どのように書いたら法的に「遺言書」と認められる? 遺言書の要件とは?

配信日: 2021.08.30

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どのように書いたら法的に「遺言書」と認められる? 遺言書の要件とは?
遺言書には決まったフォーマットなどはなく、自由に書いても問題ありません。
 
しかし、法的効力が生じる遺言書として認められるか否かは別問題。相続の場では、法的に認められない遺言書が争いの原因となることもあります。
 
意外と知られていない法的に有効となる遺言書の要件について見ていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺言書の種類は3種類

法的に効力が認められる遺言書には、基本的に次の3種類に分けられます。


(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言

いずれも認められる要件が異なるため、遺言書を作成する際はそれぞれの特徴を知り、遺言として認められるための要件を満たすよう作成する必要があります。
 

自筆証書遺言

遺言書として最も利用されており、かつ、手軽なものが自筆証書遺言となります。その反面、不備も多く、法的効果のある遺言として不成立となることも多いです。自筆証書遺言として法的に認められるために重要な要素は、下記の2点になります。


・日付、自身の署名、遺言書本文について遺言者が自書
・押印が必要

特に全てを自筆、つまり手書きで作成しなければならないという点に注意が必要です。最近ではパソコンやスマートフォンで文書を作成される方も多いですが、自筆証書遺言について日付から本文まで、全てが手書きでなければなりません。
 
また、押印については実印でなく認印でも問題ありませんし、拇印や指印でも問題ありません。ただ、押印の信ぴょう性を上げるためにも、できる限り実印を使用するべきです。
 

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が口頭で伝えた内容を公証人が遺言書として作成するというものです。主な要件は下記のとおりとなります。


・証人2人以上の立ち合い
・遺言者が公証人に遺言の内容を口授する
・公証人が筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させる
・遺言者と証人が署名、押印をする

公証役場にて公証人が作成する遺言書になるため、要件を満たさず、法的効果がある遺言として認められないということは基本的にありません。ただ、公正証書遺言は自身と公証人のほかに、遺言書の作成に立ち会う証人2名を用意するという点がネックになります。
 
遺言者が亡くなったときに相続人となるであろう方(推定相続人)、およびその配偶者や直系血族は証人になれないなど、証人として依頼できる方の範囲が限られるからです。
 
どうしても証人が見つからない場合は、公証役場に紹介してもらうこともできますが、その分の実費が発生します。
 

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が作成した遺言書を公証役場へ持ち込み、遺言書の存在を記録してもらうという制度です。秘密証書遺言については下記の要件が必要になります。


・遺言書に本人が署名と押印をする
・遺言書を封筒に入れて、遺言書と同じ印章で封をする
・公証人と証人2人以上の立ち合いの下、本人が自身の遺言書であることと氏名・住所を申述し、公証人が申述の内容と日付を封筒に記載
・公証人、証人、本人が封筒に署名、押印する

公証人が絡むものの、遺言の内容自体をチェックするわけではないため、法的効果を持つ遺言書としては認められない可能性があります。さらに、証人を用意する必要もあることから、実際はほとんど利用されることはありません。
 

遺言書は要件を守って作成すること

遺言書はただ作ればよいわけではなく、法律で定められた要件を守って作成しなければ、ただのお手紙になってしまい、遺言書を作った本来の目的を果たせないことになってしまいます。
 
相続人たちに自身の意思を伝え、少しでも争いを防ぐことができるようにするためのものが遺言書です。遺言書を作成する際は、法的効果が認められる遺言書としての要件をしっかりと調べてから作成するようにしてください。
 
なお、遺言書をより確実なものとしたい場合は、行政書士など専門家に作成を依頼することをおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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