更新日: 2023.04.21 葬儀

お墓を買っておくと税金が安くなる? 節税対策と墓じまい、どちらがいいの?

執筆者 : 伊達寿和

お墓を買っておくと税金が安くなる? 節税対策と墓じまい、どちらがいいの?
生前に決めておきたいことの一つに、お墓に関することがあります。新しくお墓を買うに当たり、相続税の対策になるなら早めに準備しておきたいと思われる人もいるかもしれません。一方で、先祖代々のお墓が地方にあるもののお墓参りが大変なため、子どもへの負担を考え、生きているうちに墓じまいをしたいと思っている人もいるでしょう。
 
本記事では、お墓に関する相続税と墓じまいについて紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

お墓は相続税がかからない財産

相続税は、亡くなった人(被相続人)が保有していた財産を相続した際にかかる税金です。対象となる財産には、現金や預貯金、不動産、有価証券など多くのものがあります。
 
しかしながら、相続税がかからない財産もあり、その一つに「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」があります。そのため、お墓を持っていても相続税の計算には含まれません。
 
例えば、預金や不動産の財産を5000万円持っている人が亡くなると、財産5000万円が相続税の対象になります。もし、生前にお墓を200万円で購入していれば、お墓は相続税の財産に含まれませんので、相続税の対象は4800万円に減少します。
 
相続時の財産は、「お墓」という税金のかからない財産に変えることで、預金など相続税の対象の財産が減少し、節税対策になるわけです。
 
ただし、骨とう的価値があるなど投資対象となるものや、商品として所有しているものは対象外です。一般的なお墓であれば問題ありませんが、骨とう的価値が発生するような極端に高額なものは、相続税の対象になる可能性がありますので注意しましょう。
 

近年増えている墓じまいとは

墓じまいとは、簡単にいうと「お墓の引っ越し」です。現在持っているお墓の墓石を撤去し、さら地にしたうえで、墓地の管理者に返却し、取り出した遺骨を別の形で供養することで、「改葬」ともいわれます。
 
厚生労働省の令和3年度衛生行政報告例によると、年間の改葬件数は全国で11万8975件となっており、令和2年度の11万7772件を上回り増加傾向にあります。
 
墓じまいが増えている背景としては、少子高齢化によりお墓の維持管理をする後継者が減少していることや、お墓が地方にあるなどでお墓参りが難しいと感じる人が増加していること、価値観の多様化に伴う考え方の変化などが考えられます。
 
墓じまいの大まかな流れは、次のとおりです。まず、現在お墓がある墓地の管理者に改葬する旨を伝え、新しい納骨先を決めたうえで、市区町村で手続きし改葬許可証を取得します。
 
その後、閉眼供養をして遺骨を取り出し、新しいお墓で開眼供養をして納骨します。以前のお墓については墓石を撤去し、墓地の管理者に返却します。
 
墓じまいに当たっては、親族間のトラブルを避けるため事前に十分な話し合いをすることが大切です。また、墓じまいには時間がかかり、数十万円単位と決して少なくない費用もかかります。事前によく調べ、どのように進めるか決めておくとよいでしょう。
 

【PR】相続する土地・マンションがあなたの生活を助けるかも?

お墓のことは生前に対応を

お墓は相続税の節税対象になりますが、そうするためには生前に購入しておく必要があります。また、墓じまいをする場合は親族間の話し合いが重要であり、手続きにもそれなりの時間と費用がかかることを知っておきましょう。
 
おのおのがどのような形で供養してもらいたいかを考え、お墓のことは生前に対応するのがよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.4108 相続税がかからない財産

厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)

厚生労働省 令和3年度衛生行政報告例 第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別

厚生労働省 令和2年度衛生行政報告例 第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別

 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

ライターさん募集