更新日: 2023.09.21 贈与
何年も実家にお金を入れていましたが、親から「今までの仕送りを全部返すよ」と言われました。贈与税はかかりますか?
こちらの記事では、親から「今までもらってきた仕送りを返す」と言われたときに、贈与税が発生するのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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原則として仕送りで贈与税は発生しない
基本的に、家族間の仕送りに関して贈与税はかかりません。国税庁も、贈与税がかからない財産として「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」を挙げています。
家族間でやり取りするお金は、生活費として使うものがほとんどでしょう。そのため、仕送りで送ったお金に関しては贈与税が発生しません。
ただし、親が子の将来のために貯金していて、これまでにもらってきた仕送りを一気に返還する場合はどうなるでしょうか?
金額・贈与目的によっては贈与税が発生する点に注意
総務省の調査によると、親へ仕送りをしている世帯の「1世帯当たり平均仕送り額」は5万4000円でした。単純計算すると、年間で64万8000円となります。
贈与税は「年間110万円」が非課税となるため、もし1年分の仕送り額が返還されたとしても、贈与税は発生しません。しかし、数年分の仕送りをまとめて返還された場合、贈与税の非課税枠である110万円を超えてしまう可能性があります。
例えば、10年分の仕送り額を「返す」と言われたとき、総務省のデータを参照して単純計算すると返還額は648万円です。贈与税の非課税枠を超えており、生活費や教育費として利用しない限りは、贈与税の対象となります。
なお、高額な贈与でも、贈与税が非課税になる特例として以下の3つの特例があります。
・住宅取得等資金の贈与:最大1000万円
・教育資金贈与:最大1500万円
・結婚・子育て資金贈与:最大1000万円
上記のいずれにも該当しない贈与は、贈与税の対象です。実際に、税務署も高額な贈与になると「生活費・教育費に充てる目的ではない」と判断するケースが多いです。
このように、数年分の仕送り額がまとめて返還された場合は贈与税が発生する可能性があるため、注意しましょう。
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仕送りの返還も贈与にあたる
子から親へ仕送りをしたものが返還された場合、「単純に自分のお金が戻ってきただけだから、贈与ではない」と感じる方も多いでしょう。しかし、子から親への仕送りは「贈与」にあたる場合があります。
同様に、親から子へ「もらってきた仕送りを返す」ことも贈与にあたる場合もあります。つまり、年間の贈与税の非課税枠を超えて仕送りの返還を行うと、贈与税が発生する可能性があるということになります。
仕送りしたお金の取り扱いに関して、贈与税を納めずに済ませるためにも、子と親の間で「返還を前提としない」などルールを決めておきましょう。
まとめ
就職に伴い、子から親へ仕送りをするケースは多いです。しかし、後になって「返還する」となったら、金額によっては贈与税が発生してしまいます。
特に、親としては悪気なく仕送りを返還するケースがほとんどなので、親子できちんと仕送りの認識を共通させることが大切です。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
総務省 国民生活基礎調査 令和元年国民生活基礎調査 世帯 全国編
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー