更新日: 2021.07.31 その他相続
遺産分割協議書とはどのようなもの? 専門家に依頼しなくても作成可能?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、相続人全員による遺産分割協議の結果、どのように遺産が分けられたのか記載された文書のことです。遺産分割協議書は、相続人の間で結ばれた遺産分割という契約についての契約書のような役割を果たします。
ただし、遺産分割協議書は必ず作成しなければならないものはありません。遺産分割協議書がなくとも、相続人全員で合意して決めた内容であれば遺産分割は有効に成立するため、遺産分割協議を行っても遺産分割協議書が作られないこともあります。
また、そもそも相続人が法定相続分(法律で定められた相続割合)どおりに相続をしたり、有効な遺言書があるような場合も遺産分割協議書が作成されないケースは多いです。
遺産分割協議書を作成すべき場面は?
遺産分割協議書の作成は義務ではありませんが、作成しないことで後々問題が起こることもあります。
遺産分割協議書を作成すべき場面としては、法定相続分とは異なった分配割合で遺産分割することになった場合です。例えば、遺言書が存在しないため、遺産分割協議で法定相続分とは異なる分配割合とするケースがこれに当たります。
また、法定相続分とは異なる割合で不動産を相続した場合、不動産の名義を相続人名義に登記変更する際に遺言書か遺産分割協議書が必要となるため、遺産分割協議書を作成しないことでいつまでも登記の手続きができないということも起こり得ます。
なお、後のトラブルを防止したいのであれば、法定相続分どおりで相続する場合でも遺産分割協議書を作っておくと安心できます。相続は財産が絡むため、仲の良かった親子や兄弟の関係を一変させてしまう可能性もあります。少しでも問題が起きないよう、念には念を入れておくのも悪くありません。
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遺産分割協議書は自分たちで作れるのか
遺産分割協議書は専門家に頼まず、相続人が自分たちで作ることも可能ではあります。遺産分割協議書には決まったフォーマットがなく、下記のような項目がしっかり記載されていれば、表面上は問題ない遺産分割協議書が作成できます。
(1)遺産分割協議書と明確にタイトルがある
(2)亡くなった方の氏名や死亡日など、誰が亡くなったことによる相続なのか特定できる情報
(3)遺産分割の内容に合意した旨の記載
(4)遺産分割の内容
(5)遺産分割協議が成立した日
(6)遺産分割協議に参加した相続人全員の署名と実印での押印
しかし、自分たちで作成した遺産分割協議書は、思わぬ落とし穴によって無効となることもあります。
例えば、相続人の一部を除外して作成を行ったり、遺産分割において何かしら重大な誤解などがあるような場合です。他にも、遺産分割の内容が複雑な場合は分かりづらい遺産分割協議書となったり、記載内容が不明確で後から手続きに支障が出るということも考えられます。
遺産分割協議書は自分たちで作ることもできますが、相続という大事な場面において少しでもリスクを減らし、安心して相続を済ませたいというのであれば、専門家に依頼する方が確実です。
遺産分割協議書は専門家に依頼して作成すべき
遺産分割協議書とは、相続人の間で行った遺産分割の内容を記載した、いわば遺産分割における契約書のような役割を果たすものです。
単に相続争いを防止するためだけでなく、場合によっては不動産登記など相続手続きで必要になることもありますが、せっかく作っても内容の不備によって無効になることもあるデリケートな書面です。遺産分割協議書は自分たちで作ることもできますが、財産や親族の関係を守るためにも、できるだけ専門家に依頼して作成することをお勧めします。
執筆者:柘植輝
行政書士