更新日: 2023.11.17 贈与
20代の頃の「へそくり」を発見……!40万円ほどありましたが、全額子どもに贈与していいですか?
そこで、見つけたへそくり金額40万円の全額を子どもに贈与することを考えている場合を基に、注意点について考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
へそくりを見つけたことによる税金はかからない
まず確認しておくと、自分のために貯めたへそくりに税金はかかりません。もちろんへそくりをすること自体に違法性もありません。
また、へそくりを見つけた際に、それがかなり昔のものであったとしても、「お金を取得した」というわけではないので、所得税や住民税はかからず、特に税務署などへの報告も必要ありません。そのため、へそくりを見つけても税金や手続きについては考える必要はないでしょう。
さらに、へそくりを贈与することの是非については、法的観点からも特に問題はありませんので、子どもに全額を贈与してもよいといえます。
40万円の贈与であれば、子どもに贈与しても贈与税はかからない
続いて、贈与税について確認していきましょう。子どもにへそくりの40万円を全額贈与したとしても、子どもがその年に、ほかの贈与を受けていない限り、贈与税は発生しません。贈与税は年間で110万円の贈与を受けた場合に発生するからです。
仮に、自身がその40万円のへそくり以外に、他者へ贈与をしていて、贈与額の合計が年間で110万円を超えていたとしましょう。その場合においても、受け手が贈与によって取得した財産が、それぞれ年間で110万円を超えていなければ、贈与税は発生しません。
例えば、自身の子どもAには、へそくりの40万円、Bへは貯金から100万円を贈与して、合計140万円を1年間に贈与したとしましょう。もし、AもBもその年に、ほかに贈与を受けていなければ、誰にも贈与税は発生しないということです。
ただし、その贈与が生活費や学費など扶養義務に基づいたもので、都度、その支払いにあてる目的で贈与された場合であれば、原則として110万円を超えていても、金額にかかわらず非課税となります。なぜなら、扶養義務に基づき必要な範囲で行われる贈与は、非課税とされているからです。
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贈与するならほかの子どもとの関係性に注意
もし、40万円の贈与を全額、子どもに与える場合は、ほかの子どもとの平等性に注意しておきましょう。
1人だけ40万円の贈与をうけたことを知った場合、兄弟姉妹の間で子ども同士の争いが起こる可能性もあります。また、将来、相続が起こった際、それが相続分の前渡しにあたらないかと問われる可能性もあり、相続争いの原因になることもあります。
そのため、へそくりの40万円の全額を贈与するのであれば、可能な限り、平等に贈与しておく方が無難かもしれません。
また、贈与のうち、亡くなる前の3年以内に行われたものは「生前贈与」として相続財産に組み入れて相続税の計算がなされます。例えば、自分が子どもにへそくり40万円を贈与してから、その方が3年以内に亡くなったとしましょう。この40万円を相続財産に組み入れた上で、相続税を計算します。
相続税は、3000万円+法定相続人の数×600万円の部分まで非課税となります。そのため、相続税は発生しないことも珍しくありません。しかし、相続税の課税対象になりうるという点は、お金を贈与する立場では知っておくべきでしょう。
まとめ
へそくりを発見しても、自身に所得税や住民税はかかりません。見つけた40万円分のへそくりを贈与しても、基礎控除の範囲内として、贈与税もかかりません。しかし、その年に子どものうけた贈与が、他者からの分を含め、110万円を超えた場合には、贈与税が発生する可能性があります。
また、贈与税が生じなくとも、特定の1人だけに贈与すると、場合によっては子どもたちの間で争いが起こる可能性もあります。
子どもに贈与をする場合は、税金の問題についてはもちろんですが、子ども同士の関係性や相続に関するところまで考えておくと、将来的なトラブルを予防できます。税金面について不安があれば、住所地を管轄する税務署へ相談してください。
出典
国税局 No.4408 贈与税の計算と税率 (暦年課税)
執筆者:柘植輝
行政書士