更新日: 2021.09.21 相続税

相続税対策は「長い期間」がポイント。早いスタートで確実な節税を

相続税対策は「長い期間」がポイント。早いスタートで確実な節税を
まだそれほど歳でもないし、体も元気だし相続税対策は早い。そう思っているのはもしかしたら間違いかもしれません。相続税対策は早めにスタートし、じっくり時間をかけて行うことが大切です。
 
今回は相続税対策を早めにスタートすることの必要性について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続税対策を早めにする必要性

なぜ相続税対策を早めにしなければならないのかというと、それは十分な相続税対策をするのには時間がかかるからです。
 
相続税対策にはどんなものがあるのか、その中で自身が当事者となる相続において有効なものは何か、そしてそれをどういった形で実現させていくのか、専門家の力を借りるべきか、誰に依頼するべきかなど段階を踏んで進めていくと、想像を絶するほど多くの時間がかかるのが相続税対策なのです。
 
とはいえ、いきなり早めの相続税対策といわれてもなかなかイメージがつかないと思いますので具体例を挙げながら話を進めていきます。
 

人はいつ亡くなるか分からない

人はいつ何時亡くなるか分からない。これが相続税対策を早めに行うべき最大の理由です。今まで健康で病気と無縁、絶対に長生きするだろうと誰もがいうような方でも、突然の病気やけがで若くして亡くなってしまったり、体力や判断力が低下し、相続税対策が十分にできなくなってしまうことも珍しくはありません。
 
相続税対策は基本的に生前にしか行えませんし、満足のいく相続税対策を行うにはある程度元気で健康であることも必要です。そのことを肝に銘じて少しでも早く相続税対策を行っておくべきです。
 

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贈与税の非課税枠は年間で110万円と決まっている

相続税対策において最も王道で最初に検討すべきものに、暦年贈与があります。暦年贈与とは年間の贈与額が110万円まで非課税となることを利用して、相続財産となり得る財産を毎年110万円ずつ、非課税の範囲で相続人に贈与しておき、相続税の対象となる財産を減らすという手法です。
 
贈与税の非課税枠は年間で110万円しかなく、財産の総額によっては相続税を非課税に限りなく近づけるためには何年も時間がかかることがあります。
 
また、仮に相続税が限りなくゼロになるよう、贈与によって財産を移すことに成功したとしても、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となります。この3年という期間を空けるためにも、暦年贈与は早い方が特に有利になります。
 

特例の利用が意外と大変

相続税の節税に役立つ特例はいくつもあります。特例には種類があり、個別の事情によって使うべき特例と使うべきでない特例に分かれます。また、「この特例を使う」と決めても基本的な特例を利用するには条件に合致するか調べ、実際に準備を進めていくと予想以上に時間や手間といった負担がかかるものです。
 
余裕を持って特例を検討し利用していくためにも、相続税対策は早めが大切なのです。
 

財産の組み替えはそう簡単ではない

相続税対策においては資産の組み替えも重要です。例えば現金を不動産や生命保険に変えたり、お墓や仏壇など非課税財産を購入するなどすると、全体の資産価値をある程度維持したまま相続税を抑えることができます。
 
しかし、お墓や仏壇の購入程度ならまだしも、節税効果の大きい不動産の購入は選択を誤ってしまうと、その不動産が将来的に負債となり、相続人の負担を強いたり、資産を減らすことにもなりかねません。また、生命保険についても年齢や健康状態によっては選択範囲が狭くなるなどの問題もあります。
 

相続税対策は早めに行うのが成功のコツ

相続税対策は早いうちから、ゆっくり時間をかけて行うのが成功のコツです。焦って相続税対策をしてしまうと節税どころか、かえって負担を増やすだけになりかねません。
 
節税を成功させ、大切な家族への負担を減らし、より多く財産を遺すことができるよう、十分な対策の検討と実施の時間がとれる、早めのタイミングで相続税対策を実施するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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