更新日: 2022.04.27 その他相続

高齢の親が墓地の購入を検討。子ども世代は維持するのにどれくらい費用がかかる?

高齢の親が墓地の購入を検討。子ども世代は維持するのにどれくらい費用がかかる?
終活の一環として高齢の方が、自身が亡くなった後に入るための墓地(お墓)について生前購入を検討することがあるようです。
 
もし、親がお墓を購入した場合、そのお墓を受け継いだ子どもは年間どのくらいの費用を支払って維持していかなければならないのでしょうか。お墓の生前購入と維持費について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

お墓の生前購入は珍しいことではない

今や「お墓は本人の死後に家族が購入する」というだけではなく、自身の人生の終わりを締めくくる活動である「終活」の一環として、高齢に差し掛かった方が自分のお墓を生前に購入するケースもあるようです。
 
お墓の生前購入は、子どもにとっては購入の手続きにかかる費用や手間などの負担が減るだけでなく、現金などの金融資産や不動産といった相続税の課税対象となる資産を非課税財産であるお墓に変えることで、節税対策になるという一面もあります。
 
しかし、高齢の親が今後のことを考え、よかれと思って生前購入したお墓であっても、維持管理の負担が子どもに重くのしかかることもあるのです。
 

お墓の維持管理のために負担する支出は?

子が親から受け継いだお墓を維持管理していくために負担する支出には、主に下記のような費用があります。

墓地の管理者に支払う年間の管理費

お墓本体の維持や修繕、管理に要する費用

お墓参りにかかる諸費用

 

墓地の管理者に支払う年間の管理費

お墓は本体である墓石を購入して終わりというわけではなく、基本的にお墓として設置するための敷地の管理者などに支払う管理料が発生します。
 
この管理料は地域や墓地の場所によっても異なるのですが、年間で5000円から1万円程度が目安です。ただ、お寺などによっては1万円以上の管理料に加えて、お布施が別途発生することもあり、年間の管理費用が2万円を超えることもあります。
 
逆に、自治体が運営している公営霊園などの場合は、年間の管理料が数千円程度で済むこともあります。例えば東京都内の公営霊園では、1400円から5600円の範囲(令和3年度募集の例)で年間管理料が設定されています。
 

お墓本体の維持や修繕、管理に要する費用

お墓本体は石材で造られており、また外に設置されているので環境によっては汚れやすく、定期的な掃除やメンテナンスが必要です。年に数回はお墓参りをして、そのたびに自分で掃除や簡単なメンテナンスを行うだけでも、年間で数千円から1万円程度はかかるでしょう。
 
また、墓石のズレや傾き、ヒビ割れ、破損などの修繕やメンテナンスは、専門の業者に依頼することが通常です。その場合は数万円から、状況によっては100万円を超える高額な支出となることもあります。
 

お墓参りにかかる諸費用

親と子どもが離れた場所に住んでいて、親の死後、定期的にお墓参りをすることになると、お墓がある場所によっては交通費がかさみます。
 
極端な例でいえば、飛行機での移動が必要となる場合、年間の交通費だけで10万円近くかかるということもあり得ます。
 

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お墓の維持管理には少なくとも年間1万円程度の費用がかかると考えるべき

高齢となった親が終活としてお墓を生前購入すると、子どもはお墓の手配の手間などが軽減されるといったメリットがある反面、少なくとも毎年1万円程度は維持管理のために金銭的な負担が生じることになります。
 
仮に年間1万円であったとしても、10年単位の長期間で考えるとそれなりの出費となりますし、途中で専門業者による修繕などが必要となれば数万円から、内容によっては100万円以上の費用が発生することも考えられます。
 
生前にお墓の購入を検討する際は、親子で十分に話し合い、子ども世代が負担する内容についても考慮するようにしてください。
 

出典

東京都 令和3年度 都立霊園の使用者を募集します
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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