子どもの口座にお金を移した。贈与税がかかるって本当?
配信日: 2021.08.27
今回は、口座間のお金の移動と贈与税について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
贈与税について知る
贈与税とは、1月1日から12月31日までの1年間に他人から無償で受け取った財産の価格が、合計で110万円を超えた部分にかかってくる税金です。
例えば、ある年に売買や労働の対価としてでなく、無償でもらったお金の合計が200万円だった場合、110万円を超えている部分について贈与税がかかるというものです。
重要なのは、110万円を超える財産を無償でもらったときです。相手が誰であるかは問いません。親子間であっても、年間110万円を超える贈与があったとみなされれば、贈与税は発生します。また、口座を通しているか否かは関係ありません。
逆に年間での合計が110万円以下であれば、ただで現金をもらおうが、不動産を貰おうが贈与税はかかりません。
つまり、贈与税を発生させないように子どもに財産を譲りたい場合は、年間の贈与額を110万円以下に抑えていれば基本はよいということです。
110万円を超えても贈与税がかからないこともある
親子間で110万円を超える贈与があっても、贈与税がかからないケースもあります。
例えば、生活費や学費など、親が扶養義務者として贈与する範囲のお金であれば、110万円を超えても贈与税は発生しません。また、単に親が子から預かっていたお金を返すために口座間でお金を移したり、手渡ししたというのであれば贈与ではないため、理論上、贈与税は発生しません。
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子どもの口座にお金を移して贈与税がかかるのはこんなとき!
基本的に、子どもの生活費や学費であったり、子どもが親に貸与したお金の返還分については、口座間でお金を移動させても贈与税が発生することはありません。
しかし、お金の移動について贈与税がかかるかどうかは形式的な部分はもちろん、実質的な部分も含めて総合的に判断されます。そのため、贈与税がかかるか否かは、単に親の口座から子どもの口座へお金を移したという事実だけで判断することはできません。
とはいえ、ある程度の目安となる基準のようなものは存在しています。
具体的には下記のような場合に該当すると、口座間でのお金の移動に贈与税がかかることがあります。
預かっていたお金だと証明できないとき
子どものお年玉や親せきからもらったお金を、子どもに代わって親が自分の口座で管理しておき、一定の年齢に達したころに子どもの口座に移すということがあります。
これは、たまたま親が管理していた子どものお金を本人の口座に移しているだけなので贈与ではなく、贈与税はかかりません。
しかし税務署からは、お金の流れについて判断がつかないので贈与と見なされ、贈与税が生じることもあります。金額が大きければ、なおのことです。こういった場合は都度、親がお金を預かったという旨の契約書や覚書を作成するなど、記録を作っておくことが大切です。
同様の理由で、子どもから借りたお金を返すために口座にお金を移したという場合も贈与だと見なされることがあります。
この場合も金銭の消費貸借契約書を作成して、借りたお金を返したということを証明できるようにしておくと、贈与ではない証明となります。
過大な金額であるとき
口座でのお金の移動に限りませんが、生活費や教育費に使われるお金であれば贈与税はかかりません。ただ、あまりにもその金額が過大であると、贈与と見なされることがあります。
生活費や教育費などは、あくまでも状況に応じて常識的な範囲内の金額にとどめておき、それを超える部分はきちんと贈与として扱い、申告するべきです。
また、生活費や教育費とはいえ、違う目的で消費してしまうと、それは贈与と見なされる可能性があることにもご注意ください。
子どもの口座にお金を移したら必ず贈与税がかかるわけではない
子どもの口座にお金を移しても必ず贈与税がかかるわけではなく、それが贈与を目的としたお金であり、かつ、子どもが贈与を受けた金額が年間で110万円を超えた場合に贈与税は発生します。
また、外形的に贈与に見えたり、実質的に贈与となる場合は贈与税が発生することもあります。
もし、1年間で110万円を超えるようなお金を子どもの口座に移す際は、事前に税務署や税理士などに相談しておくとよいかもしれません。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:柘植輝
行政書士