更新日: 2023.10.16 その他相続

「おひとりさま」の老後、どうする?財産の行方は…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「おひとりさま」の老後、どうする?財産の行方は…?
昨今、時代の変化とともに恋愛や結婚に対する考え方も変わり、単身の人も増えてきました。生涯独身で配偶者がいない、いわゆるおひとりは遺産相続で悩むケースが少なくありません。また、おひとりさまで子どもや兄弟がいない場合はさらに迷うこともあります。
 
今回はおひとりさまが遺産を相続する際に、相続してほしい相手がいる場合・いない場合の相続方法、遺産の活用方法など、財産の行方について解説します。
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独身の場合の法定相続人

まずは一般的な相続の場合、遺産は民法によって定められた法定相続人、つまり財産を相続する権利がある人へ相続されることが通常です。
 
財産を残して死亡した被相続人に配偶者がいる場合は、その配偶者と法定相続順位の高い人に相続されます。法定相続順位とは遺産を相続する優先順位のことで、被相続人が独身で配偶者がいない場合は、この法定相続順位が高い人に相続されます。
 

法定相続順位

まず、法定相続順位が高いのは子どもなどの直系卑属です。直系卑属とは、子どもや孫などで、被相続人から見て下の世代に当たる直系血族のことをいい、民法上は第1順位の法定相続人とされています。もし複数人いる場合はより近い世代の子どもが優先的に権利を得ることになる仕組みです。
 
被相続人が離婚して独身になった場合もその子どもは第1順位の法定相続人とみなされ、また被相続人に養子がいる場合は、養子も実子同様に扱われます。
 
次に法定相続順位が高いのは父母や祖父母などの直系尊属です。第2順位は第1順位がいない、もしくは相続を放棄した場合に繰り上げで法定相続人となります。
 
第3順位の法定相続人は兄弟姉妹です。同じく第2順位までの法定相続人がいない、もしくは相続放棄をした場合に権利を得る立場です。
 

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おひとりさまの法定相続人がいない場合

独身の人の相続には、法定相続人が誰もいないケースが少なからずあります。例えば、ひとりっ子の両親がすでに他界し、配偶者もいない場合、そのひとりっ子が死亡し被相続人になると相続人はいません。
 
また、家族と疎遠な場合など、相続放棄をする可能性もあるでしょう。法定相続人がいない場合の財産の行方として、遺言で指定された人に相続されるケースがあります。一般的に遺言での相続では、お世話になった人や親しい友人へ財産が引き渡されます。遺言の相手は法人や団体であっても問題ありません。
 
ほかにも、特別縁故者に分与されるというケースもあります。特別縁故者とは、被相続人と特別に親しい関係にあった人を指します。例えば、内縁の妻や事実上の養子などの被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の介護に努めた人などです。
 
被相続人の債務を支払うなどの清算を終えたあと、家庭裁判所が相当と認めた際に限り、被相続人と特別の縁故のあった人からの請求によって財産の一部や全部の分与が行われます。この際、法定相続人への相続ではありませんが、相続税は2割増しで適用されます。
 

遺言書を作成するべきケース

相続人となる人が1人もいない場合、国や自治体が勝手に財産を処分してくれることはないため、財産は宙ぶらりん状態になってしまいます。このようなケースを避けるためにも、遺言状はとても有効な手段です。
 
特に夫婦間に子どもがいない人、お世話になった人や友人、施設、住んでいた市町村などに財産をあげたい人、相続人同士の仲が良くない人、再婚した人は遺言書の必要性が高まります。
 
遺言書は相続トラブルを回避するためにも有効です。例えば不動産を所有している人は、相続する際に同じ価値に等分することはほぼ不可能なため、遺産分割協議でもめる可能性があります。遺言書を用意しておくことで、相続人同士のトラブルを回避し手続きがスムーズになるというメリットもあります。また不動産が実家の場合には、共有持分にするのもいいでしょう。
 
おひとりさまの場合は、遺言書や死後贈与の契約がなければ、渡したい相手に財産を渡すことはできません。財産を残したい相手がいるのであれば、しっかりと有効な遺言書を残しておくことが重要です。
 

出典

那覇地方法務局 遺言書の作成を推奨する人 (12選)
裁判所 特別縁故者に対する相続財産分与
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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