家族が亡くなった…相続が発生したらまず始めに行うべきことって?
配信日: 2021.07.31
今回は遺産分割にまつわる相続問題を防止するため、相続の手続きで優先的に行うべきことについて解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
まず行いたい3つの行動
相続が発生しても、亡くなった方が有していた権利や財産を取り巻く環境は時間を追うごとに変化していきます。相続手続きを後回しにしているうちに、権利関係などが複雑になっていくこともあります。
遺産相続の手続きの負担が大きくなるのを防いだり、相続問題が泥沼化するのを防ぐため、速やかに行っておきたいのは次の3つです。
(1)遺言書の存在の確認
(2)相続人の調査
(3)相続財産の調査
遺言書の存在の確認
相続手続きにおいて遺言書の有無は非常に重要なものになります。遺言があれば、基本的にその内容に沿って遺産分割をしていくことになるからです。また、遺言によって子を認知することや、特定の相続人を相続対象から外すこともできるため、相続人の範囲が大きく変わる場合もあります。
万が一、先に遺産分割をしてしまい、後から遺言書が発見された場合、遺産分割の結果と遺言の記載内容との間に矛盾があれば、基本的には遺言に沿って遺産分割をやり直すことになります。
しかし、遺言書の保管場所は人によってさまざまで、そう簡単に見つけられないこともあるでしょう。自宅の仏壇の付近や書斎の棚から出てくることもあれば、相続人の1人に託しているケースや、場合によっては公証役場や信託銀行に保管されていることもあります。そのため、相続が発生したら速やかに相続人全員で遺言を探す必要があるのです。
相続人の調査
相続人になれる方の範囲は決まっています。基本的には亡くなった方の配偶者が必ず相続人となり、続いて次のような優先順位となっています。
(1)子(亡くなっていれば孫、孫も亡くなっていればひ孫)
(2)父母(亡くなっていれば祖父母)
(3)兄弟姉妹(亡くなっていればおいやめい)
相続人に該当する方を調査するには亡くなった方の戸籍を取り寄せて、そこから調べて確定させていくのですが、その過程で隠し子が発覚したり、亡くなった方が第三者と養子縁組をしていて予想外の相続人が加わるということもあります。
遺産の分配が終わった後に、実は相続人の範囲が間違っていたとなると、遺産分割の話し合いが泥沼化する場合があります。そういった事態を避けるために相続人の調査も、相続人になるであろう方が全員で協力して早めに行うべきです。
相続財産の調査
相続によって必ずしも全ての財産や負債を引き継ぐ必要はなく、プラスの財産の範囲でマイナスの財産の相続を行ったり(限定承認)、全てを放棄してしまう(相続放棄)ということもできます。
しかし、相続放棄は自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に、限定承認においては相続人全員で3ヶ月以内に裁判所にて手続きをする必要があり、3ヶ月を過ぎてしまうと通常どおり全ての財産や負債を相続したとみなされます。
理論的には、亡くなった方が大きな負債を隠していることが発覚したが、すでに3ヶ月以上が経過しており、その負債を相続人が苦労して背負うことになるというケースも十分に起こり得ます。想定外のトラブルが起こることも考え、相続財産の調査も可能な限り早期に行いましょう。
相続が発生したら速やかに遺言の確認と相続人、相続財産について調査を
相続が発生したら、まずは速やかに遺言の存在と相続人の範囲、そして相続財産の調査を行うべきです。これらは全てが1本の線でつながっており、どれか1つでも不備があると相続に関するトラブルを招く原因となります。特に3ヶ月を過ぎたことで限定承認や相続放棄ができず、その後の人生が大きく変わることもあり得ます。
人が亡くなると、死亡届や年金関連など多くの手続きが発生します。それらと並行して相続の手続きを行っていくことは大変ですが、できるだけ早めに進めるようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士
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