相続税がかかるのはどんなとき? 申告手続きはどのように行う?
配信日: 2021.07.31
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続税とは?
相続税とは、主に相続や遺贈(遺言によって財産を渡すことで、相続人以外も遺産を取得できるもの)によって取得した相続財産に対してかかる税金です。
また、相続開始前3年以内に亡くなった方から贈与された財産や、相続時精算課税制度(亡くなった方からの贈与に対する贈与税を相続時に納める制度)の適用を受けて生前贈与を受けていた財産、生命保険金などの亡くなった方の死をきっかけに払われる金銭(みなし相続財産といい、種類によって一定額までは非課税となります)なども、ここでいう相続財産になります。
遺贈により取得した財産は相続税なのか、それとも贈与税なのか悩まれる方も多いのですが、基本的に遺贈によって取得した財産は相続税の対象となり、贈与税の対象とはならないことを注意点として覚えておいてください。
また、仏壇や墓石など礼拝に使用するものや、公益を目的とする事業利用されることが確実な財産など、一定範囲の相続財産は非課税とされており、相続税の対象とはならないケースもあります。
相続税が発生するのはどんなとき?
相続税には基礎控除が設定されており、その控除額を相続財産が上回ったときに発生します。
基礎控除額は3000万円+600万×法定相続人の数(民法で定められた相続人となる人)で求められます。具体的には、計算式で算出した数値が0を超えていれば相続税が発生する可能性があります。
例えば、下記のような相続では相続財産が発生するイメージです。
・相続財産は預金2000万円と家(土地部分含む)2000万円で合計4000万円
・相続人は亡くなった方の子ども1人
・債務は無し
・特例は考慮しない
上記では相続財産が4000万円なのに対し、基礎控除の金額が3600万円なので、超過する400万円に対して相続税がかかります。課税対象の金額が1000万円以下の場合、10%の税率となるため、この例では40万円の相続税を納めることになります。
相続税の算出は複雑なので、いったんは3000万円+600万×法定相続人の金額を上回る部分に発生する可能性があると覚えておけばよいでしょう。
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相続税の申告手続きは?
相続税の申告手続きは納税まで含め、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10ヶ月目の日までに、亡くなった方の最後の住所地を管轄する税務署にて行います。相続人の住所地ではないため、この点は特に注意が必要です。
仮に期限までに間に合わない場合、延滞税や無申告税などが課される恐れもあります。相続税の申告に必要となる基本的な書類は主に以下のとおりです。
・相続税の申告書一式(国税庁のホームページや税務署で取得できます)
・申告をする相続人本人のマイナンバーを確認できる書類
・申告をする相続人本人の身元確認書類
・亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人全員の遺産分割協議書
上記の他、相続財産の種類によっては各種の証明書などが追加されていきます。詳細については申告手続先となる税務署へお問い合わせください。なお、相続人が複数いる場合は共同で申告することも、それぞれが単独で申告することもできます。
相続税が発生しない場合でも申告手続きは必要?
相続税が発生しない場合、相続税の申告手続きは不要になります。ただ、本当に相続税が発生しないのか不安であれば、国税庁ホームページの「相続税の申告要否判定コーナー」を利用して確認したり、税務署に直接相談をしておくといいでしょう。
相続税は誰にでもかかるわけではない
相続税は基本的に基礎控除の額である3000万円+600万円×法定相続人、すなわち少なくとも3600万円を超えない限り発生しません。相続税が発生しない場合は相続税の申告手続きは不要です。
もし相続税が発生した場合、10ヶ月以内に所轄(亡くなった方の最後の住所地)の税務署で申告と納税を行わなければなりません。
10ヶ月という時間は相続手続きを行うに当たり、決して余裕がある期間ではありません。相続が開始されたら必要に応じて税務署などへ相談し、申告手続きに向けて素早く行動していくことが大切です。
出典
国税庁 相続税の申告のしかた
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 相続税の申告要否判定コーナー
執筆者:柘植輝
行政書士