更新日: 2021.09.10 遺言書
遺言書が特に必要なケースとは? 作成にはどれくらい費用がかかる?
しかし、遺言書があることでスムーズに相続手続きが進んだり、不要な相続争いを防ぐことが可能になります。遺言書を作っておいた方がいいのはどんな状況にある人なのか、そして遺言書を作成するのにかかる費用はどれくらいなのか、遺言書についてのよくある悩みに回答します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
遺族による相続争いを防ぎたい場合
人が亡くなるタイミングというのは、多くの場合は急なものであり、残った遺産の行方について相続人に話しておく時間がないことも珍しくありません。そうでなくとも実際に相続の場では、遺産の分配について明記されたものがないと遺産分割に時間がかかったり、遺産分割から争いに発展することもあります。
相続争いを防ぎ、かつ、遺族がスムーズ遺産分割できるようにしておきたいと考えるなら、遺言書を作っておくべきです。
例えば、相続財産が多い場合や不動産など均等に分割するのが難しい財産がある場合、相続人同士の仲が悪いような場合などでは、特に遺言書が必要となるでしょう。
法定相続人以外に財産を残したい人がいる場合
相続人について遺言で指定されていない場合、相続財産は法定相続人(法律によって定められた相続人)に分配されます。一方、遺言書に何らかの記述がある場合、相続財産は基本的に遺言書の記載内容に沿って分配されることになります。
もし法定相続人以外の人、具体的には内縁の妻や、お世話になった人などに財産を残したいと考えていたり、公共のために寄付したいという場合は、その意思を示すために遺言書を作っておきましょう。
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財産を残したくない人がいる場合
先ほどの例とは反対に、財産を残したくない人がいる場合も遺言書を作っておくべきです。何もしなければ遺産は自然と法定相続人に分配されてしまいます。
例えば、自身を虐待していた親族や、長年にわたって親不孝をしていた子には財産を残したくないという場合は、その旨記載して相続分を定めておきましょう。
また、遺留分(兄弟姉妹以外に認められた最低限の相続分)すら渡したくないという場合は、遺言でその相続人を廃除(相続人から外すこと)もできます。しかし、廃除については要件と手続きが厳格に定められており、実行が容易ではないため、廃除について考えたときは家庭裁判所や専門の弁護士などへ必ず相談するべきです。
遺言書の作成にはどれくらい費用がかかる?
遺言書を作成するに当たって気になるのが費用の問題です。遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類があります。それぞれ費用がいくらかかるのか確認していきます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は最も多く使われている方式の遺言で、基本的には遺言をする人が手書きで紙に記載するものになります。こちらは費用が全くかからず、紙とペンさえあれば0円で作成できます。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場に出向いて公証人に作成してもらう遺言書です。信頼性が高く、基本的に遺言が無効となることはないため、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を選ばれる方もいます。
作成には遺言の目的となる相続財産の価格に応じた手数料が必要となり、最低でも5000円はかかります。手数料の詳細については下記の表をご参照ください。
出典:日本公証人連合会 「Q. 公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらいかかるのですか?」
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは遺言の内容を秘密にしたまま、その存在を公証人に認めてもらうことができる遺言書です。作成した遺言書は封紙上に日付などを公証人に記載してもらえるので、偽造や変造を防止することができます。作成にかかる手数料は1万1000円です。
ただ、秘密証書遺言は存在を公証人が認めていても内容や方式については担保されず、結局は遺言が無効になることもあるため、あまり利用されていないのが現実です。
遺言書は0円でも作れる! 必要に応じて作成を
遺言書は自筆証書遺言であれば0円で作成できます。必ずしも必要というわけではありませんが、相続争いを防ぎたい、特に遺産を残したい人がいるなど、遺産の扱いについて強い思いがある場合は遺言書を作っておくべきです。
しかし、せっかく遺言書を作っても、方式の不備などで無効となることもあります。遺言書について心配な点があったり、確実なものを作成しておきたいという場合は、行政書士など専門家に相談するといいでしょう。
出典
日本公証人連合会 Q. 公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらいかかるのですか?
日本公証人連合会 手数料(その他の証書作成の手数料)
執筆者:柘植輝
行政書士