更新日: 2023.08.28 その他相続
死後離婚、亡くなった配偶者と離婚はできるの?
執筆者:正田きよ子(まさだ きよこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
この仕事をしている人なら当然なことだけれど、フツウの人にはわかりづらいこと、
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死後離婚とは配偶者の死後に離婚することではない
死後離婚とは、法的な手続きでいうと、配偶者の死後に「姻族関係終了届」を市区町村役場に提出することです。配偶者が亡くなると婚姻関係(法的な結婚)は自動的に終了します。死後離婚は、結婚によって結ばれた配偶者の親兄弟との関係、姻族関係を終了させることです。
「姻族関係終了届」を出すと、義父母、義理の兄弟姉妹たちとは他人に戻ります。亡くなった配偶者と戸籍が別になるわけではなく、配偶者としての権利も残ります。遺産は相続でき、遺族年金も請求できます。死後離婚とはいうものの、生前の離婚とは意味合いが異なります。
死後離婚を選択する人がいるワケ
死後離婚をしても、亡くなった配偶者と戸籍が別になりません。死後離婚を選択するケースは、義父母の世話や介護、義理の兄弟姉妹との関わりから離れるためと推察されます。民法877条で、特別の事情があるときは直接血のつながりのない義父母、義理の兄弟姉妹の扶養の義務を負わせることができるとされているからです。
さらに、生前不仲だった義父母や配偶者と同じお墓に入りたくない、といった理由もあるかもしれません。
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死後離婚は減っている?
法務省戸籍統計(※)によると、令和3年度(2021年)に姻族関係終了届いわゆる死後離婚をした人は、2934人でした。過去10年間の推移を見ると、2017年の4895件をピークに減ってきているようです。
死後離婚は、配偶者の死後いつまでにするという期限がありません。葬儀や法事などで姻族と関わる中で、死後離婚を選択した人もいるのではないでしょうか。
2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の流行のため、外出や対面で会う機会が制限されました。姻族との直接的な関わりが減ったことも、その一因かもしれません。また、〇〇家の嫁、〇〇家の婿といった家制度の名残が薄れてきているからとも考えられます。
死後離婚のその後
配偶者に先立たれたあと、他の人に左右されず残りの人生を自分らしく生きたい、自分の死後に眠る場所は自分で決めたい、といった思いを抱く人もいらっしゃるでしょう。
姻族関係終了届は、姻族の承諾は不要で法的に関係を断ち切ります。強固な対応のため、より親族との溝を深めることにもなりかねません。子どもと義父母の関係は血族であり、祖父母と孫であることに変わりがないことも忘れてはなりません。
法的な強さはありませんが、夫婦でお互いにエンディングノートを作り、自分の親族のことも書いておく、といったソフトな対応もあります。
「姻族関係終了届」を提出すると、撤回ができません。すべての人と仲良く過ごすことが正ではないものの、一時的な感情で提出して後悔しないようにしましょう。
出典
(※)法務省 【戸籍統計 統計表】
執筆者:正田きよ子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者