更新日: 2023.12.12 贈与
結婚予定ですが資金が足らず、親から援助してもらいます。そういうのも「贈与」に入るのでしょうか?
本記事では、結婚にかかる費用を援助してもらう際の贈与税について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
110万円以下の贈与なら課税対象にならない
贈与税とは、原則として個人から財産をもらった際にかかる税金です。ただし、贈与税には110万円の基礎控除額があります。1月1日~12月31日の間にもらった財産の合計額が基礎控除額の110万円を上回らなければ、贈与税はかかりません。贈与を受けた金額が110万円を超えた場合は、基礎控除額との差額に対して税金がかかると認識しておくとよいでしょう。
200万円以下の贈与を受けた場合の税率は10%
例えば、直系尊属から200万円の贈与を受けた場合、基礎控除額の110万円を超えるため贈与税の課税対象です。贈与税の計算方法は、200万円から基礎控除の110万円を差し引いた90万円に対し、10%の税率を乗じた9万円となります。贈与税の税率は、基礎控除の110万円を差し引いたあとの課税価格によって異なり、図表1のように最大55%です。
【図表1】
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」より筆者作成
親からの結婚資金の援助に贈与税がかからないケース
結婚するに当たって、結婚生活を営むために必要な物品(家具、寝具、家電製品など)や購入資金に充てるための金銭を贈与してもらった場合、贈与税は非課税扱いです。
国税庁の「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」では、「子が親から贈与を受けた場合、原則として贈与税の課税対象になる」と伝えています。
しかし、贈与税の課税対象にならないケースも以下のように伝えており、そのうち結婚資金は社会通念上相当と認められるのを理由に課税対象ではありません。
●扶養義務者相互間において生活費に充てるのを目的とした贈与(通常必要と認められるもの、かつ必要な都度直接生活費に充てるために取得した財産)
●社交上の必要によるもの、贈与をした側と贈与を受けた側との関係などから社会通念上相当と認められるもの
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直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与によって結婚式の非課税枠は300万円まで
原則として、贈与税の基礎控除額である110万円を超えた場合は課税対象です。しかし、以下の一定の条件を満たす場合、結婚資金の贈与は300万円までは非課税扱いになります。
●贈与を受ける人の年齢が18歳以上50歳未満(平成27年4月1日~令和7年3月31日までの間に)
●贈与を受ける人の父母・祖父母といった直系尊属からの贈与
●受贈者の合計所得金額(財産を取得した日が属する年の前年分)が1000万円を超えない
また、結婚資金として認められるのは、結婚に際して支払う「衣装代などの婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)」「家賃、資金などの新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)」といった金銭が該当します。
ただし、適用を受けるには所定の手続きが必要です。
子育て資金も含めると1000万円まで非課税
一定の条件を満たす場合、結婚資金の贈与は300万円まで贈与税はかかりませんが、子育て資金も非課税制度の一部に含まれています。
結婚資金だけでなく、妊娠や出産、育児にかかる金銭を直系尊属から援助してもらう際にも、条件を満たすことで1000万円まで(1000万円のうち300万円は結婚資金として充当可能)は非課税扱いとなるのです。
妊娠、出産、育児にかかる金銭とは「不妊治療や妊婦検診にかかる費用」「分べんや産後ケアにかかる費用」「子の医療費、幼稚園や保育所などの保育料(ベビーシッター代を含む)」といったものが対象です。
結婚資金の贈与について正しく理解して有効活用しよう
原則として、贈与税の基礎控除額である110万円を超える贈与については、課税対象です。
しかし、平成27年4月1日~令和7年3月31日までの間に、財産の贈与を受ける人の年齢が18歳以上50歳未満、直系尊属からの贈与といった条件はあるものの、300万円までの結婚資金の贈与が非課税扱いになります。非課税扱いになるためのさまざまな条件があって複雑さを感じるかもしれませんが、制度の概要を正しく理解して上手に活用しましょう。
出典
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー