亡くなった親の住民税、払わなかったらどうなる?
配信日: 2021.07.02
今回は相続の対象となるマイナスの財産の中でも特に目立たない存在である住民税について目を向けていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続の性質について
まずは相続の性質について学んでいきましょう。相続とは基本的に亡くなった方の財産を引き継ぐものになります。
プラスの財産である土地や預貯金はもちろん、マイナスの財産として借金や未払いの税金、契約によって生じた債務であっても相続の対象になります。特にマイナスの財産については表に出てきづらいものもあります。
そのため、相続においては何かプラスになる物や権利だけが対象だと思っている、あるいはそこしか考えていないという場合は、マイナスの財産、借金や税金、その他の義務も相続の対象となり相続人が片付けなければならないということを認識するようにしてください。
亡くなった親の住民税は払う必要がある?
先の前提知識となる相続の性質について理解されていれば「亡くなった親の住民税は払う必要がある?」との問いの答えもおのずと導くことができるでしょう。
そうですね。答えは「亡くなった親の住民税は払う必要がある」となります。
しかし、住民税には発生タイミングがあるため、亡くなったタイミングによっては発生しないこともあります。それでは、親が亡くなったタイミングを1月1日以前か1月2日以降かに分けて見いきます。
なお、親の収入が少なく、そもそも住民税が発生しないというような場合は親の住民税を払う必要がありません。
親が1月1日以前に亡くなった場合
住民税は毎年1月1日の状況に応じて課される税金になります。そのため、1月1日以前に亡くなっているという場合はそもそも住民税が発生しないため、住民税を支払う必要がありません。
ただし、親が過去住民税を滞納しているような場合は、未払いとなっている分については相続の対象となり支払うことになります。
親が1月2日以降に亡くなった場合
親が1月2日以降に亡くなったのであれば、1月1日時点では生きているため、親の前年中の所得に応じた住民税を相続人が支払う必要があります。
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亡くなった親の住民税はどう払う?
亡くなった親の住民税は相続人が「相続人代表者指定届」を親の亡くなった際の住民票の住所地の市区町村役場に提出し、その上で提出先の指示に従って支払う必要があります。詳細については親の住民票上の住所地の役場までお問い合わせください。
亡くなった親の住民税を払わないとどうなる?
亡くなった親の住民税を支払わない場合、役場から問い合わせの通知や督促状が来ます。督促状を放置してしまうと、いずれ財産調査からの子本人の財産の差し押さえがされてしまいます。
親の住民税とはいえ、相続した子は親の住民税支払い義務も継承するため、税金の未払い扱いと同様に取り扱われます。一括での納付が難しい場合は分割や猶予などといった制度もあります。
亡くなった親に住民税が発生している場合は放置せず、必ず支払いをするようにしてください。
亡くなった親の住民税の存在を忘れずに
亡くなった親に収入があり、その年の1月2日以降に亡くなっている場合は住民税が発生している可能性があります。住民税の支払い義務は預貯金や土地建物と同様に相続人に移っていきます。
親が亡くなった際は住民税が発生していないか調査し、発生した場合は必ず亡くなった親の住民税を支払うようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士