブルを回避する遺言】

遺言する場合は、財産の変動を想定するとともに解釈が分かれるような文言を避けるべきです。
 
例)(1)遺言書作成後に取得した財産がある場合は、法定相続分で相続させる。
  (2)残余財産には、遺言書作成時の財産に限らず、遺言作成後に取得したものすべてを含む。
 
このような一文があれば、遺言に記載のない財産があった場合にも、遺言者の意思は明白であり、話し合いの余地はなくなります。
 

【遺言の書き換え】

遺言は、何度でも作成できます。財産内容に大きな変化があった場合には、書き換えるのが一番よい方法です。法的信頼性が高い公正証書遺言は、手数料などもかかりますが、それで「争族」を回避できるのであれば安いものではないでしょうか。
 
これに対して、自筆証書遺言は、遺言者が一人で作成できるので費用はかかりませんが、法的不備により無効となることがあります。その法的不備が判明するのは遺言者の死亡後ですから、すでに手遅れということです。
 
また、書き換える場合の注意として、「前の遺言を撤回して全部新しくする」のか、もしくは「前の遺言も活かして、変更する部分の遺言をする」のかを明確にしてください。
 
遺言の最重要ポイントは、法律上の不備なく、意思が明確に分かるように作成するということです。相続人の間で解釈が分かれても、そのときにあなたはいません。遺言をした後に宝くじを買うときは、当たったら遺言をどうするかしっかりと考えておきましょう。
 
Text:宿輪 德幸(しゅくわ のりゆき)
AFP認定者、行政書士
 
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宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

AFP認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
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