相続手続きの中で期限がある手続きは? 期限を過ぎた場合どうなる?
配信日: 2021.09.09
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続放棄、限定承認
相続には、亡くなった方の権利義務を含めた全ての財産を引き継ぐ単純承認の他に、一切を相続しない相続放棄があります。相続放棄をすると財産を受け取ることはできませんが、負債なども引き継がずに済むというメリットがあります。
相続放棄をするには自分に相続があったことを知った日から3ヶ月以内に、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
相続放棄の手続きは相続人が単独で行えます。ただし、期限内に手続きができないと単純承認したと見なされてしまうため、相続放棄の意思がある場合は必ず期限に間に合うようにしてください。
同じく期限に注意したい相続の手続きには、限定承認もあります。限定承認とは、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐという相続の方法です。
限定承認も相続放棄と同様に、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをしなければならないのですが、相続人全員での手続きとなるため、単独でできる相続放棄よりも準備を急ぐ必要があります。
また、こちらも期限内に手続きができないと単純承認したと見なされてしまいます。
相続放棄または限定承認をするために財産調査をしても3ヶ月以内に決められないという場合は、期限内であれば家庭裁判所にて伸長の手続きを行って期限を延長させることもできます。
万が一、間に合わないというときは、取り返しのつかないことになる前に必ず伸長の手続きをしてください。
準確定申告
準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を計算して申告する、いわば亡くなった方の確定申告です。これは相続人がする手続きであり、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に申告と納税まで行わなければなりません。
期限を過ぎてしまうと延滞税が課され、本来の納税額よりも多く税金を納めなければならなくなる可能性があります。
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相続税
相続税が発生する場合、または相続税について優遇を受けられる特例を利用するというような場合は、相続税の申告と納税が必要です。
相続税の申告および納税の期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内とされています。期限に遅れてしまうと延滞税が発生することもあります。
相続税の納税について納付が困難となる理由がある場合、事前に申請することで期限を延長させることができます。詳細については税務署へお問い合わせください。
遺留分侵害額の請求
遺留分侵害額の請求とは、相続人が遺留分(亡くなった方の兄弟姉妹以外の相続人に認められる、法律によって定められた最低限の相続分)に相当する相続分を受け取れなかった場合に、財産を相続した人から遺留分相当額を取り戻すための手続きです。
遺留分侵害額の請求は、相続開始から10年、または相続開始と遺留分が侵害されていることを知ったときから1年のどちらかを経過したときに消滅してしまいます。
期限を過ぎると遺留分の確保すらできなくなるため、相続が起きたら遺留分が侵害されていないか即座に確認することが必要になります。
相続手続きは期限の確認と厳守を徹底的すること
相続の手続きには期限が厳格に定められているものがありまずが、中には事前に申請や申し立てをすることで期限を延長することができる手続きもあります。
相続が起こった場合は、速やかに必要な手続きとその期限について確認するとともに、期限に間に合うよう手続きを進めていくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士