更新日: 2021.09.19 贈与

「暦年贈与」で節税対策するメリットとデメリットは?

「暦年贈与」で節税対策するメリットとデメリットは?
相続税の節税対策といえば、暦年贈与を思い浮かべる方も少なくはないでしょう。しかし、暦年贈与にはメリットだけでなく、注意しておくべきポイントも存在します。暦年贈与を考える上で知っておきたいメリットと注意点を確認しておきましょう。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

暦年贈与とは

暦年贈与とは、1月1日から12月31日まで1年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税が非課税となる制度に着目し、毎年少しずつ贈与をして節税を図っていく贈与の方法です。
 
相続財産となるであろう財産について、相続人になると推測される方へ暦年贈与によって移転し、将来の相続税を節税するために利用されることがあります。
 

暦年贈与のメリット

暦年贈与には次のようなメリットがあります。
 

利用が簡単

暦年贈与の最大のメリットは、容易に行えるということです。事前の届け出など手続きの必要もなく、節税のために思い立ったら即日にでも行えます。
 

財産を渡す時期を調整できる

相続において財産が移るタイミングは、被相続人が亡くなって相続が始まったときです。先渡ししておきたい財産があったとしても、どのタイミングで相続が起こるかは分かりません。財産について、ある程度計算したタイミングで渡すことができるのも暦年贈与のメリットです。
 

渡したい財産を渡したい人に贈与できる

暦年贈与によって先渡ししている財産は、贈与を受けた方の財産となるため、相続が発生したときに遺産分割の対象とはなりません。特定の財産を確実に渡しておきたい人がいる場合、暦年贈与は特に有効です。
 
また、相続人以外の方に財産を残したいという場合にも暦年贈与を利用できます。
 

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暦年贈与で注意するポイント

暦年贈与は相続税対策として優れた効果を持つ贈与の方法ですが、メリット以上に、注意点についてもしっかりと確認しておきたいところです。
 

税務署から指摘されることがある

暦年贈与は手軽に行え、事前や事後の申請など面倒な手続きもありません。しかし、それ故、税務署から指摘が入って暦年贈与による節税が認められず、予想外の税金が発生することもあります。
 
暦年贈与をするのであれば、贈与の契約書を毎年作成する、お金を動かす際は銀行口座を通じて行うなど、贈与税が発生しない110万円以下の暦年贈与であることを証明できるように準備していく必要があります。
 

相続争いの引き金になることがある

財産を残しておきたい人に先渡しできるからと、他の相続人の感情面に配慮することなく贈与を行ってしまうと、それが原因となって相続争いが起きることもあり得ます。
 
暦年贈与をするのであれば、自分が亡くなったとき誰が相続人となるのか、各相続人がどれだけの財産を相続するのか、暦年贈与と比較して不公平となることがないか、といったことまで考えておく必要があります。
 

相続開始前3年以内の贈与は相続財産と見なされる

相続や遺贈によって財産を取得した人が、亡くなった方の相続開始前3年以内に贈与を受けていた場合、その財産も相続財産に含めて相続税を計算するという仕組みがあります。
 
そのため、暦年贈与の時期によっては想定した節税効果を得られない可能性もあります。
 

暦年贈与をするのであればメリットと注意点を確認すること

暦年贈与は手軽にできる節税対策ですが、メリットよりも注意すべきポイントを知ることが大切です。節税のために行った暦年贈与が原因で相続争いが起こったり、予想外の税金が発生してしまっては元も子もありません。
 
暦年贈与を行うのであれば、今回紹介した注意点も押さえた上で検討するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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