更新日: 2021.10.05 相続

公正証書ってどんなもの? 作成すると何ができる? <遺言編>

公正証書ってどんなもの? 作成すると何ができる? <遺言編>
別稿で離婚時に作成される公正証書とはどのようなものなのか、解説をさせていただきました。
 
公正証書とは必ずしも離婚をする夫婦間で作成されるものだけでなく、他にもいろいろな場面で作成されることがあり得るのですが、離婚時に作る公正証書と並んで有名なものとしては、遺言の公正証書が挙げられると思われます。
 
今回は、公正証書遺言について解説します。
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佐々木達憲

執筆者:

執筆者:佐々木達憲(ささき たつのり)

京都市役所前法律事務所弁護士

相続・事業承継を中心とした企業支援と交通事故が主要対応領域。弁護士としての法律相談への対応だけでなく、個人投資家兼FPとして、特に米国株投資を中心とした資産運用に関するアドバイスもご提供。京都を中心する関西圏に加え、毎月沖縄へも通っており、沖縄特有の案件も数多く手掛けている。

佐々木達憲

執筆者:

執筆者:佐々木達憲(ささき たつのり)

京都市役所前法律事務所弁護士

相続・事業承継を中心とした企業支援と交通事故が主要対応領域。弁護士としての法律相談への対応だけでなく、個人投資家兼FPとして、特に米国株投資を中心とした資産運用に関するアドバイスもご提供。京都を中心する関西圏に加え、毎月沖縄へも通っており、沖縄特有の案件も数多く手掛けている。

簡単におさらい~公正証書とは~

公正証書とは、私人(個人または会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことです(法務省ホームページ(※1)、参照)。
 
裁判官や検察官等の法律実務の経験豊富な者の中から、法務大臣に任命された公証人がその文書の作成に携わることで、その文書が真実に作成されたものであることを証明する文書です。詳細は別稿(※2)をご参照ください。
 

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遺言とは

遺言とは、自身が亡くなった後の法律関係について定めておくための、最終の意思表示です。例えば自身の財産について誰にどれだけ与えるかは、遺言によって決めておくことができます。
 
遺言がないと相続をする権利のある人たちで、話し合いをしなければなりません。それがうまくいかないと骨肉の紛争が生じることもあり、相続が“争族”へとなりかねません。
 

公正証書遺言を作る意義とは

遺言は、民法で定まった方式で作成しなければなりません(民法第960条)。
 
自ら手書きで作成する自筆証書遺言という手段もあるのですが、「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」という決まりがあり(民法第968条第1項)、少しでも方式を充たさないと、他が完璧にそろっていたとしても、遺言そのものが無効となってしまいます。
 
実際に筆者も、日付が抜けていたために遺言が全部無効となり、そのため遺(のこ)された人たちで話し合いをしなければならなくなった相談事例を見たことがあります。
また、自筆証書は偽造されたものでないかと疑われたり、紛失・改ざんが発生してしまったりする危険性もあります。
 
そこで、公証役場(公証人役場と呼ばれることもあります)で公証人に遺言の内容をお話しし、公証人に遺言書としてまとめ上げてもらうことができます。これが、公正証書遺言です。
 

公正証書遺言の作成の仕方

公正証書遺言は、15歳以上で、遺言の内容を公証人に伝える意思能力のある人であれば、誰でも作成できます。証人2人の立ち会いが必要となりますが、ご家族等一定の人は証人となることができないと民法第974条で定められていますので、注意が必要です。
 
また、作成にあたって手数料を納める必要があります。手数料の金額は、遺言の内容によって変わります。
 

遺書と遺言、1文字違って大違い

公正証書遺言を作成すれば、原則として偽造を疑われることもなく、また紛失や改ざんのおそれもなく自らの意思を遺しておくことができます。筆者の相談者に遺言を作りたがらない理由を聞くと、「縁起でもないから」と死を連想してしまう方が多くいらっしゃいます。
 
しかし、縁起が悪いのは「遺書」であり、「遺言」ではありません。「遺書」は「遺言」と違って、これから死ぬ人が書くものではないのです。現に民法では、15歳になれば遺言を作成できると認められています。
 
相続を“争族”にしてしまわないために、手遅れにならないうちに遺言を作成しませんか。
 
「うちにかぎって相続でもめることはない」というのは、その人が生きているうちだから言えることです。その人が亡くなり重しが取っ払われてしまうと、遺された人たちはガラッと変わってしまうことがあるのです。
 
出典
(※1)法務省「公証制度について」
(※2)ファイナンシャルフィールド「公正証書ってどんなもの? 作成すると何ができる?<離婚編>
 
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士

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