更新日: 2021.07.31 その他相続

相続手続きの中で期間がある手続きは? 期限を過ぎた場合どうなる?

相続手続きの中で期間がある手続きは? 期限を過ぎた場合どうなる?
相続手続きの中には期限が定められているものがあり、期限が過ぎると取り返しのつかない事態に陥るものもあります。明確に期限が定められている相続手続きの中でも、特に注意したい手続きについて紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続放棄と限定承認

自分に相続があったことを知った日から3ヶ月以内にしなければならない手続きに、相続放棄と限定承認があります。
 
相続放棄とは文字どおり相続人の資格を放棄することで、相続をしたくない事情がある場合(例えば亡くなった方が莫大な借金を残していた)などに利用されます。
 
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐもので、負債の存在が不明である場合や、借金は引き継ぎたくないが、どうしても引き継ぎたい財産がある場合に利用されます。
 
もし、3ヶ月以内に限定承認も相続放棄もしないと単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も全部引き継ぐ、いわば普通の相続)したとみなされてしまいます。それにより、莫大な借金を引き継ぐことになったり、今後の人生で予想もしない負担を強いられることもあります。
 
相続放棄も限定承認も、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行う必要があるため、その手間も見越して行動しなければなりません。相続放棄であれば単独で手続きできるのですが、限定承認は相続人が全員でしなければならない手続きであるため、早めの手続きが必要です。
 

準確定申告

準確定申告とは、亡くなった方の生前における所得について、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの税金を相続人が計算して代わりに確定申告することです。
 
これは相続が起こったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にしなければなりません。準確定申告が遅れると、無申告税や延滞税などが課せられ、余分に税金を払わなければならなくなることがあります。
 

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相続税の申告

相続財産が3000万円+600万円×法定相続人の数で計算した数値を超える場合、相続税が発生します。例えば相続人が2人いる場合は4200万円超えの相続財産があると相続税が発生します。
 
相続税の申告は10ヶ月以内にしなければならないとされています。相続税の申告が遅れてしまうと準確定申告のときのように無申告税などが加算されます。相続税は金額も大きいことから、加算される無申告税なども大きくなりやすいのでご注意を。
 

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは、亡くなった方の兄弟姉妹以外の相続人に定められた最低限保証された相続分(遺留分)を取り戻せる制度です。これにより、全ての財産が遺言で特定の誰かに相続させるとあった場合でも、最低限の相続分を確保することができるのです。
 
しかし、遺留分侵害額請求は相続の開始と遺留分を侵害されていることを知ったときから1年、または相続開始から10年を経過すると行使することができなくなります。自分が相続人になれるはずが、遺言の内容によって思わぬ展開となった場合は早めに行動するべきです。
 
遺留分侵害額請求の行使方法に定めはないため、極論手紙でも口頭でも有効になります。ただ実務的には、水掛け論となるのを防ぐため、意思表明の日時が明確に分かる配達証明付きの内容証明郵便などが利用されています。
 

相続手続きで期限の定めがないものはある?

相続した不動産の名義変更登記や自動車の名義変更、遺産分割、遺言の確認などの相続手続きには期限が定められていません。
 
ただ、これらの手続きが遅れると期限が定められている他の手続きも遅れてしまったり、権利関係が複雑化するなどの問題が生じます。相続手続きは、各手続きの期限を確認して効率よく期限の近いものや時間のかかるものから順に対応していくべきです。
 

相続手続きの中には期限が決められているものがある

相続手続きには期限の定めのあるものとないものがあり、期限に間に合わないと相続放棄などのように取り返しのつかない事態に陥るものもあります。
 
相続があったときは、各手続きの期限について必ず確認し、期限内に完了できるよう順序立てて効率よく手続きを進めてください。
 
出典
国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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